反逆のブラックローズ_プロローグ
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story by 間宮桔梗
187:反逆のブラックローズ
- ブッチギリ編-

開始前

プロローグ


眩しい光に包まれ、(プレイヤー名)は強く目をつぶる。
ゆっくりと目を開くと、そこは死の気配が漂う、夜の森の中だった。
その独特の空気に触れ、(プレイヤー名)はここが魔界であることを察知する。
「……ッ!?あぶねェ!」
瞬間、(プレイヤー名)は横から飛び出してきた誰かにぶつかり、地面に倒れてしまう。
「テメェ、どこ見て歩いてンだ!大丈夫か!?ケガしてねーかコラ!?」
罵声を飛ばしたかと思うと、目つきの悪い少年は絆創膏を取り出しながら、(プレイヤー名)に優しく手を差し伸べる。
「ヘイ、ようやく追いついたゼ。レンヴィ君よォ」
(プレイヤー名)が立ち上がると同時に、木々の隙間からウサギの耳を垂らした一人の男が姿を現す。
「チッ。ポロリーだかソボロー様だか知ンねーけどよ、こっちは急いでンだ。とっとと失せな」
「おやおや、ずいぶン挑発的だねェ。知ってンぜ?テメェ……侵略魔王と名高い、あの絶王ウェンネルの息子なンだってなァおイ?」
「……だったらなンだ?コラ」
「なァに。俺様にブルッて逃げ出しちまうたァ、絶王の一族ってのは相当マヌケな血筋なンだなァおイ……って思ったもンでさァ」
「へっ、俺はクソ親父には勘当されてっかンな。絶王の血なンか知ったこっちゃねー。わかったなら回れ右して帰れや。そっちの方がお互いハッピーになれンぜ?」
「あァン?そりゃどういうこったァおイ?」
「永い眠りから覚めたばっかりなモンでね、手加減できる自信がねーンだ。不運(ハードラック)な目に遭う前に早く消えちまえ。ダボが」
レンヴィの言葉に、イポローは大袈裟に体を動かしながら哄笑する。
「はーはっはっは!いいねェ、なかなかの生意気っぷりじゃンよ!ますます気に入(フェイバリ)ったぜェおイ!」
ひとしきり笑い終えると、イポローは再びナックルを構えた。
「来いよレンヴィ坊や!その言葉が嘘か真か、俺様のカチワリグローブで確かめてやンぜェおイ!!」
「……ったく、人の話を聞きやしねェ。おい、アンタ!名前は…………へぇ、(プレイヤー名)っつーのか。イカす名前じゃねェかコラ!」
バシーンと(プレイヤー名)の背中を思いっ切り叩くレンヴィ。
「あの野郎はここをシメてる魔族(ゾク)でな。縄張り(シマ)に入ったヤツぁ一人も逃がさねェって野郎だ。どうやら、アンタも標的(ターゲット)にされちまったようだぜ?」
彼の言う通り、イポローの殺伐とした視界にはレンヴィだけでなく、(プレイヤー名)も入っているようだ。
「喧嘩(や)るのも一つの手なンだが、本命との喧嘩に備えて体力を温存しておきたくてよ。無駄な戦いは極力避けながら森を抜けてェんだ……頼む、協力しちゃあくれねーか?」
少し悩んだ末、このまま森にいるのは得策ではないと判断した(プレイヤー名)は、レンヴィの提案を飲む。
「へへっ、あンがとよ。んじゃ、森を出るまでアンタは俺の相棒だ。よろしくな、(プレイヤー名)!」
レンヴィと共に、(プレイヤー名)は森の出口に向かって駆け出した。
「そうだ、コレを預かってくれ。森の結界を解く鍵らしくてな。こいつがなきゃ外に出れねーンだと。隙を見て妖精の女(ナオン)からパクってきたんだが、アンタが持ってた方が安全そうだ」
(プレイヤー名)は、レンヴィから妖精の髪飾りを受け取った。
「んじゃ、出ッ発(デッパツ)すっか!ちゃんとついてこいよ、相棒!」
>>森を抜ける<<

おっしゃ、そろそろ疾風(はし)るとすっか!
森は暗いから、足元には気ぃつけンだぞ?
まずは軽く500kmぐらい疾風(はし)ってみっか!
(プレイヤー名)。こいつを頼む。
お前に預けときゃあ間違いなさそうだ。

