友救の槌檄_プロローグ
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story by 間宮桔梗
208:友救の槌檄 静戒の一槌
開始前
受難とは!?
プロローグ
「……よし、完成だ。今まで作った剣の中でも、間違いなく最高傑作と言い切れる一品だ」
雪山にある鍛冶工房。英雄の剣を作ったことで有名な鍛冶師の青年は、作りたての一本の剣を片手に持ち、無表情ながらも静かに歓喜の声を上げている。
「宝剣ティソーナ。女王に献上する剣としてこれ以上相応しいものはない。全技術力と大金を注ぎ込んだだけの成果は……あった、な」
青年は剣立てに宝剣を置く。すると突然、扉が勢いよく開き、大きな盾を持った少女が工房に入ってきた。
「タっくんおはよ!さぁ、今日こそ私の剣を作ってもらうからね!」
「おはようノエル。そして帰れ。お前に作ってやる剣はない……毎日言わせるな。あとタっくんはやめろ」
「む、むぅ。毎日言われたくないなら剣を作ってよ。私、タっくんに剣を作ってもらうまで通い続けるからね!」
「二千万クロナ払えるなら作ってやる。それが無理なら帰れ。あとタっくんはよせ」
見習い傭兵に払える額ではないことを知りながら、青年はノエルに巨額を吹っかける。
「ね、ねぇ……。この間、町の人から聞いたよ?タっくん、今はお金持ちの人に渡す“飾りの剣”しか作らないけど、昔は色んな人達のために誇りをもって“戦うための剣”を作ってたって。その、どうして今みたいに……ひっ!?」
大きな片手でノエルの頭を握る青年。そして、鋭い目つきでノエルを見下ろしながら――
「ノエル…………。お前、また背が縮んだか?」
「わふっ!?ち、縮んでないもん!頭グリグリするのやめて!ていうか、返答に困ったら私の頭いじるのやめて!本気で傷つくからっ!」
テキトーに頭をグリグリしたあと、青年は少女を解放する。
「とにかく、金がないなら帰れ。昼飯が目的ならそこに座ってろ。冬至の祝祭だからな、今日のスープはとっておき、の……」
青年は気付く。剣立てに置いたはずの宝剣がなくなっていることに。そして、片手にスコップを持った見知らぬ少女が、もう片方の手に宝剣を持っていることに。
「……あ、やっば。見つかっちった。まいっか。そんじゃこの剣もらっていくねー」
「なっ……。ふざけるな!それは女王に献上する宝剣!コソ泥風情が持っていいものじゃ……ま、待て!」
「わわっ、ちょ、待ってよタっくん!」
ノエルの静止を耳に入れることなく、鍛冶師は外へ飛び出す。
すると……突然、彼の目の前に、眩い光と共に一人の旅人らしき風貌の者が現れた。
「む、なんだアンタ。仕事の話ならあとにしてくれ。今は急い、で……」
立ち止まると、青年は不思議そうな表情でその者をまじまじと見つめる。
「タダ者じゃなさそうだな。目を見ればわかる……アンタが腕利きの猛者だってこと。その腕を見込んで頼みがある。どうか、宝剣を盗んだコソ泥を捕まえるのを手伝ってくれないか?」
真剣な眼差しを向ける青年。その瞳の奥に、この世界の運命を揺るがすような熱い何かを感じた***は、彼の頼みを引き受けることにした。
「恩に着る。鍛冶師のタイラーだ、よろしく頼む……と、そうだ。すまないが、これを持っていてくれないか?それなりに大切なものなんだが、今はアンタが持っていた方が安全そうだ」
***は、タイラーからユリの模様が刻まれたブローチを受け取る。
「よし、行くとしよう。しかし、冬至の祝祭の日に女性への献上物(プレゼント)を盗まれる男、か。なんとも悲しい冬になりそうだ……。いや、嘆いている場合ではないな」
決意を新たに、***とタイラーは宝剣を盗んだコソ泥を追いかけるのだった……!
>>宝剣を取り戻す<<
俺の最高傑作の宝剣……。
絶対に取り戻してやる。絶対にな。
まずは500kmほど走ってみよう、だと?
アンタ、本気で言っているのか……。やるな。
そうだ、このノエルのブローチを預ってくれないか?
なんでも、スタミナを増強する力が付与されているらしい。
「剣を作れ」と執拗に追いかけてくるもんだから、こっそり持ち出してきたんだ。
リリィブローチを1個手に入れました。
付き合わせてすまない。礼は必ずする。さぁ、行くぞ。
絶対に取り戻してやる。絶対にな。
まずは500kmほど走ってみよう、だと?
アンタ、本気で言っているのか……。やるな。
そうだ、このノエルのブローチを預ってくれないか?
