境鳴オルタナティブ_prologue3

 
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境鳴オルタナティブ
story by 間宮桔梗
>>10月4日 15:00 ~ 11月5日 22:59<<
ロクシスを待ち受けていたのは!?

プロローグ

「一対一で話をしたいだなんて、珍しいお誘いじゃないか。ああ、そうだ。まずはグランジのボスを捕えた功績を称えよう。お前をサステインに推薦した身として、私も鼻が高い」

数日後。ロクシスは広大な敷地をほこる政府庁を訪れ、総統執務室にいるレーシアに謁見した。

「……レーシアさん、アンタはオレの恩人だ。身寄りもなく、その日を生きるのにいっぱいいっぱいだったオレに、居場所と生きる道を与えてくれた」
「なんだ、改まって。ああ、もしや……食事を奢ってもらうため、私をおだてているのか?そんなことせずとも、いつも通り奢ってやる。」
「丁度この間、お前が好きそうなドーナツショップを見つけてな。多分、前に二人で行った店よりも気に入ってもらえるはずだ」

「聞いてくれ!オレ、アンタを疑いたくなくてよ。疑わないために、一人でずっと調べてたんだ。んで、わかったことがある」

ロクシスの表情は……まるで、痛みを堪えているかのようだった。

「……グランジの連中が襲撃してた建物は、全部がアンタ名義の“研究施設”だった。表向きは、ライフラインを支える資源エネルギー精製の実験場ってことになってるけどよ。」
「廃墟になった実験場のガレキの下から、こんなタグを見つけた」


前置きをしたあと、ロクシスは金属製の、血痕のついたタグを執務机に叩きつける。
そのタグには何かの番号と、ある者の名前が刻まれていた。

「この名前は、以前オレが捕らえたオルタネイターの名前だ。しかも、こいつだけじゃねぇ。サステインが捕らえたオルタネイターのほとんどが、拘留期間であるにも関わらず牢屋にいなかった」
「…………。で、何が言いたい?長官命令だ、質問は簡潔にまとめろ」
「……ッ。アンタは……アンタは、オレ達が捕らえたオルタネイターで、人体実験をしてんのか!?」

ため込んでいた不安と疑念を、真正面からレーシアにぶつけるロクシス
しかし、レーシアはこれといった反応を見せない。

「……アンタ、オレに言ったよな。オレの役目は、命を未来に繋げることだって。そのために人々を守るのがオレの仕事なんだって。あの言葉は、ウソか?」
「感情論はいらんよ。で、私が人体実験をしていたとしたら、お前は私をどうする?」
「止めるに決まってんだろ!人格を無視して人体実験を強行するなんざ、許されることじゃねえッ!」
「フッ、お前はシンプルでいい。しかし、私がやっていることは人類に……いや、この宇宙に必要なことなのだよ。ゆえに、それを止めるというのであれば」
「……!?ガ、は……ッ……」

レーシアが片手を掲げると、ロクシスは首を抑えながら、顔を紫色に染める。どうやら、レーシアが放っている何らかの力がロクシスの首を絞めているようだ……。

「……ッ、ざ、けン……な!」

ロクシスは手元に“輝く一枚の栞”を具現化させ、その力でレーシアの力を振り切った。

「……!私の念動力(サイコキネシス)から逃れた、だと?妙だな、私の力はこの世界の生物には無条件で通じるはず。となると……ああ、なるほど。“中にもう一人いる”のか。」
「クク……やはり面白いな、お前は。なぁ、ロクシス……私と手を組まないか?お前ならきっと、私の真意を理解できるはずだ」

「ごほっ、げほっ……こ、断る……!」
「だろうな。そう言うと思ったよ」

感情のない微笑を浮かべ、レーシアは再び片手をロクシスの方へかざす。

「さて。このような状況に陥った時、ヒトというものはこんなセリフを吐くのだったな。『知られたからには生かしておけない』」

レーシアの冷たい瞳を見た瞬間、ロクシスはもう、彼女と対話が通じないことを悟った。

レーシアさん……いや、レーシア!アンタがその気だってんなら、オレは……!」

ロクシスは銃を抜き、その銃口を恩人に向けるのだった……。
 >>真実を掴む!<< 

ランキングに関係なく、一定数の【PSIメダル】を集めると役立つアイテムが貰えるらしいな!
受けて立ってやろうじゃねーの!
アイテムショップで手に入る「アレスの鍛錬書」を使うと、すぐにLv80になれるぜ!
おう!「土地力」はガンガン溜めていこうぜ!
協力して戦っていかねーとな!
強そうな恰好になりゃいいんだけどな……。
強い敵を倒せば多くの【PSIメダル】が貰えるんだってよ!
敵の情報は、他のプレイヤー達がイベント掲示板で教えてくれるぜ。
要チェックだ!