まどろみ妖精の髪飾りを1個手に入れました。
んじゃ、出ッ発(デッパツ)しようぜ!
森を抜ける
エピローグ

「ヒャッハー!ようやく追いついたぜェおイ!さあ、俺様と決着(ケリ)を……うごぉあああっ!?」
森の出口へ差し掛かると同時に、追ってきていたイポローの顔面に拳をぶち込むレンヴィ。
「ごふっ!な、な……なんじゃこりゃああああっ!?」
イポローは手に付着した鼻血を見ながら驚愕の声を上げ、しばらく立ち尽くしたかと思うと……やがて、白目を向いて仰向けに倒れた。
「……あンがとよ、イポロー。アンタのおかげで身体が温まったぜ。これで遠慮なく絶王城に乗り込めるってモンだ」
「ストップです、レンヴィちゃん」
森を出ようとしたレンヴィと(プレイヤー名)の前に、一人の妖精が立ち塞がる。
「どこへ行くのですか?この先には、今は亡き絶王ウェンネルの城があるだけです」
「……エオス。お前もわかってンだろ?俺が目覚めたってこたァ、ウェンネルが……俺の親父が蘇ろうとしてるってことだ。あと、ちゃん付けやめろやコラ」
「では、言い方を変えます。なぜ、絶王城へ行くのですか?」
「親父の復活を止める。アイツが蘇っちまえば、人間や魔族にまた多くの犠牲が出る。それだけはなんとしても阻止しねーと。母さんのためにもな」
「……レンヴィちゃんはもう、絶王の血族とは縁を切ったのでしょう?なのに、なぜ関わろうとするのです?」
エオスの真剣な問いに、レンヴィはどこか遠い目をしながら、ゆっくりと口を開く。
「……俺がガキの頃、母さんは城に攻め込んで来た人間達から俺を庇って死んじまった。んでさ、死に際にこう言ったンだ。『恨んじゃいけない。復讐しちゃいけない』」
だが……と、続けるレンヴィ。
「あの時の俺は、真っ黒な復讐の火を消すことができそうになかった。だから俺は復讐心を鎮めるため、お前に頼んで永い眠りにつくことを選んだ。母さんとの約束を守るために。それと……ちゃん付けやめろ」
……今の彼からは、復讐心というものは微塵も感じられない。彼はただ、純粋な想いで父親を止めようとしている。少なくとも、(プレイヤー名)の瞳にはそう写った。
「……気配から察するに、絶王はまだ蘇生していません。おそらく、彼の配下達が復活の儀式を執り行っている最中なのでしょう。その儀式を阻止しに行くということは、レンヴィちゃん……あなたは」
「身内を全員敵に回すことになるってことだろ。覚悟の上さ……。そして、ちゃん付けをやめろ。まずお前はちゃん付けをやめろ」
やれやれ、とため息を吐くレンヴィ。
「泣くなよ、エオス」
ぽんぽん……と、レンヴィはエオスの頭を撫でる。
「……絶王城へ乗り込むなんて、命を捨てにいくようなものです。私……レンヴィちゃんの変わり果てた姿なんて、見たくない……」
「必ず帰ってくる。約束すっからよ……今まで見守ってくれて、あンがとな」
少年は無邪気に微笑みながら、妖精と別れの挨拶を済ませた。
「……待ってください、旅のお方。どうやら、あなたには不思議な力があるようです。どうか、その力でレンヴィちゃんを守ってあげてくれませんか?」
「っておい、なにを急に……!そりゃ(プレイヤー名)が一緒に来てくれりゃこっちは大助かりだが、この件は俺が一人で決着を」
「お願いします、(プレイヤー名)さん!この通りですっ!」
涙を流しながら、深く頭を下げるエオス。
――ここまで頼まれてしまっては、断れない。
それに、(プレイヤー名)は一人の旅人として、彼の紡ぐ物語に純粋に興味が湧いてきていた。
「ケッ、勝手にしろってンだ。言っとくが、死ンでも骨は拾わねーぞコラ!」
そう言うと、レンヴィはズカズカと絶王城へと続く道を踏みしめていく。
「フン……。俺がいる限り、絶対に骨にはさせねーけどな」
反逆のブラックローズ -ブッチギリ編-完
レンヴィの向かう先には
何が待っているのか!?
何が待っているのか!?
story by 間宮桔梗
188:反逆のブラックローズ -カチコミ編-

開始前
いきなりマブいのがきたぜ!
教師を突破しよう
プロローグ


「……!(プレイヤー名)、あぶねェ!」
突如、耳をつんざくような破裂音が(プレイヤー名)の足元から発せられた。
……危なかった。レンヴィが止めてくれなければ、(プレイヤー名)は……
「はい、そこの不良少年と旅人風の人。止っまりなさ~い」
彼女の持つ、あの茨の鞭の餌食になっていたに違いない。
「テ、テメェはグラーシャ!?絶王城の専属教師(センコー)のお前が、どうしてこんな場所に……ぬおおっ!?」
超高速の鞭が、レンヴィのリーゼントヘアの先端を掠めた。