なんでも、スタミナを増強する力が付与されているらしい。
「剣を作れ」と執拗に追いかけてくるもんだから、こっそり持ち出してきたんだ。
リリィブローチを1個手に入れました。
付き合わせてすまない。礼は必ずする。さぁ、行くぞ。
コソ泥を追う
エピローグ
「さぁ、ひっ捕らえたぞコソ泥!宝剣を返してもら…………。おい、宝剣はどこへやった?」
コソ泥の少女を捕まえることに成功したタイラーと***。しかし、少女の手に宝剣は握られていなかった。
「あー、ごめんねお兄さん。確かにあたしはコソ泥なんだけど、今回は“運び屋”として仕事をしてたんだよねぇ」
観念したのか、少女はとある盗賊団の依頼で宝剣を盗んだこと……。そして、タイラー達に追われている最中、盗賊団からの使者にこっそりと剣を受け渡していたことを告白する。
「その盗賊団の名前は?アジトは?知っていることは洗いざらい話せ。さもなくば……焼き潰す」
「お、お兄さん目がマジなんだけど……。ま、別に口止めされてるわけじゃないし教えたげる。盗賊団の名前はベガーズバンケット。今のアジトは北の廃墟要塞にあるね。ここからならそう遠くはないかな」
「ベ、ベガーズバンケット!?5人の幹部全員がプラチナ級手配犯の、あの盗賊団のこと!?」
声を荒らげたのは、タイラーを追いかけてきていた傭兵の少女、ノエルだった。
「タ、タっくん。さすがに諦めた方がいいかも。ベガーズバンケットって少数の盗賊団なんだけど、一人一人の実力がすごく高いの。義賊としても名高いから平民に協力者が多くて、色んな意味で手を出しにくい相手だってうちの傭兵団長が言ってた」
「くだらん、何が義賊だ。人が血の滲むような努力の果てに作った物を盗むような輩に、正義などあってたまるか。あとタっくんって言うな」
タイラーは静かに怒りながら、ノエルに一つの提案をする。
「お前の所属する傭兵団に正式な依頼を出したい。依頼内容は『盗賊団ベガーズバンケットから宝剣を取り戻すこと』。報酬は言い値で構わない」
「ち、ちょっとタっくん、話聞いてたの?討伐対象があの盗賊団じゃ、ほとんど人は集まらないよ……?」
「俺が依頼したいのは討伐じゃない。あくまで宝剣を取り戻すことだ。無論、俺も直接乗り込む。偽物を掴まれでもしたら、たまったものではないからな」
その言葉に、ノエルは数秒ほど頭を捻らせたあと、口を開いた。
「声は掛けてみるけど、あんまり期待しないでね?あと、タっくんが行くなら私も行く。タっくんにもしものことがあったら、私の武器を作ってくれる人がいなくなっちゃうもん」
「……。申し出はありがたいが、盗賊団の話をするだけで足が震えているようじゃ」
「こ、これは……ずっと走ってたから足が疲れてるだけ。ここ、怖がってなんかないもん。だからお願い、連れていって!」
押し問答を始めるタイラーとノエル。そんな二人のやり取りを見ていたコソ泥の少女は――
「……。あ、もうあたし必要ない感じ?んじゃあたし、帰っていいよね?」
「ダメだ。お前の言葉が真実だという保証はないからな、盗賊団のアジトまで案内してもらうぞ。もし、逃げるような素振りを見せれば……」
「いや、別にウソなんかついてな……ちょ、わかったからその悪鬼みたいな目をやめてよ。案内すればいいんでしょ案内すれば。あと、あたしの名前はコソ泥じゃなくてベルシャだからっ」
タイラーに自慢のスコップを取り上げられたベルシャは、もはや全てを諦めていた。
「……聞いての通りだ、***。こちらの戦力は心許ない。アンタがいてくれると……その、なんだ。非常に助かるんだが」
どことなく遠慮がちに協力を求めてくるタイラー。***は小さく頷き、改めて彼に協力することを誓う。
「……感謝する。アンタがいてくれると、どれだけ不可能に近いことでも必ず成し遂げられるような気がする。しばらくの間、よろしく頼む」
こうして、***はタイラー達と共に盗賊団のアジトへ向かうことになったのだった……。
209:友救の槌檄 信力の一槌
開始前
標的は見つかるのか!?