灼熱絞撃バトル

レーシアの手から逃れようと抵抗を続けるロクシス

「がッ……!?」

しかし……その抵抗は後頭部の鈍痛と共に、呆気なく幕を閉じる。

「来るのがコンマ二秒遅いぞ、エニオ
「カンベンしてよ、レーシアちゃん!おイモ焼いてる時に警報鳴らすとかさぁ。あ、それでこの男、どうするの?とりあえず、斧で殴って気絶させちゃったけど。殺した方がいい?」
「地下牢に入れておけ。こいつは“統一化計画”の人柱になるだけの素質は持っているからな」

斧を持った少女に背後から奇襲されたロクシスは、そのまま意識を失い…………

…………

「…………い……ろ……おい、起きろ。単細胞バカ」
「……っ、てて。こ、ここは……って、アルバ!?どうしてアンタがここに」

次に目を開けた時。ロクシスの瞳は、逮捕したはずのグランジのボス……アルバの姿を写していた。

「捕まっていたということは、お前もレーシアの陰謀に巻き込まれたワケか。で、どうする?僕は捕えられた同胞達を」
「でえっ!?ア、アルバ、アンタ……女だったんか?」
「…………。僕は捕らえられた同胞達を救出したあと、レーシアを止めるつもりだ。ヤツをなんとかしない限り、この国に平穏はないからな」
「ま、待ってくれ。まさかアンタ、脱獄したのか?能力封印の手錠もされてたってのに、どうやって……」
「捕まる直前に能力を使って細工をしておけば、あんなものは簡単に解錠できる。お前が察した通り、僕はこの研究施設に潜入するために、わざと捕まったんだ。と、お喋りはここまでだな」

アルバロクシスの手錠を解錠したあと、すぐに牢屋をあとにしようとする。

「ま、待てよ!アンタ、どうしてオレを助けたんだ……?」
「内通者の情報によれば、この牢屋には元々僕の仲間が捕らえられていたはずだった。しかし、仲間の姿はなく、なぜかお前がいた。ゆえに、助けたのは気まぐれ……いや、結果的に僕はお前を利用したからな。その礼、とでも言っておこう」
「っておいコラ、オレはお前らに手を貸した覚えはねえっつの!だから感謝される筋合いもねえ!それに……」

怒鳴りながらロクシスは立ち上がり、アルバの隣に立つ。

「手を貸すのはこれからだ。レーシアを止めるってんなら、協力させてくれや」
「……フッ、やはりバカだなお前は。嫌いではないが」

そう言うと、アルバは近くの武器庫から回収しておいたサステイン製の銃をロクシスに渡した。

「そこまでだ、脱獄者ども!人柱として生かしておいてやりゃあいい気になりやがって……!」

そして、牢屋を出た瞬間。敵意むき出しの能力者が、二人の進む道に立ち塞がる。どうやら、レーシアの部下の一人のようだ。

「まぁ、最近牢番ばっかで体が鈍っちまってたからな。丁度いいっちゃ丁度いいぜ……。このテュフォ様の灼熱で、その首を焼き絞めてやっから、覚悟しなァ!」

テュフォは蛇状のアームに火炎を纏い、ロクシスアルバに襲い掛かってきた……。
 迎え撃つ! 

偽存歌姫バトル

「……ッ、やるじゃねぇか……燃え、尽きたぜ……」

テュフォロクシスアルバの猛攻に耐えきれず、地に伏した。

「うし、とりあえずひと段落か。ところで、アルバさんよ。今更なんだが、ここどこだ?意識を失ってる間に運ばれちまったから全然わかんなくてよ。牢屋はあったが、ムショってわけじゃねーよな?」
「そんなことも知らないのか。ここは政府庁の地下にある研究所だ。捕らえられた力あるオルタネイターはここに運ばれ、実験材料にされる。他にも、レーシアの統一計画に関する重要なものが保管されているようだが……」
「と、統一計画……?なんだぁ、そりゃ?」
「話している暇はない。今は仲間の救出と、レーシアを見つけるのが最優先だ。幸い、救出した仲間達は潜入済みのネレイが先導して脱出させてくれている。無事が確認されている仲間はあと一人……」