「レンヴィく~ん。テメェ、じゃなくてグラーシャ先生でしょ~?そんな口の悪い子を城へ通すわけにはいかないかなぁ」
「……グ、グラーシャ!アンタは母さんと同じで、クソ親父の侵略抗争(センソー)には反対してたはずだろ?なら、そこをどいちゃあくれねーか?」
冷や汗を掻きながら、レンヴィはグラーシャに和解を求める。
「あら、やっぱりお父さんの復活を止めにきたってワケかぁ。ま、大方予想はついてたけどねー。カモ~ン、ネザーローズ」
グラーシャが指をパチンと鳴らすと、鋭い牙を持つ巨大な薔薇が地面を喰い破りながら生えてきた。
「だったら、なおのことレンヴィ君を城に通すワケにはいかないかな。って言っても君のことだから、先生の言うことなんか聞いてくれないんだろうけど」
「……へっ、どうだろーな。俺は姉ちゃンよりも優等生だったかンな。こう見えて、聞き分けは悪くない方だと自負してンぜ?だがな、グラーシャ。一つだけ……どうしても許せねェことがある」
冷たく沈んでいくレンヴィの瞳。彼の隣にいた(プレイヤー名)だけが、その変化に気付く。
「(プレイヤー名)を……俺の相棒を真っ先に狙いやがったな?」
鋭いガンを飛ばすレンヴィ。しかし、グラーシャは意に介した様子を見せず、微笑んだまま。
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ~って教えたことあるでしょ?レンヴィ君を倒すなら、君が頼りにしてるらしいその相棒とやらを先に倒した方が楽になるかな~って思って」
ピキピキ、という音がレンヴィから聴こえた……気がした。
「……上等だコラ!激マブの教師(センコー)だろうが容赦しねェからな!力ずくでもそこをどいてもらうぞコラ!」
こめかみに青筋を立てながら、レンヴィは武器を構えた。
「はあ、どうしてこんな子になっちゃったかなぁ。まぁ、生徒の不始末は教師の責任、か」
グラーシャが鞭で地面叩くと、巨大な薔薇は大きく口を開き、牙を剥いて襲いかかってきた。
「では、定期試験よりもず~っとキツイ実技試験を始めましょう。もちろん、抜き打ちでね……!」
>>突破する!!<<
位置登録だァ?最高にCOOLじゃねーかコラ!
チィ、目の前に絶王城があるってのによォ!
なにがなンでも、クソ親父の蘇生を阻止しねーと!
親友(ダチ)と一緒なら、どんな苦難もお茶の子さいさいだコラ!
っしゃあ!集会(まつり)だコラァ!
希望(チャンス)を掴むのに、理由がいンのかよ?
派手に疾風(はし)ろうぜ!『音速のあっち側』までよォ!

立ち止まってる場合じゃねェ!
協力してくれ、相棒!
突破する!!!!
エピローグ

「……完敗ね。さすが、私の自慢の生徒ってコトかしら」
レンヴィと(プレイヤー名)はグラーシャの猛攻をやり過ごし、巨大な薔薇の怪物を討ち倒した。
「持って行きなさい。そんな棒きれ一本じゃ、絶王城に入った瞬間にやられちゃうわよ?」
薄く、それでいて優しい笑みを浮かべながら、グラーシャは一本の剣をレンヴィに差し出す。
「……グラーシャ、アンタ」
「どうにかして止めたかったんだけどね。あなたが自分の家族と戦うのを。けど、魔界では力が全て。私にはあなたを止める力がなかった。それだけのこと……じゃあね、レンヴィ君」
「……っ、待てやコラ!」
すれ違いかけたグラーシャの肩に手をかけるレンヴィ。
「なァ、アンタだってクソ親父が生き返るのには反対なンだろ?なら、一緒に……んむっ?」
グラーシャは人差し指を、そっとレンヴィの唇にそえる。
「私はただの教育係。ウェンネル様の血を引くフレテアちゃんとレンヴィ君にお勉強を教えるだけのね。それ以上でも、それ以下の関係でもないのよ。だから、ここでお別れ」
小さくウィンクをすると、グラーシャはレンヴィの唇からそっと指を離した。
「最後にイイコト教えたげる。絶王復活の儀式を行っているのは、マルドゥックっていう名前の神官よ。フレテアちゃんが城に招いてからずっと、こうしている今も、その神官は儀式を続けているわ」
「……!そう、か。やっぱり事の元凶は姉ちゃん……いや、フレテア……なンだな」
どこか遠い目をしながら、レンヴィは僅かに表情を曇らせる。
「儀式が終わる前にマルドゥックを倒すことができれば、あなたはお父さんと戦わずに済む。それは……とてもステキなコトだと思うわ」
そう言うと、グラーシャは城とは逆の方向へと足を進めていった。
「おいっ!」
去りゆく背中に向かって、レンヴィは声を張り上げる。
「あンがとな。グラーシャ…………先生」
彼女は振り返ることなく、一瞬だけ足を止める。そして、こちらに背中を向けたまま、手をひらひらと揺らし……その場から立ち去っていった。
「…………っ、な、なンだよ?泣いてなンかねーぞ、コラ!」
(プレイヤー名)を怒鳴りつけながら、レンヴィは袖で目元をゴシゴシと擦る。
「チッ……。こんな情けねェ姿を見られちまった以上、お前には最後までとことん付き合ってもらうかンな!覚悟しとけよコラ!」
口調こそ荒いが、レンヴィは先ほどまでとは違い、とても晴れやかな顔をしていた。
「っしゃあ!そうと決まりゃ、城に向けて出ッ発(デッパツ)だ!行こうぜ、相棒!」
そして、(プレイヤー名)とレンヴィは絶王城の中へと向かうのだった……。
反逆のブラックローズ -カチコミ編-完
親父の復活を
阻止しに行くぜ!
阻止しに行くぜ!
story by 間宮桔梗
189:反逆のブラックローズ -ユイガドクソン編-