プロローグ
数年前まで、タイラー達の住む王国は、隣国の連邦国家と土地の利権を巡る大規模な戦争をしていた。
しかし、戦いの長期化によって両国は疲弊。戦争のいち早い終結が望まれる状況の中で活躍したのは、国の制約に囚われない、王国内の平民を中心とした義勇兵の一団だった。
「彼らの活躍のおかげで、隣国との間には無事に和平協定が結ばれて今に到りま~す。めでたしめでたし……。ってのは有名な話じゃん?けど、この話には続きがあってさ」
二十数名の傭兵達と共に雪山を行軍しながら、ベルシャは脱力しながらも盗賊団ベガーズバンケットの成り立ちをタイラー達に語り聞かせる。
「王国政府の一部の派閥は、民の信頼を得た義勇兵達が英雄視されることを怖れたワケ。んで、その派閥の連中は祝賀会と称して彼らを宴会場に招き入れて……義勇兵達を暗殺したんだってさ」
しかし、生き残った数名の義勇兵は逃亡に成功。タイラーの剣を盗んだ盗賊団は、その生き残り達が作った組織なのだとベルシャは語る。
「ち、ちょっと待って。それって……王国を救った英雄達を、王国が暗殺したってこと……?」
ノエルの震える声での問いに対し、首を横に振るベルシャ。
「暗殺を実行したのは、義勇兵達を快く思っていなかった一部の政府の連中だけ。当然、正義感の強い現女王様はこの件には関与してないし憤慨もした。だから、暗殺を企てた連中をすぐに捕まえて全員を処刑にした、と。これでクリーンな王国が完成しましたーみたいな」
ベルシャの話を聞き、タイラーは眉間にしわをよせながら、あごに手をそえる。
「……?どうしたの、タっくん。ただでさえ怖い顔がもっと怖くなってるよ?控えめに言うと悪鬼って感じ」
「控えめとは一体……。しかし、今の話が真実だとすれば。いや、まさか……な」
物思いに耽りながら、タイラーは脳裏に浮かんだ“とある可能性”を頭の奥へと押し込む。
「ま、裏稼業やってるとイヤでも耳に入ってくる有名な話だから信憑性は高いよーっと、話してたらアジトに着いちゃったね。それじゃ道案内も終わったし、あたしはさいなら……ぐえっ!?」
踵を返して逃げようとしたベルシャは、突然タイラーに服の襟を掴まれ、そのままぐいっと持ち上げられる。
そして、次の瞬間……。ベルシャが向かおうとしていた場所に“丸い何か”が落ちてくると同時に、激しい爆風が巻き起こった。
「侵入者のみなさ~ん、メリーメリーハッピー!めでたい冬至の祝祭を、私と一緒に祝いませんか~!?」
アジトの城門の上から現れたのは、大きな袋を持った一人の少女。どうやら、先ほどの爆発は彼女が投げたボムによるものらしい。
「おい、ベルシャ。あの女はなんだ?」
「し、知らないって。あたしはあくまで運び屋として雇われてただけで、盗賊団のメンバーと交流があったワケじゃないし。でも、ここにいるってことはメンバーの一人ってことで間違いないと思うけど」
「あんな自己主張の激しいパリピが盗賊なわけがないだろう……。おい、女。お前は何者だ?」
タイラーの問いに、少女は明るい様子で答える。
「申し遅れました!私、ベガーズバンケットのリバデリーって言います!趣味は冬至の祝祭をお祝いすること、ア~ンド、侵入者をお手製のボムでドカンとハッピーにクラ~ッシュすることで~す!」
そう言いながら、リバデリーは満面の笑みを浮かべながら再び袋から大量のボムを取り出す。
「アレが、盗賊だと?盗賊……。盗賊とは、一体……」
「タっくん、呆れてる場合じゃないよ!なんとかしないと私達吹き飛ばされちゃうよ!?」
ノエルの言葉で我に返ったタイラーは、仲間達と共にリバデリーと対峙するのだった。
>>なんとかする<<
ランキングに関係なく、一定数の【クラフトメダル】を集めると役立つアイテムが貰えるらしいな。
強敵との戦い、か。避けられないのならやるしかないだろう。避けられないのなら、な。
アイテムショップで手に入る「アレスの鍛錬書」を使えば、すぐにLv80になれるらしい。鍛冶師もびっくりだ。
いい剣を作るために「土地力」は不可欠。積極的に溜めた方がいい。
目的を果たすためならば……。
服が地味だとノエルによく言われるからな……。少しは着飾りたいものだ。
強い敵を倒せば多くの【クラフトメダル】が貰える。敵の情報は、他のプレイヤー達がイベント掲示板で教えてくれる。
こまめにチェックしておくといい。
イベント掲示板をみる
クエストか。 クエストか。
鍛冶の仕事の方が気が楽なのだがな……。
敵地に乗り込む
美眼怪盗バトル