アルバは内通者が手に入れてくれた見取り図を頼りに、通路を進んでいく。

「牢屋にいなかったということは、実験ホールに連行されている可能性が高い。ひとまずそちらへ向かうぞ」

首を縦に振り、アルバと行動を共にするロクシス。しかし……異変は少女の歌声と共に、唐突に現れた。

「……!おい、アルバ。こいつは……」
「……空間が歪曲している。どうやら、オルタネイターの能力のようだな」

通路を進んでいたはずのロクシスアルバは、気が付くとヌイグルミやオモチャに囲まれた、子ども部屋のような場所に迷い込んでしまっていた。

「……こんにちは、お客様。メルポネの大好きな、とても悲しい歌……よかったら聴いていって、ね?」

赤黒い光と共に現れたのは、フリルのついた衣装に身を包んだ一人の少女……。名をメルポネというらしい。

「……レーシアに言われたの。悪いお客様が来たら、動けないようにしろって。だから、そうする……ね?」
「お、おいおい嬢ちゃん。オレはガキを痛めつける趣味はねぇんだ。悪いこと言わねぇから、オレ達を元の場所に……ッ、な、なんだこりゃ!?体が……お、重い……!?」

悲哀に満ちた歌を歌い始めるメルポネ。すると、ロクシスアルバは強い重力に襲われ、その場に膝をついてしまう。

「大丈夫……だよ。そこに座って、私の歌を聴くだけで……ラクになれる、から」
「ク、クソ。歌によって能力を発動するってこたぁ、エリーゼと同じタイプのオルタネイターってことかよ……!」
「ッ!エ、リーゼ……エリーゼ、エリィゼ……エリーゼ……ッ」
「おわ!?や、やべぇ……体が、潰れ……る……」

エリーゼの名を耳にした瞬間、メルポネは表情を歪める。そして、衝動に身を任せながら、さらに重力を強めた。

「お、おい、単細胞バカ……。お前の余計な一言で面倒なことになったんだ……なんとか、しろ……!」
「オレのせいかよ!つ、つっても、歌の能力を持ってるオルタネイターってのは強さのベクトルがワンランク上っつーか、無条件で相手を屈服させちまう強制力みたいなモンを持ってて……ん?無条、件……」

『私の力は、この世界の生物には無条件で通じる』レーシアの言葉を思い出したロクシスは、一つの結論に行き当たる。

「もし、レーシアと同質か、それに近い力ってことなら……でぇい、考えるのはあとだ!---、力を借りるぜ!」

ロクシスは自身に憑依している---の力を借り、手に栞を具現化させる。そして、栞の力を使い、見事に重力を振り払うことに成功した。

「……っ。まさか、跳ねのけるなん、て……。なら、もう……容赦、しない。お客様を捕まえて、エリーゼより優れてることを証明して……今度こそ、レーシアに認めてもらうんだか、ら……!」

メルポネはマイクを手に取り、殺意に満ちた視線をロクシスアルバに向けるのだった……。


 歌を拒絶する 

風刃刺突バトル

ロクシスは、メルポネからマイクとネックスピーカーを奪い取った。

「……なんで……殺さない、の……?私は、エリーゼの劣化クローン……いらない子、なのに」
「あのなー、子どもが自分を殺すだの殺さないだの言うなって。それに、エリーゼのクローンとかサラッとすげぇこと言ってるけど、君はエリーゼとは全然違うだろ」
「……うん。私はしょせん、エリーゼにすらなれない落ちこぼれ……本当は知ってる……レーシアは、ダメな私を廃棄処分にするつもりだってこと……」
「……!レーシアのヤツ、どこまで……いや、あいつへの説教は後だ。えっと、メルポネ。とにかく、君とエリーゼは違う人間なんだ。容姿も性格も声も……なにより歌も全然違ったしな」

快活な笑みを浮かべながら、ロクシスメルポネの頭を優しく撫でる。

「オレは好きだぜ、君の歌。なんつーか、エリーゼの懐かしさを感じる歌と違って、温もりがしんみりと心を満たしていくような感じがした。」
「今度は能力とか関係無しに、普通に君の歌を聴かせてくれ。じゃな!」