開始前

絶王の復活を阻止できるのか!?
プロローグ


「こんな形で城に帰ってくることになるたァな。にしても、ひでェ荒れっぷりだぜ……」
数十年前、絶王城は世界中の英雄をかき集めた人間連合軍の攻撃を受け、レンヴィの父である絶王ウェンネルと共に陥落したという。
しかし、廃墟と化したはずの城からは、邪悪な気配が轟々と漂っていた……。
「……!(プレイヤー名)、気をつけろ。あそこに誰かいやがる」
ゆっくりと奥へ進む(プレイヤー名)とレンヴィ。
「そこをどいてほしいっす!あたしはなんとしても兄様を見つけなきゃならないんっすよ!」
そこには、トンファーを構える一人の人間らしき少女と……
「はんっ、知ったこっちゃないネ。侵入者は排除しろとの命令だ。悪いケド、生きて返さないヨ!」
ヨーヨーを持った魔族の少女が、お互いをけん制し合っていた。
「おいおい、なンでこんなところに人間の女(ナオン)がいンだよ……。チッ、どうする相棒?ここは人間の方に加勢してみっか?」
「……!今の声、まさか……レンヴィ!?」
「ゲッ!?な、なんつー地獄耳してンだよ、あのヨーヨー魔族……!」
隠れることを諦め、(プレイヤー名)とレンヴィは二人の少女の前に姿を現す。

「や、やっぱりアンタかい、レンヴィ!え、えへへっ、来るって信じてたヨ……?」
どうやら、ヨーヨーを持った魔族はレンヴィのことを知っているらしい。しかし、レンヴィは……
「あン?誰だテメー」
「……ッ!?お、おいおい、冗談だろ……?アタイだヨ、魅離亜羅だヨ!ガキの頃、よく一緒につるンでたじゃないか!」
「ミリアラだァ?そりゃ知ってっけどよォ。俺の知ってるミリアラはもっとこう、病弱で儚げなお嬢様って感じだったぜ?ドレス着て、日傘して、髪がカールしてて」
「イメチェンしたのサ!ほら、アンタ昔、強い女(ナオン)が好きだっつってたろ?だからアタイ、強くなったのサ。他でもない、ア、アンタのためにサ……」
レンヴィは数秒、頭を捻ったあと……
「っざけンなコラ!明らかに別人じゃねェか!俺の知ってるミリアラはなァ、そんな時代遅れの女番長みてェな恰好はしねーンだよ!」
「~~~~ッ!!」
ピキピキッ、という音が魔族の少女から聴こえた……気がした。
「……こっちは何年もアンタを待ち続けてたってのに。そのためだけにマルドゥックの用心棒を引き受けたってのに……ッ!」
ぷるぷると震えながら、魅離亜羅はヨーヨーをぎゅっと握りしめる。
「上等だヨ、レンヴィ!この魅離亜羅の乙女心を踏みにじった罰、た~っぷり受けてもらうヨ!」
「ハンッ、時代遅れの女(ナオン)がミリアラを騙りやがって!かかってこいやコラ!ミリアラのためにもテメェをぶっ倒してやらァ!」
「だからッ!アタイがそのミリアラだっつってンだヨッ!!」
火花を散らせる二人を遠くから傍観していた(プレイヤー名)と人間の少女は、互いに顔を見合わせる。
「……よ、よくわかんないけど。あの魔族と戦うってことなら加勢するっすよ!あたし、サレナっていいます!よろしく頼むっす!」
(プレイヤー名)はレンヴィとサレナと共に、女番長ミリアラに挑むのだった……!
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ランキングに関係なく、一定数の【反逆メダル】を集めると役立つアイテムが貰えるらしいぜ?
なかなかヤバそうなのが出てきたな……。へへっ、燃えてきたぜコラ!
アイテムショップで手に入る「アレスの鍛錬書」を使えば、苦労せずLv80になれンだってよ!マジパネェ!
「土地力」から得られるパワーってのはすげーンだぜ?ガンガン溜めていくぞコラ!
群れるのは好きじゃねーけどよ、頼れる親友(ダチ)が一緒ってことなら話は別だコラ!
強くなればなるほど、クソ親父の復活を阻止できる可能性が上がる。なら、強くなるっきゃねーよな!

強い敵を倒していけば、より多くの【反逆メダル】が貰えるンだってよ。
敵の情報は、他のプレイヤー達が「イベント掲示板」に書き込んでくれっから、こまめにチェックしようぜ!
クエストか……。
強くなれるってンなら、試してみンのもワンチャンありだな!
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愛涙鎖鋸バトル


圧倒的な力の差を見せつけたレンヴィ達。すると、魅離亜羅は……
「……ひ、ぇぐっ……レ、レン君のバカーーーー!!」
赤ん坊のように泣きわめきながら、城の出口へと走り去って行ってしまった……。
「レン君だァ?俺のことをそう呼ぶのは本物のミリアラだけのはず。まさかアイツ……って、ンなワケねーか」
「あ、あなた、一体何者っすか?その強さ……やっぱり魔族、なんすか?」
サレナは訝しげな視線をレンヴィに送りながら、トンファーを構える。
「あン?まぁ、魔族っちゃ魔族だな。ガキの頃はここに住んでたンだが……ちょいと理由があって、今は城の連中とケンカ中よ。で、お前はなにしに来たンだ?」
「ぜ、絶王城に住んでた魔族なんかに話すことはないっす!助けてくれたことには礼を言いますけど、あたしは」