リバデリーの襲撃をなんとか潜り抜けることに成功し、展望塔まで逃げることに成功したタイラー達。しかし、散開したことで傭兵達とは離れ離れになってしまった。
「展望塔に逃げ込んだのは俺とノエルと***だけか。まさか、開幕から分断されてしまうとは……。まぁいい。敵の注意が拡散している今のうちに、宝剣を探しに行くとしよう」
「あ、待ってタっくん!あそこ、誰かいる……」
不測の事態に動揺することなく、タイラーはあくまで冷静に状況を受け入れる。しかし、次の瞬間……。
「これはこれは。ひっそりポージング練習をしていたところに思わぬ来客。ふむ……。我が美眼が定めるところによると、そちらの殿方は鍛冶師。そちらの少女は見習いの傭兵。そして、そちらの貴方は旅人とお見受けした!」
突然、一人の男がマントを翻しながら、颯爽と天井から降りてきた。
「我が名はオースチン!美眼怪盗オースチンと呼んでくれたまえよ諸君!して、君達は……ふむ、なるほど。我が美眼が囁くところによると、我らが革命組織ベガーズバンケットに仇をなす愚者達とお見受けした!」
「……。何者かは知らんが、お前達がやっていることはただの窃盗だろう。それに、俺はお前達の組織の存亡になどこれっぽっちも興味はない。盗んだ宝剣を返してもらえればそれでいい」
「宝剣……?ああ、我らが団長アルフレッド殿が運び屋を使い盗み出したという、あの宝剣のことかね」
アルフレッド。その名を聞いた瞬間、タイラーの瞳が大きく見開く。
「アルフレッド……?まさか、アルフレッド・ジョスノーがお前達の親玉なのか!?なら、暗殺を生き延びた義勇兵というのは……」
「どう解釈してもらっても構わんさ。しかし、その反応から察するに、あの宝剣を作ったのは君のようだね。フッ……。実に良い。私はね、美しい宝よりも、それを作り出す美しき人間に愛情を注ぎたくなるタイプなのだよ」
どうやら、タイラーはオースチンのお眼鏡にかなってしまったらしい。
「決めたぞ、美しき鍛冶屋よ。私は君という美しい人間を盗むことにした!美眼怪盗オースチンの名に賭けて、ね!」
高らかにそう宣言すると、オースチンは戦闘態勢に入る。
「ね、ねぇ。さっき言ってたアルフレッドって人、もしかしてタっくんの知り合いなの?」
「……。まぁ、な。しかし、話はあとだ。今は目の前に敵をなんとかするぞ」
タイラーは炎を纏った魔槌を構え、簡易鍛冶キットを地面に広げた。
「ノエル。今から即席の剣を作り上げる。そいつを使って、あの怪盗を倒してくれ。***、すまないがノエルのフォローを頼む……!」
撃退する
雪幻猛襲バトル
「むう!まさかこれほどの力とは。まぁ怪盗は戦闘職ではないから仕方がないところもあるがね……。フッ、ひとまずここは退散させてもらうよ!スィーユー!」
タイラーの作った美しい剣と、それを使うノエルの美しい剣技に敗れ、オースチンはその場から美しく立ち去っていった。
「か、勝てちゃった。すごい、これがタっくんの作った剣の力……。まるで、体の一部みたいに馴染む」
「お前の剣技もなかなかだったぞ、ノエル。もっとも、***の支援がなければ危うかったが」
「ねぇねぇタっくん!あとでお金は払うから、この剣はこのまま私の物に……。ってあれ!?ここ、壊れちゃったよタっくん!?」
「即席で特殊な強化を施しただけの剣だからな……。なんだ、壊れた剣に金を払ってくれるのか?背が小さいわりに財布はでかいんだな」
頬を膨らましながら、ポカポカとタイラーを叩くノエル。
「しかし、あのアルフレッドが暗殺された義勇兵団の生き残りだったとは。おまけに今は盗賊団ベガーズバンケットの団長、か。一体、ヤツは何を企んでいる……」
「ね、ねぇ。そのアルフレッドって人、タっくんの知り合いなの?」
「……古い友人であり、仲間だった。俺は昔、アルフレッドの義勇兵団に武器を作り、その活動を支援していたんだ。しかし、ある日を境に義勇兵団全員が姿を消した。その原因が暗殺によるものだったと知ったのは、つい先ほどのことだったが……」
タイラーの声が徐々に小さくなっていく。どうやら、あまり話したくない過去だったようだ。
「俺は、自分が見定めた相手にしか“戦うための剣”を作らない。だが、俺が作った“戦うための剣”を戦場に持ち出したヤツは、必ず俺の元からいなくなる」
「……そっか。だからタっくんは、貴族や王族を相手に“装飾としての剣”だけを作るようになったんだね。もう、友達を失うような想いはしたくないから……」
心配するノエルの言葉に、タイラーは首を横に振る。
「理由はそれだけじゃない。アルフレッドの野郎は俺に一度も代金を払わないまま姿を消したんだ。事あるごとに『あ、ツケで頼むわタイラー』と言っては、義勇兵全員分の武器を俺に作らせやがった」