「……ぁ。ま、待って、ロクシス……!」
「ん?なんだ、メルポネ……ってあれ、どうしてオレの名前知ってんだ?」
「……レーシアが、あなたのことをよく話してた、から。あの、ね……私、レーシアの計画のコトは知らないけど……計画には必ずエリーゼが必要なんだって、レーシア言ってた。」
「だから、エリーゼは今……この施設の地下に、捕らえられてる……の」

「なッ……!エリーゼが!?くそ、なんてこった……となりゃ、なおのことゆっくりしてるヒマはねえ!教えてくれてあんがとな、メルポネ!」

礼を言い、ロクシスアルバと共に再び通路を走り始めた。

「……なあ、アルバ。そろそろ教えてくれよ。レーシアが企んでる“統一計画”って、なんなんだ?」
「ボクも全容を把握してるわけじゃない。たが、レーシアの生い立ちと、この国の成り立ち。そして、オルタネイターという存在がどのようにして生まれたのか。それらの情報が、一つの答えを指し示している」

そもそも……と、アルバは眉をひそめながら続ける。

「オルタネイターは、数十年前に突然変異によって超能力を得た人間だ。オルタネイターが現れ始めた当時、世界はパニックに陥りかけた。」
「が、政府が普通の人間とオルタネイターの住む国を分けたことで、大きな混乱が起こることはなかった。これぐらいは知っているな?」

「ったりめぇだろ。未だに隔離政策だーって声も絶えねぇぐらいなんだからよ。んで、オルタネイターの人権を尊重し、この国を建国したのがレーシアだ。」
「オレ達オルタネイターにとっちゃ、レーシアは頭の上がらねぇ大恩人……ってことになってる」

「そう……実際、レーシアの取った行動は隔離政策だ。しかし、できすぎていると思わないか?」
「これまでの倫理観を覆すような力を人間が得たというのに、オルタネイターを隔離するという形で、全てが丸く収まってしまったんだぞ?」

「それは……レーシアが上手くやったからじゃねーのか?」
「考えてもみろ。この国は建国に数年と掛かっていない。なのに、オルタネイターを中心とした法律やインフラ、技術などが完璧に確立されていた。」
「世間では“天才議員レーシアの驚くべき手腕”などともてはやされているが……実際、そんなことがありえるか?」

「じゃあ、なんだ。あらかじめ全部仕組まれてた、とでも言うつもりかよ?」
「そう考えれば合点が行く。加えて、証拠もある。これを見ろ」

アルバは懐から数枚の写真を取り出し、ロクシスに手渡す。

「これが約三十年前。これが約九十年前。そして、これが三百年前に描かれたという肖像画を、写真に収めたものだ」
「あん?どれもレーシアが写ってるだけ……お、おいおい、おかしいだろ!」
「なんで、三百年前の肖像画にレーシアが描かれてんだよ!?ご先祖さんだったとしても、さすがに似すぎてる……」

レーシアには血縁関係者がいないことも、過去の記録が全て抹消されていることもわかっている。これらの情報を得るために、何人の仲間が犠牲になったことか」
「マジ、かよ……。これが確かなら、レーシアは一体何者……ッ!?アルバ、伏せろ!」

……ロクシスの忠告が功を為し、アルバは高速で飛んできたナイフをギリギリのところで回避することに成功する。

「スゴイ!正確に狙ったのに避けちゃうなんて、やるぅ!でも、次は外さないから、覚悟しちゃってよね~!」

現れたのは、風を纏った一人の少女。そして、その少女を視界に入れた瞬間、アルバの瞳が大きく見開く。

「……ッ!おい、単細胞バカ。ここはボクに任せて先に行け。彼女の名はハーピア……ボクが探していた、助けなければならない仲間だ。」
「見たところ、何らかの装置で意志を捻じ曲げられてしまっているようだがな」

「ま、待てよ!二人で相手をした方が有利だろ?力を貸すぜ、アルバ
「自惚れるな。そもそもこちらは、お前の加勢など元々想定していない。それに……お前にも、助けなければならない人がいるんだろう?」

その言葉を受け、ロクシスは我に返ったかのように目つきを鋭くする。

「……わかった。死ぬなよ、アルバ!」
「余計なお世話だ。さっさと行け」

ロクシスはこの場をアルバにまかせ、地下へと続く通路へ駆け出した。

「ストーップ!そう簡単には逃がさないよ、侵入者さん達!二人まとめて私が相手を」
「いいや、お前の相手はボク一人だ。グランジのリーダーとして、これだけは譲れない……。行くぞッ!」