「サレナさ~ん!へ~る~ぷ~み~ッ!」
サレナがなにかを言いかけた瞬間、遠くから悲鳴のような声が聴こえた。
「……!今の声。まさか、マーリン!?た、大変っす、すぐ助けに行かないと!」
「あ、おい待てやコラ……って、行っちまったし。チッ、どうするよ相棒?俺達も行くか?」
レンヴィの問いを肯定し、(プレイヤー名)は首を縦に振る。
「へへっ、そう言うと思ったぜ。アイツが死体にでもなっちまってたら、さすがに夢見がわりぃもンな!」
(プレイヤー名)とレンヴィはすぐにサレナの背中を追いかけ……拷問室らしき部屋へ辿り着いた。
「お前……罪人拷問官ニベロスか!?まだ城にいたのかテメェ!?」
「ひっ!?レ、レンヴィ坊ちゃん?は、はわわ。ど、どうしよぉ。と、とりあえず、おかえりなさいませぇ……ずいぶんと大きくなられて……」
ニベロスという少女は涙目になりながら、レンヴィ達と、寝台に縛られた魔術師風の少女を交互に見つめる。
「あ、あのぉ。私、今からこのマーリンさんって人を、ご、拷問しなくちゃいけなくてぇ……侵入者は徹底的に痛めつけるようにって、フ、フレテア様に言われててぇ……」
「よせ、ニベロス!これ以上、この城を誰かの血で汚さねェでくれよ……頼むからッ!」
真剣な眼差しで訴えるレンヴィの姿を見て、ニベロスはおろおろと戸惑いながら口を開いた。
「え、ええっ?でしたら、その、血が出ない拷問なら構いませんか……?釜茹でとか電気責めとかぁ……」
「そういう意味で言ったンじゃねェよダボが!えぇい、サレナ!こいつは俺が引きつけっから、早くそのマーリンって子を助けてやンな!」
「りょ、了解っす!」
拷問を止める
武装魔団バトル


「は~、助かったよ。サレナさんと一緒に魔界まで来たのはよかったんだけど、帰りに捕まっちゃってさぁ」
ニベロスを気絶させ、マーリンを救出することに成功したレンヴィ達。
彼女は次元魔法使いという肩書を持ち、次元移動魔法を用いた『運び屋』を生業としているらしい。
「あなた達は命の恩人だね。そうだ!よかったらこの巻物(スクロール)をお一つどうぞ。これを使えばお城の外まで一瞬で出られるの。でも、一回使うとなくなっちゃうから気を付けてね。じゃ、ばいば~い」
マーリンはぺこりと頭を下げると、次元移動魔法で元の世界へと戻っていった。
「あ、あの!先ほどは失礼しました!“魔族なんか”なんて言ってしまい……しかも、二度も窮地を救ってくれたお方に向かって!サレナ、全力で反省っす!」
「あン?別に気にしてねーよ。ンでよォ、お前はなにしに城に来たンだよ?」
どうやら彼女は、数年前に絶王城で行方不明になった自分の兄の痕跡を探すため、はるばる人間界からやってきたらしい。
「ダグラスっていう名前なんですけど、聞いたことないっすか?」
「……っ。い、いや。知らねェな……」
英雄ダグラス。それは、かつて絶王ウェンネルを……レンヴィの父親を討ち倒した人間の名前だった。
「あの、レンヴィさん!城を回るのなら、あたしも連れていってほしいっす!こう見えてもあたし、腕っぷしには自信がありまっす!」
レンヴィにとって、サレナは父親の仇の妹。そんな彼女の頼みを、レンヴィは……
「チッ……自分(テメェ)のコトは自分(テメェ)で守れよ?それと、レンヴィでいい」
「了解っす!では、レンさんと呼ばせて頂きます!」
……なにか思うところがあったのか、サレナの同行を許可するのだった。
「んじゃ、時間もねェしさっさと……って、なんじゃこりゃああああッ!?」

気が付くと、レンヴィ達は武器を持った魔族の軍勢に囲まれていた。
「レ、レンさん!さすがにこれでは多勢に無勢っす!」
「わかってらァ!チィ、気配も生気もまるで感じねェ……自動人形の一種か。くそ、どうする……」
すると、次の瞬間。一人の男がシャンデリアから急降下しつつ攻撃を加え、軍勢の一部を蹴散らした。
「おイおイ、レンヴィ君よォ……。こんなところで手こずってンじゃねェぞおイ?」
「テ、テメェはイポロー!?アンタ、どうして……」
「あァ?一対一(タイマン)張ったら親友(マブダチ)だろーが。ンなことも知らねェのかァおイ?」
ニヤリと微笑を浮かべながら、イポローは指笛を鳴らした。
「舎弟ども、出番だぜェ!魔界チーマー『兎羅鋏(とらばさみ)』の力を見せてやろうぜェおイ!」
…………しかし、誰も現れなかった。
「し、しまったァ!舎弟は全員ゴミ拾いのボランティアに行ってンだったぜェおイイイィ!」
「なにしに来たンだよテメーは!けど、けどよォ……メチャクチャいい舎弟持ってンじゃねーかコラ……ッ!」
「って、泣いてる場合じゃないですよレンさん!き、来たっすよ!?」
ぶっ飛ばす
慈愛狂想バトル