「……え?」
「ああ、思い出すだけで腹が立ってきた。許せん、アルフレッドめ……。こうなったら宝剣を取り戻すついでに、踏み倒された代金を支払わせてやる……!行くぞ、ノエル、***!」
「ちょ、ちょっと待ってタっくん!なんかどんどん私怨っぽくなってきてるよ!?」
――その頃。リバデリーの奇襲に遭った時、完全に孤立した状態でアジト内を彷徨っていたベルシャは、明らかに“通常ではない者達”の襲撃を受けていた。
「はぁ、はぁ……。いや、ありえないでしょ。どさくさに紛れて逃げられると思ったのに……。ドラゴンやら何やら、変な連中に囲まれちゃうし」
自慢のスコップで傷だらけの体を支えながら、息を切らすベルシャ。
「はああぁ。あたし、まだまだ全然若いのに。こんなところで死ぬとか。なんて可哀そうなあたし……」
死を覚悟したベルシャにドラゴンの爪が迫る。しかし、その攻撃はベルシャを庇うように現れたノエルの巨大な盾によって阻まれる。
「ベルシャちゃん、大丈夫!?」
「……へ?あ、ありがと。えっと、小さな傭兵さん」
「ち、小さっ……!?ひひ、ひどい!これからおっきくなるし、それに私の名前はノエルだもん!」
ノエルに続き、タイラーと***もベルシャの前に立つ。
「こいつら、幻体か。そういえば、アルフレッドの義勇兵団の中には召術師がいたな。おそらく、その召術師が呼び出したものだろう……。仕方がない、相手になろう」
幻体と戦う
召術悪魔バトル
タイラー達が幻体と戦っている頃。朽ち果てた聖堂のホールには、盗んだ宝剣を護っている少女達の姿があった。
「ちょっとトーア。侵入者はまだ来ないの?せっかく良い感じで尖ってきたんだから、早く戦わせてよ!」
鉛筆状の槍を研ぎ澄ませながら、意気軒昂と声を上げる悪魔の少女は、召喚者であるトーアに声を掛ける。
「はいはい、落ち着いてねペンシルちゃん。丁度今、私の放った幻体達が倒されたみたいだから、そろそろここに来るはずよ。ええ」
「ホント!?ヒャッホーウ!ようやく削りに削った筆槍の切れ味を試せるのね!くぅ~、腕が鳴るわ。ねっ、イレイズ?」
ペンシルの問いに、イレイズと呼ばれた少女がおずおずといった様子で口を開く。
「お姉ちゃん……。あ、あのね。槍なのに切れ味って表現は、ちょっとおかしい気がするの……。ご、ごめん。余計なことだったよね」
「……ッ!た、確かにその通りね。よく言ってくれたわ、イレイズ!ふふっ、あんたもなかなか尖ってきたじゃない。さすがは私の愛する妹!それじゃあ、敵が来るまで“槍の切れ味”の別称を三人で考えましょう!」
もはや侵入者のことを忘れつつあるペンシルの提案に、召喚者であるトーアはニコリと微笑みながら答える。
「あらあら、くだらな……。とても楽しそうね。でも、残念ながらもう敵が来てしまったみたいよ。ええ」
トーアが人差し指を向けた先……古びた聖堂内の扉の前には、幻体達を打ち破ったタイラー達の姿があった。
「オースチンから侵入者があなただと知らされた時は正直驚きました、ええ……。お久しぶりですね、タイラーさん」
「アンタは……召術師トーア、だったな。一度、義勇兵団の会合に参加した時に姿を見かけたことがある。まさか、お前も生きていたとは」
「まぁ、覚えていてくださったのですね。非常に光栄です、ええ。しかし、どのような事情があれ、あなたと団長を会わせるわけにはいきません。ここは引き下がって頂けませんか?」
「そこにある宝剣さえ返してくれれば引き返そう……と言いたいところだが、お前らの団長がアルフレッドと知り、事情が変わった。どんなバカを企んでいるのか知らんが、ヤツには会わせてもらうぞ」
「あらあら。バカ、ですか……。彼の崇高な革命を、あなたはバカな行為と一笑するのですね。ええ」
とても悲しいことです……と、おっとりとした笑顔を崩すことなく、トーアは悪魔姉妹に向き直る。
「ペンシル、イレイズ。予定通り、力ずくで彼らを止めてください。いつも通り激しく、それでいてゆったり戦いましょう。ええ」
召喚者の言葉に応じ、ペンシルとイレイズは各々の武器を構えた。
「皆、気をつけろ。ペンシルとイレイズと呼ばれた二人は魔界から召喚された悪魔のようだ。身体能力は人間よりも上……。しかし、召喚者であるトーアさえ倒せば、あの二人は魔界へ送還されるだろう」
そう言うと、タイラーは炎を纏った魔槌を構え、簡易鍛冶キットをその場に広げる。
「今から俺は悪魔と優位に戦うための即席剣を作る。***とノエルはなんとか時間を稼いでくれ」