 正気に戻す 

防衛境界バトル

アルバハーピアの首の後ろについていた精神制御装置を破壊し、ハーピアを正気に戻すことに成功した。

「うぅ……ご、ごめんね、ボス。なんか、白衣の人達に『人柱として力が足りていない』とか言われて、処分するか実験に使うかって言われて、変な装置つけられて……まさか、ボスに手を上げちゃうなんて」
「元に戻ったのならそれでいい。無事で良かった、ハーピア。歩けるか?」
「うん、平気!思ったより体も動くし、このままボスと一緒に戦うよ!って、そうだ!地下の方で、何か大きな実験が行われてるみたいなんだ!早く止めないと、大変なことになっちゃうかも……!」

……ハーピアの言葉を受け、アルバは彼女と共に地下を目指すことにしたのだった。一方、その頃――

「っべえ……やべえ、完全に迷っちまった!くそ、なんでこんなに通路が複雑なんだよ!な、なあ、どうすりゃいいと思う?---……」

---もロクシスと共にこの辺りを見回ったが、地下への階段らしきものはなかった。となると、隠し扉や通路などがあるのかもしれない……と、---は自分の考えを伝える。

「隠し扉、か。確かに、ここはレーシアにとっても重要な施設のはずだ。いくら探しても道が見つからない以上、その可能性は……あ、そういやさっき、コンソールルームがあったな。あそこに行けば、この階の各フロアの情報がわかるはずだ!」

来た道を戻り、コンソールルームの手前までやって来たロクシス
見たところ、セキュリティカードが必要なようだが……。

「慌てんなって、---!実はな、あのテュフォってヤツを倒した時にカードをくすねておいたんだ。こいつを使えば…………おし、開いた!」

スクリーンだらけの薄暗く広い部屋に入ったロクシスは、慣れた手つきで端末を操作し始める。

「ビンゴだ!電力配線図に、この階にないはずのエレベーターが表示されてやがる!っし、この端末でロックを解除すりゃ隠し通路が開くみたいだ。ま、ここはまかせな!こう見えてハッキングの腕はプロ級でな。エリーゼにはよくインテリヤンキーって……ん?なんだ、この暗号化ファイル……」

秘匿されたファイルを発見したロクシスはプロテクトを解除し、一つのデータファイルを開く。

――ついに最下層へ到達することは叶わなかった。どうやら私はここまでのようだ。最期に、私の手に入れた情報全てを、いつか来るであろう同胞のため、幾重ものプロテクトをかけてここに秘しておく。

①『オルタネイターとは?』
――全ての人類が古来より内包している“ゾス因子”が、人間という種の進化によって覚醒を果たし、特異的な能力を得た存在である。近い未来、全ての人間のゾス因子が覚醒し、オルタネイターとなることが予想される。

②『ゾス因子とは?』
――まだ人類がヒトの形を成していなかった古き時代に、宇宙より一体の異星生物が飛来した(レーシアの保持していた極秘資料より“ゾス”という名称を確認)。ゾス因子とは、異星生物ゾスが細胞内に宿している因子の名称である。

③『ゾスの目的とは?』
――この星に飛来したゾスは“何らかの目的”をもって、ゾス因子をヒトという種に寄生させた。ゾス因子は、人類の生体ネットワーク(集合意識)に干渉する力を有している。

ゾスは、因子を覚醒させた人間(オルタネイター)の中でも特に優秀な個体を人柱とし、その者の精神を自身の精神と同期させたのち、生体ネットワークを通し、全ての人類の意思を“ゾスの意思”として“上書き”するつもりらしい(意思の統一化)。

④『レーシアとは?』
――言語で表現するならば、“ゾスの意思を宿す、ヒトの形をした生体端末”という見解が近い。レーシアは何万年も前から、ゾスの“何らかの目的”を遂行するために世界を裏で動かし、人類の進化を促してきたのだろう。彼女がゾスそのものなのか、或いはゾスの代理人な

「……なんつー内容だ。アルバの話じゃ、レーシアは何百年も前……いや、この情報が確かなら、何万年も前から存在してたってことになる。これを書いたのも、多分グランジの諜報員の一人だったんだろうぜ」