「首領(キング)!お待たせしてしまい、かたじけない限り。ただちに助勢いたします」
突如、黒竜に乗った少女が舞い降り、イポローに加勢する。
「来てくれたのかァ、リエッタ!へへっ、助かったぜェおイ。ここはまかせていいかァ?」
「御意。どうか、ご武運を」
黒竜に跨り、リエッタはたった一人で敵の軍勢へと飛びかかる。
「おい、イポロー!テメェ、女(ナオン)一人にこの数を相手させる気かよ!?見損なったぜコラ!」
「安心しなァ。リエッタは魔界チーマー『兎羅鋏(とらばさみ)』随一の実力者だぜェおイ。つか、ぶっちゃけ俺様より強ェし」
イポローの言う通り、黒竜に乗ったリエッタの力は圧倒的で、次々と敵の軍勢を圧倒していく。
「おら、モタモタしてねェで行くぜェおイ!」
リエッタに敵の軍勢を任せ、レンヴィ達は城の上階へと走っていく。すると……

突然、周囲が神々しく轟々しい激光で包まれ、美しい人間の女性が姿を現した。
『ああ、レンヴィ。来てくれたのね』
「……!バ、バカな……どうして、母さんが……こんなところに」
驚愕するレンヴィを見て、その女性は優しく微笑む。
『驚くのも無理はないわ。でもね、レンヴィ。私はこうして生きている……だから、もう戦わなくてもいいのよ』
「ぁ……かあ、さん……」
レンヴィは虚ろな瞳をしながら、女性の元へとフラフラと歩み寄って行く。(プレイヤー名)達がいくら呼びかけても、こちらの声は届いていないようだった。
『ああ、いい子ねレンヴィ。大好き……愛しているわ……さあ、そこの人達を……殺しなさい』
「……こ、ろ……す……?」
剣を抜き、(プレイヤー名)達にその切っ先を向けるレンヴィ。
『そう、殺すのです。ほら、そこの少女はあなたのお父さんを……私の夫、ウェンネルを殺した人間の妹なのでしょう?あなたの手で復讐を果たすのよ、レンヴィ……』
「……復讐……母さん、は……復讐しろ、なんて……ッ、言わなかったはずだ……!」
レンヴィは振り向くと同時に“自分の母親の形をした何者か”に剣を振るった。
『……まァ。母親に刃を向ケるなんテ……カなシぃワ。ワタしはとテモカナシイワ。レンヴィ。レェンンヴィィ゛イ゛』
「黙れ!母さんを騙りやがって……許さねェ。お前だけは徹底的にぶちのめしてやる!覚悟しやがれ!」
討伐する
姉弟猛刃バトル


「……やっぱりこいつも自動人形か。チィ、どこのどいつだ?こンなゲスいマネをしやがるのは……!」
レンヴィの母親、シルヴィア。その姿を象った自動人形は、レンヴィの手によって破壊された。
「まぁ……冷たいのね、レンヴィ。やっぱり、人間の穢れた血が混じっていると粗暴になってしまうのかしら。怖い怖い」
突如、(プレイヤー名)達の目の前に三人の少女が現れた。
「……ッ!ね、姉ちゃん……!?」
驚くレンヴィの言葉に、髪を二つに分けた魔族の少女が、悠然とした様子で口を開く。

「せっかく用意してあげた母親をあんな風に壊してしまうなんて。どう思う?キュルソー」
「はい、フレテア姫!今、魔界全土で最も反抗期なのがレンヴィ坊やであるとウワサになっているのですが、まさか母親を殺すだなんて……背中に電撃が走るほどの衝撃でしたっ!」
「あなたらしい実にシビれる意見ね。バティは?」
「……火に油を注ぐような言い方になるけれども。私は早く、あのダサリーゼントをチリチリに燃やしたくてウズウズしているの。フレテア姫」
「さすがバティ!とってもホットでクールな提案ね!もぅ、惚れ惚れしてしまうわ」
和気あいあいとやり取りをするフレテア達を、レンヴィは鋭い眼光で睨みつける。
「あの自動人形は……姉ちゃんが作ったのか?」
「はあ?私はマルドゥックに頼んだだけよ。あなたの母親を似せた人形を作るようにって。フフ、感動の再会というシチュエーションを組んであげたお姉ちゃんに感謝してほしいわ」
「ッざけンなコラ!お前が俺のことを嫌ってンのは知ってっけどよォ……さすがにあそこまでするこたァねーだろ!」
「あら?私はあなたのことを嫌っているわけじゃないわ。ただ、哀れんでいるだけ。魔族という気高い血に、人間の穢れた血が混じってしまった愚弟を哀れんでいるの」
そして……と、声色を重くしながら続けるフレテア。
「そんなまがい物の愚弟が生まれたせいで、私は父上の寵愛を受けられなくなった……。おかげで私のプライドはズタズタよ。ねぇ、どう責任を取ってくれるの?レンヴィ……ねぇ、レンヴィってばぁ」
フレテアの瞳は暗く、深く……そして、重く濁っていた。嫉妬という名の極彩色に。
「……サレナとイポローは他の二人を頼む。(プレイヤー名)はフォローに徹してくれ。俺は……フレテアをぶっ潰す」
「い、いいんっすか?お姉さん……なんですよね?」
不安げなサレナの問いに、レンヴィは迷うことなく首を縦に振った。
「もうアイツは俺の姉じゃねェ。母さんを弄びやがった……ただのクズだ」
武器を抜くレンヴィ達。その姿を見たフレテアは、口を大きく歪ませて微笑む。
「あら、怖い怖い。あのマザコン男、本気で父上の蘇生を阻止する気みたい。どう思う?キュルソー」
「はい、フレテア姫!今、魔界全土で最も愚かなのがレンヴィ坊やであるとウワサになっているのですが、まさかここまで愚かだなんて……背中に電撃が走るほどの衝撃でしたっ!」
「あなたらしい実にシビれる意見ね。バティは?」
「……火に油を注ぐような言い方になるけれども。私は早く、あのへなちょこリーゼントをアフロにしたくてウズウズしているの。フレテア姫」
「さすがバティ!とってもホットでクールな提案ね!もぅ、惚れ惚れしてしまうわ」
談笑しながら、フレテア達も武器を構える。
「それじゃあ、始めましょうか。さようなら、レンヴィ」
「……ああ。さようならだ、フレテア」
討伐する
傀儡神官バトル