「うん。***さんと一緒ならなんとかなると思う。け、けど、なるべく早くお願いね?」
「ああ、まかせておけ。ベルシャ、お前には俺の護衛を頼みたい。もっとも、お前が俺の頼みを引き受ける義理はないとは思うが」
「……。まぁ、ボムの時といい幻体の時といい、鍛冶屋さんには二度も命を助けられてるワケだし。あたし、こう見えて意外と義理人情には厚いタイプなんだよね。つーわけで、護衛の仕事はキッチリ引き受けるよ」
短い作戦会議を終え、タイラー達は召術師と悪魔の姉妹と戦うことを決意するのだった……。
勝負を挑む
朽刃英雄バトル
「トーア、下がってくれ。そいつはオレの客だ」
タイラー達が二人の悪魔を魔界に送還させることに成功した瞬間。突然、一人の男が姿を現す。
「よう、タイラー。なかなか派手に暴れてくれているようじゃないか。まぁ、それはさておき……。再会を祝して一杯どうだ?」
「…………。アルフレッド」
「そう睨むな、親友。なに、オレは別にお前達に手荒なマネをする気はない。現に、先ほど捕えた傭兵達は多少の怪我こそ負わせたが、命までは奪っていない。“金は奪うが命は奪うな”が我々のモットーでな」
……どうやら、この男が盗賊団ベガーズバンケットの団長のようだ。
「そうだ、アジトでも案内しようか。ここは和平協定が結ばれる前、王国側が要塞都市として使用していた場所。が、今はこの通り打ち捨てられた廃墟だ。国に尽くし、国に捨てられたオレの境遇とよく似ているだろう?」
「……。革命を企んでいるらしいな、アルフレッド。だが、お前を嵌めた王国の連中はすでに現女王の手で処刑されている。お前が復讐したい相手は、もう王国にはいない……。実に無意味な革命だな」
「相変わらずストレートに物を言ってくれるねぇ。だがな、タイラー。理屈じゃないのさ」
アルフレッドは酒瓶に口をつけながら、自信に満ちた微笑を浮かべる。
「オレが率いていた義勇兵団の連中は、あの偽りの祝賀会での襲撃でそのほとんどが命を落とした。今でもあの時の光景は鮮明に思い出せる。矢の雨。悲鳴。血の涙。落ちる首……。武器を持ち込むことを禁じられていたオレ達は、まともに戦うことすら叶わなかった」
その微笑はやがて、後悔と怨嗟を含んだ険しい表情へと変わっていく。
「背中に矢を受けながらも、かろうじて逃げ延びたオレは連中への復讐を誓った。だが、復讐すべき相手は正義の象徴たる女王の手で処刑済……。わかるか?仲間だけでなく、憤怒と憎悪をぶつけるべき相手をも、オレは失っちまったんだ」
「だから王国に八つ当たりか?それではお前達を嵌めた連中と何も変わらない。アルフレッド、お前は失うことの悲しみを誰よりも知っているはずだ。だというのに、その悲しみに背を向け、自ら愚者へ成り下がろうというのか?」
「……。理にかなっていないワケじゃない。オレ達を襲撃した連中を、王国側が国政に携わらせていたのは事実。たとえそいつらが処刑されようと、野放しにしていたという事実は消えない。その罪を、王国は血で贖うべきなんだ」
そう言うと、アルフレッドは祭壇に置いてある宝剣を指差す。
「冬至の祝祭は、女王の生誕を数日に渡って祝う行事。そんな日に、自分に捧げられるはずだった宝剣によって女王は身を刺し貫かれる。なかなか気の利いた脚本だと思わないか?」
「……そんなくだらんことのために俺の宝剣を盗んだのか。ならば、なおのこと返してもらわないとな」
「断る。この宝剣はオレが果たすべき革命に必要不可欠なものなんでね。ああ、なんだったらオレが買ってやろう。いくらで売ってくれる?」
両手を大袈裟に広げ、皮肉げな笑みを浮かべるアルフレッド。対して、タイラーの表情は全く変わることはなかった。
「悪いがそいつは買い手が決まっている。なにより、お前が俺に金を払うとは思えん。商談はなし、だ」
「……そうかい。残念だ。お前ならオレの気持ちをわかってくれると思っていたんだがな。トーア、残りの魔力で氷精ルミナを召喚し、ヤツの仲間達にけしかけてくれ。タイラー、お前の相手はオレが直接してやる」
腰の刀剣を抜くアルフレッド。するとタイラーも、背中の筒に入った剣を一本、手に取る。
「ほう。まさか、このオレと剣で勝負するつもりか?確かに昔は腕を競い合ったこともあったが、全てオレの勝利に終わっていただろう。そして、剣の才がなかったからこそお前は家督を継ぎ、剣を作る側の人間になったと記憶しているが」
「……たとえ才がなくとも、俺は剣の修行を一日たりとも怠ったことはない。不思議なことに、俺は今のお前にだけは負ける気がしなくてな。かかって来いよ、“元英雄”」