形容しがたい感情を覚えながらも、ロクシスは先を急ぐため部屋を後にしようとする。が、その時……

『緊急警報!警戒レベルF!防衛プログラム“疑似境界憑神(フェイク・アウトフュージョン)”ヲ実行!』

室内に警報が鳴り響くと同時に、見覚えのある者達が立ち塞がった。

「な、なんだこいつら!?実体があるホログラフみたいな……え?アンタの知り合いの超能力者達?あ、そういや今、オレの能力名の“境界憑神(アウトフュージョン)”って単語が聞こえたよな……」

目の前に現れた者達には生気が感じられない。“実体があるホログラフ”という彼の例えが、最も的確な表現なのかもしれない。

「どういう仕組みかはわかんねーけど、防衛プログラムとやらにオレの疑似能力が使われてて、それがアンタに反応した結果、こいつらが実体データとして具現化したってとこか……って、推測してる場合じゃねぇな。行くぜ、---!」
 蹴散らす! 

異能三衆バトル

ロクシスは---の力を借り、“実体があるホログラフ”を一掃した。

「ぜぇ、ぜぇ……。アンタの力が無かったら、さすがにやばかっただろうな。ありがとよ、---。アンタには救われてばっかだよ、本当に……」

---は首を横に振り、「自分の力ではなく、ロクシスが栞に宿る力を上手く使いこなしているからだ」と、屈託のない意見を口にする。

「あーいや。栞のことだけじゃなくて、なんつーかさ。オレ、レーシアに裏切られた時……本当はありえないほど辛かったんだ。あんなにショックを受けたの、生まれて初めてでさ。けど、なんでだろうな……。傍にアンタがいるって思ったら、胸の奥から熱い気持ちが……勇気ってヤツが、自然と湧いてきたんだよ」

おかげで挫けずに済んだ……と、ロクシスは改めて---に礼を言う。そんな彼に、---は「お礼は全てを終えた後に貰おう」と言葉を返す。

「へへっ、りょーかい!んじゃ、とっととエリーゼを助けて、レーシアの計画を止めるとすっか!」

決意を新たに、ロクシスは隠し通路の先にあるエレベーターに搭乗し、最下層へと向かった。
そして、閑散とした廊下を進んでいくと……

「はぁ、カンベンしてよ!おイモ焼いてる時に来るとかさぁ……って、あれ?君、どこかで見たことあるような……?」

そこには、---も見覚えがある、斧を持った少女が立っていた。

「……あ!テ、テメェ、執務室で背後から奇襲してきやがった斧女!覚えてんぞコラ!」
「あちゃちゃ。グランジの人達が襲撃してきたからここを守れって言われてたけど、まさか君も一緒だったなんてねー。まぁ、所詮はこのエニオちゃんに背後を取られちゃうようなザコ助君だし、今度はサクっと殺しちゃおっかな」
「誰がザコ助だ!言っておくけどな、あの時はレーシアに気を取られてただけだ!普段のオレなら、お前一人ぐらい楽にぶっ倒してたっつの!」
「あちゃちゃー。言い訳する男はモテないよー?あと、残念ながら一人じゃないんだよねぇ、コレが」

エニオが合図をすると、奥の曲がり角から、さらに二人のオルタネイターが現れる。
気配から察するに、二人ともかなりの猛者のようだ……。

「んだよ。結局、数に頼るのか。自分が弱いってことを証明してるようなもんだぜ、斧女!」

という皮肉に、斧女ことエニオはやれやれとため息を吐く。

「あのねー、エニオちゃんは別に力比べが趣味ってワケじゃないんだよね。単純にあたし達は、レーシアちゃんの思想に賛同しただけ。だから、彼女の計画を邪魔する人達を排除する。そーんだけ。じゃ、さっさと死んじゃってね、ザコ助君。ディノムプレド、やるよー!」
「……大いなる運命の波に、身を任せましょう」
「どんな攻撃だって、私のシールドで防いでやるんだから!」

三人は殺意をむき出しにしながら、一斉に飛び掛かってきた。が、その時……ロクシスの背後から鋭利な花びらと、分厚い風の塊が凄まじい速度で放たれ、エニオ達を襲った。

「残念だったな。そこの単細胞バカもまた、一人で戦っているワケではないのだよ」
「ッ!ア、アルバ……と、その仲間の!よかった、二人とも無事だったんだな!ったく、心配かけさせやがって」
「余計なお世話だと言ったはずだ。なんにせよ、これで三対三だ。文句はないな?」
「…………。ま、厳密には四対三だけどな」
「……?どういうことだ?」