「ヘイ、レンヴィ。こっちも片付いたぜェおイ」
フレテアを倒したレンヴィと(プレイヤー名)の下に、他の二人と戦っていたイポローとサレナが合流する。
「レンさん。その、大丈夫っすか?」
「……おう。最初から……覚悟してたことだかンな」
「それは、実の父親を倒す覚悟もあるってことっすか……?」
フレテアの発言から察したのか、サレナはレンヴィが絶王ウェンネルの息子であること。すなわち、兄の宿敵だった者の子孫であることに気が付いたようだ。
「……黙っていて悪かった。その、なンつーか……俺のこと、やっぱ憎いか?」
「いいえ、これっぽっちも。だって、レンさんはレンさんっす。何度もあたしの窮地を救ってくれた、尊敬できるお方っす!」
サレナの笑顔に、レンヴィは心が洗われるような感覚を覚え……周りにバレないよう、ちょっと泣いた。

そして、レンヴィ達は再び足を進め、城の最上階へ辿り着き……やがて、一人の女性を視界に入れる。
「よくぞ来られました、レンヴィ様。さすがは私の崇める絶王のご子息……」
「テメーがマルドゥックか。今すぐ儀式を止めて親父の蘇生を中止しな。さもねーと、ひしゃげたザクロみてェにしちまうぞコラ」
「レンヴィ様。ここはロジカルシンキングでお互いフレキシブルな意見を出し合い、双方がコンセンサスを得られるスキームをフィックスさせていくのが、プライオリティを考えるとベストなメソッドかと思うのですが、いかがでしょう?」
「なに言ってっかわかンねェぞコラ!とにかく親父の復活を止めろ!じゃねーとマジでボコるぞ!」
「ビジョンのないシンプル・シンキング……残念です。では、こちらもフレッシュなカウンターを」

マルドゥックが天井からぶら下がった糸を手繰り寄せると、一人の男がシャンデリアから降りてきた。
「……!ダグラス……兄様…」
サレナは唖然とした表情で、マルドゥックが呼び出した男の元へと近づいていく。
「な、なにしてるの、こんなところで……?どうして、魔族と一緒に……」
「……ッ!待て、サレナ!」
レンヴィがサレナの腕を引き寄せたのと同時に、男は剣を振り下ろした。あと一瞬でも遅ければ……。
「離してっ!兄様、兄さん……!」
「……もう死んでる。あそこにいるのは……魂のない、ただの抜け殻だ」
「そんなわけ、ない。兄さんが死ぬなんて……だって、英雄なのに……皆の、あたしの……大好きな……」
絶望するサレナを見て、マルドゥックは不敵な笑みを浮かべる。
「絶王が討たれたあの日。弱った彼にトドメを刺すのは実に容易でした。しかし、これだけの力を持った体を廃棄するのは純金をドブに捨てるようなもの。ゆえに、こうして傀儡として利用させて頂いております」
ブチン、という音がレンヴィのこめかみから聴こえた……気がした。
「……そういや、母さんの人形を作ったのもお前だったな……上等だコラ。その減らず口、二度と開けねェようにしてやンよ。覚悟しな、マルドゥック……ッ!」
討伐する
絶王再誕バトル

「フ、フフ……もう遅い。魔王復活の儀式は、すでに成されている……さぁ、絶王ウェンネルよ!生きとし生ける者全てに、闇より深い絶望を……!」
高笑いを上げて倒れるマルドゥック。すると、サレナの兄であるダグラスの体も砂となり、霧散した。
「……ぁ……兄さん……」
膝をつき、その場に俯くサレナ。再び立ち上がるのには……時間がかかりそうだった。
「……イポロー。サレナと一緒に城を出な。ここから先は俺と、(プレイヤー名)だけで行くからよォ」
レンヴィは、マーリンから貰った次元移動魔法の巻物(スクロール)をイポローに手渡す。
「ったく、しゃーねェヤツだなお前は。けどよォ、ちゃンと帰って来いよ?兄弟(キョーダイ)がいなくなンのは、ちと寂しいかンな」
……そう言い残すと、イポローはサレナをつれ、絶王城をあとにした。
「ワリィな、相棒。最後まで付き合わせちまって。けどよ……これで、本当に最後だかンよ」
レンヴィと(プレイヤー名)は、ゆっくりと玉座の間の扉に手をかけた。