タイラーは無表情のまま、剣の切っ先を元英雄へと向けた。
「やはり面白いな、お前は。ならば、その信念ごと斬り捨ててやろう。行くぞ、タイラー!」
元英雄と戦う
武闘派首領バトル
タイラーの静かな剣閃の前に、アルフレッドは刀剣と片膝を地につけた。
「……実力なら確実にオレの方が上のはず。なのに、なぜお前の剣術がオレの剣術に勝る……?なぜ……なぜ、お前はそこまで強くなった?」
「確かに、鍛冶屋でしかない俺が一流の戦士であるお前に勝てる道理はない。となれば、お前の腕が鈍ったのだろう。剣とは、護るべきものがあってこそ真なる力を発揮するもの。護るべきものを見失い、進むべき道を誤った時点で、お前は自分自身に敗けていた」
「……ならば教えてくれ。お前は何を護るために、オレとの勝負に挑んだんだ?」
アルフレッドの疑問に、タイラーは無表情のまま答える。
「最初は盗まれた宝剣を取り戻せればそれでいいと思っていた。だが、怪盗の口からお前の名を聞いた時、俺には二つ護るべきものができた。一つは……お前だ、アルフレッド」
「オレ、だと……?」
「お前が生きていると知った時、俺は……嬉しくてしかたがなかったんだ。たとえお前がどんな境遇にいようとも、そんなことは俺にとって些細な問題にすぎん」
そう言うと、タイラーはどこか優しげな微笑を浮かべながら、アルフレッドに手を差し伸べた。
「アルフレッド、よく生きていたな。友として、俺はお前を誇りに思う」
「……ふん。なら、ついでだ。二つ目の護るべきものとやらについても教えちゃくれないか?」
「俺の財布だ。さっさと剣の代金を払え」
「……く、はは。『ツケで頼むよ、タイラー』」
差し伸べられた手をとり、立ち上がるアルフレッド。そして、彼は聖堂の壇上に立てかけてあった宝剣を手に取り、それをタイラーへと手渡す。
「お前の言う通りかもしれん。オレは憎悪に溺れ、護るべきものを見失っていた。だがな、それでもオレは全てを許すことはできん。この想いだけは、どうすることもできないんだよ」
すると……。アルフレッドは疲れた目をしながら、刀剣の切っ先を自らの腹部に向けた。
「アルフレッド!お前、なにを……」
「盗賊団の連中は、皆がオレの信念に賛同してついてきてくれた連中ばかりだ。だが、今のオレにはもう、革命を起こすことはできないだろう……。仲間を裏切る以上、落とし前はつけにゃならん」
アルフレッドの行為を止めるため、タイラーは慌てて彼に駆け寄る。その時……螺旋を描く光弾が、聖堂の入り口からタイラーに向かって放たれた。
「……!タっくん、危ない!」
氷の精霊との戦いを終えたノエルが盾を構えながら、すぐにタイラーの元へと飛び出す。
なんとかタイラーを庇うことには成功したものの、光弾の威力を殺し切れず、ノエルとタイラーは大きく後方へと飛ばされてしまう。
「いんやぁ困っちゃうなぁ。そりゃ約束が違うでしょうがよ、英雄殿。お宅らが祖国に革命を起こすと聞いたから、我々連邦側は全面的なバックアップを約束したってのにねぇ。んー困っちゃうなぁ」
光弾を放ったのは、連邦国の最新兵器を腕に携えた大男――その姿を見た瞬間、アルフレッドの顔色が変わる。
「ヴァーツラフ……!貴様、なぜここにいる!?」
「お宅らのアジトが襲撃に遭ったって聞いたもんで様子を見に。しかし、お宅らの盗賊団が今、我々を裏切る旨の発言をしたもんで、一つ強硬手段を取ろうと思ってねぇ」
背後の数十名の部下を連れて現れたヴァーツラフという男……どうやら彼は連邦側の武闘派組織の人間であり、盗賊団と手を組み、王国の転覆を目論んでいるらしい。
「『王国が切り捨てた救国の英雄を連邦が匿い、英雄の意志を汲んで連邦側は英雄に協力。腐敗した王国を打ち倒す』というのが革命の筋書き。ここでアンタに死なれちゃ大義名分がなくなる。ということで、一つ脅迫をしよう。もしアンタが死んだ場合、我々はアンタの仲間達を一人残らず抹殺すると」
「……ッ、オレの仲間を人質にするつもりか?」
「そうでもしないと、こちらがお宅らに裏切られかねないんでね。さぁ、これで英雄殿には革命を起こす道しかなくなった。あとは……我々の計画を知ってしまった侵入者共を根絶やしにするだけだなぁ」
その邪悪な視線は***とベルシャ……。そして、先ほどの攻撃でダメージを負ったタイラーとノエルへ注がれた。
「……っ。ノエル、無事か?」
「う、うん。ごめんね、ちゃんと防ぎきれなくて。やっぱり、私って頼りにならないね……」
「何を言っている。お前が防いでくれなければ俺は死んでいた。ここに来るまでだって、俺は何度もお前に助けられている。だから……お前を本物の戦士と見込んで、こいつを託す」
「……え?こ、これ、女王様に渡す宝剣……?」
「そいつは宝剣であると同時に“戦うための剣”でもある。俺が作った最高傑作……お前なら必ず使いこなせるだろう」
ノエルはタイラーの宝剣を手に取り、仲間達と共にヴァーツラフと戦うことを決意する。
「あくまで抵抗する気かい。困っちゃうなぁ。まぁ、この数を相手にできるもんならやってみろっつー話だが……おや?」
そして……タイラーの隣には、アルフレッドの姿があった。
「加勢するぜ、タイラー。元英雄としてでも、盗賊団としてでもなく……。お前の友として、お前を守る」
「チッ。どいつもこいつもめんどくさいねぇ。おいお前ら、裏切り者とはいえアルフレッドだけは殺すなよ。それ以外は全員……徹底的に抹殺しちまいなぁ!」
徹底的に抵抗する
エピローグ
「ぐっ……。バ、バカな。俺の計画が、こんなところで……ぐふぉあッ!」
盗賊達の加勢もあり、タイラー達はヴァーツラフとその部下達を倒すことに成功した。
「……これが全てだ、タイラー。オレは隣国の武闘派組織と手を組み、王国転覆を目論んでいた。お前の言う通りだよ。オレは、救いようのない愚者になり下がっていたらしい」
刀剣をしまうと、アルフレッドは自らの心の弱さをタイラーに吐露する。
「……だとしても、お前は最後の最後で踏み止まり、俺達を救ってくれた。それに、お前に救われたのは俺達だけじゃない」
タイラーが指差した先には、アルフレッドを慕う盗賊団のメンバー達の姿があった。
「後ろの連中は、今でもお前のことを信じているようだ。それでもお前は、自ら命を断つことが最良の方法だと思うのか?」
仲間達の視線とタイラーの言葉を受け、アルフレッドはしばらく沈黙する。
「……どうやらオレは自分を見失いかけていたようだ。だが、この地にいる限り、オレは無残に殺されていった仲間達のことを思い出しちまう。悲しみは狂気へ姿を変え、いつだってオレを飲み込もうとする。オレは、負の感情に負けそうな自分が怖い」
自らの弱さを認め、改めてタイラーと向き合うアルフレッド。
「友よ。オレは仲間達と共に、この地を去る。そして、いつか心の弱さを克服した時に、また戻って来るかもしれん。その時はオレを煮るなり焼くなり……。まぁ、好きにしてくれ」
アルフレッドは金貨の入った袋をタイラーに手渡すとヒラヒラと手を振り、仲間達とその場をあとにした。
「よかったのか、ノエル。傭兵という立場上、お前には手配犯であるアルフレッドを捕える権利があるはずだが」
「……うん。あの人が義賊として法を破っていたのは確かだし、王国を転覆させようとしていたのも事実だけど……正直、私にはあの人が悪い人には見えなかったし。あの人のことを王国が裁くのはなんだか、違う気がするなって」
それに……と、ノエルは続ける。
「権利はあくまで権利。行使するのも放棄するのも、私次第だもん……って、こんなことじゃいつになっても騎士になれないよね。あはは……」
そう言うと、ノエルは受け取った宝剣をタイラーに返そうとする。
「……いや、その宝剣はお前のものだ。お前が使ってくれ」
「え、ええっ!?だってこれ、女王様に渡す剣なんじゃ……」
「俺にとってお前は本物の戦士だ。ゆえに、俺の最高傑作であるそいつを受け取るのはお前しかいない。まぁ、冬至の祝祭のプレゼントだと思ってくれ」
「で、でも、女王様に渡す剣はどうするの?」
「また作り直すさ。幸い、まだ日にちはある。それに……心のつっかかりが取れたからな。今の俺なら必ずそれ以上の剣を作れる。そんな気がするんだ」
タイラーの言葉に、ノエルは少しわざとらしく頬を膨らませた。
「むっ、それはそれでちょっと複雑だな。せっかく現時点での最高傑作を貰ったのに、すぐに最高傑作を作っちゃったら私のが一番じゃなくなっちゃうし」
「不満か?なら、また俺の工房に来るといい。お前のためなら、いくらでも剣を作ってやるさ」
――彼らがいれば、この世界は大丈夫だろう。***は直感的にそう確信する。
「いやー、おつかれさん。まぁこれで貸し借りなしだし、私はなんだかんだ裁かれそうな雰囲気だし、そろそろおいとましようかなっと。***も、ここは一つ見逃してよねー。さいならー」
ちゃっかり逃亡を図っていたベルシャの背中を見ながら、***もその場を後にしたのだった……。
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