その奥には、猛々しく冷徹な殺気を漂わせる一人の男……復活を果たした、絶王ウェンネルが立っていた。
「……ふむ。よもや、死を越えた先で最初に目にするのが息子の顔とはな」
絶王が眼を開いただけで、周囲の空気がビリビリと震える。しかし、レンヴィは怖れることなく、一歩、また一歩、前へと進む。
「よォ、クソ親父。あの世から戻って来た気分はどうだ?」
「ああ、実に心地が良い……とは言い難いな。どうやら、人間どもに討たれた時の傷が修復しきっていないようだ」
「そうかよ。そりゃ色々な意味で好都合だ」
「……なにをしに来た?よもや、我が覇道に立ち塞がるつもりではあるまい?」
「ああ、そのつもりはねェさ。アンタが人間と戦うのをやめねーってンなら、話は別だけどよォ」
「愚問だな。オレは人間どもをこの世から根絶やしにするため……。そのためだけに、こうして地の底より這い上がってきたのだ」
「アンタが愛した女も人間だったはずだろ。死に際の時でさえ、母さんは争いを望んでいなかった……なのに、アンタはまだ戦いを続ける気か?」
レンヴィの言葉を受け、ウェンネルは僅かの間、沈黙する。
「シルヴィアを愛した絶王は、もう死んだのだ。再誕したオレの体に流れているのは、力と支配を求める暴者の血のみ。お前には理解できるはずだ。オレと同じ血が流れている、お前だけには……な」
「…………わかるかよ」
二人は同時に剣を抜き、同時に剣を構える。
「……そろそろおっ始めようぜ、クソ親父。最初で最後の……親子喧嘩ってヤツをよォ……!」
「よかろう。反逆を許す。来るがいい、レンヴィ……!」
絶王を討つ
エピローグ

「……………………強くなったな。レンヴィ」
剣を深々と地面に刺すと、ウェンネルはうっすらと笑みを浮かべた。
「……つい先刻、オレは夢を見た。どんな夢だったかは、もう忘れてしまったが……不思議なことに、幸せな夢だったことだけは覚えている」
ふらつく体を必死に剣で支えながら、レンヴィはウェンネルの言葉を耳に入れる。
「これこそが、オレの望んだ死……戦いの中でしか生を感じられなかったオレに相応しい終焉だ」
「……っ、なにを……言ってやがる……?」
「かの神官の儀式は、蘇生者の強き未練を新芽とすることで成される。だが、オレの未練は人間への憎悪でも、シルヴィアへの想いでもなかった」
ウェンネルは顔を上げ、ひび割れた天井を。そして、その先にある空へと視線を馳せる。
「お前がオレを越える瞬間を見たかった。それが、たった一つの未練……そして、お前が絶ち斬ってくれた未練だ」
「……ッ、ざけンじゃ、ねェ……なに言ってンのか、全然わかんねーよ……」
強引に息を吸い込み、レンヴィは喉が張り裂けんばかりに大声を上げる。
「アンタが憎かった……家族を顧みず、意味のない戦いを続けて……アンタのせいで、どれだけの人が苦しんだかわかってんのか!?アンタのせいで……アンタのせいで、どれだけ……俺が…………ッ」
……それ以上は、声が掠れて言葉にならなかった。
「感謝するぞ、レンヴィ。オレが言えるのは……それだけだ」
その時、レンヴィは見た。
「……ああ……シルヴィア……」
空へ手を掲げた父親の傍らに寄り添い、懐かしい笑顔でこちらを見つめる母親の姿を。
「……!レンさん!(プレイヤー名)さん!大丈夫っすか!?」
(プレイヤー名)とレンヴィが城の外へ出ると、サレナ達が駆け寄って来た。
「おう、こっちは大丈夫だ。サレナ、お前こそ平気か?」
「……正直、平気じゃないです。けど、泣き言ばかり言っていたら、天国の兄さんに顔向けできませんから。だから、もう……泣くのはやめました!」
「そうかい。強いな、お前は。俺も見習わねーとな」
そう言うと、レンヴィは(プレイヤー名)の方に振り返る。

「……あンがとよ、(プレイヤー名)。アンタのおかげで親父を止めることができた。俺にとって、アンタは一生の恩人だ」
後頭部に手をあてながら、レンヴィは(プレイヤー名)から軽く視線を逸らす。
「俺、旅に出ることにしたンだ。親父に認められた力でなにができるのか……それを見つけるための旅だ。アンタもよかったら……って、冗談だよ。アンタにはアンタの旅があるもンな。けどよ、サヨナラは言わねーかンな」
レンヴィは無邪気な笑みを浮かべ、ぎゅっと握った拳を差し出した。
「またな……相棒!」
頷きながら、(プレイヤー名)は握った拳をレンヴィの拳と突き合わせる。

……彼なら、きっと新たな一歩を踏み出せるだろう。
そう思いながら、(プレイヤー名)もまた新たな旅路へと歩んでいった。
反逆のブラックローズ -ユイガドクソン編-完
story by 間宮桔梗
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