ロクシスは微笑を浮かべながら---に軽く目配せをしたあと、アルバハーピアの奇襲を回避した敵達に銃を構える。

「へへっ、こっちの話だ。っしゃあ、あの斧女にはちと因縁があっからよ、オレが相手させてもらうぜ!残り二人はテキトーに頼むわ!」
「勝手に仕切るな……と言いたいところだが、決断が早いヤツは嫌いじゃない。行くぞ、ハーピア
「オッケーだよ!まかせて、ボス!」

各々は武器を構え、戦闘態勢に入ったのだった……。
 四人で戦う 

未知遭遇バトル

「なぁんだ……ザコ助君、普通に……強い、じゃんか……」

ロクシス達の猛攻に耐え切れず、エニオ達は地に伏した。

「……この先が最下層みたいだな。ここまで来たら、もう何が起こっても不思議じゃねえ。覚悟はいいか?」
「覚悟もなしに政府に反旗を翻すワケがないだろう。さっさと行くぞ、ロクシス
「あっ、おい!待てよアルバ!ん?つーか今名前で呼んだか?なぁ呼んだよな!?なぁなぁ」

アルバハーピアと共に、ロクシスはついに最下層の大広間へと辿り着く。そこにあったのは……

「……!な……んだよ、これ……」

ドーム状の巨大なカプセル……その中には、グロテスクな外見をした巨大な何かがおさまっていた。目を凝らすと、“それ”が生き物であることがなんとか確認できた。

「まさか、こいつが……太古の昔に飛来した異星生物……ゾス、なのか?」

円筒状のヌメリとした胴体の上部と下部からは、繊毛で覆われた筋肉質な触手が数十本ほど生えており、ヘビが這うようにゆっくりと動いている。ヒトデのようにパックリと開いた頭部に付いている複眼はギョロギョロと蠢いており、殺気に近い禍々しい気配を放っていた。

「それは私の本体だ。もっとも、今は生命力と思考力のほぼ全てを分離体である“この私”が引き受けているがゆえ、抜け殻のようなものだがな」
「……ッ!レ、レーシア……!」
「フッ。まさか、この短時間でゾスの……否、私の正体まで突き止めるとはな。やはり面白いやつだよ、お前は」

ロクシス達が振り返ると、そこには微笑を浮かべているレーシアの姿があった。

「……この星にヒトが誕生するよりも、ずっと昔のことだ。私は遥か彼方の母星で、多くの同胞達と共に穏やかに過ごしていた。この星に似て、いい星だったよ。大気は清らかで、豊かな自然が大地に彩りを与えていた」
「……?な、なにを急に……」
「同胞達は精緻なる知識と、崇高なる精神・肉体を持っていた。互いが互いを尊重し、たとえ異なる価値観を持っていたとしても、その考えを受け入れ合うことができた。ゆえに、私達は醜い奪い合いや戦争をしなかった。人間と違ってな」

しかし……と、レーシアは俯き、目を閉じながら続ける。

「その平和は、私達の星を突如襲った“大いなる混沌”の襲来によって打ち砕かれた。同胞は皆、殺され……私だけが星の大海に逃げおおせた。そして、永い時を経て、私はこの星に流れ着いたのだ」

レーシアは体を浮遊させ、巨大カプセルを背にできる位置へ移動した。

「私の目的はただ一つ。大いなる混沌を討つための兵を手に入れ、母星を奪還すること。そのために私は、我々の力の源であるゾス因子をヒトの遺伝子に刻んだのだ。因子の覚醒までには時間を要したが……なに、星の大海を彷徨っていた時間に比べれば、刹那に等しい“間”でしかなかったよ」

淡々と語り続けるレーシア。すると、ロクシスは銃を構えながら、一歩前へと出る。

「……ゾス因子を覚醒させた人間は超能力を手に入れて、オルタネイターになるんだったな。んで、アンタはオレ達オルタネイターを兵士にして、その大いなる混沌とやらと戦わせようとしてるってことか。けどよ、オレ達はアンタの手駒になるつもりはさらさらねぇぜ?」
「そのための意思の統一さ。ゾス因子には人間の集合意識に干渉する力がある。そして、その準備はすでに整っているのだよ。確実性を上げるために様々な実験を行うと同時に、オルタネイターがさらに増えるまで時期を伺っていたが……真実を知る者が現れた以上、計画を早めるしかなさそうだ」

レーシアの肉体は浮遊したままカプセルをすり抜け、そのまま巨大生物の中へと入っていく。そして、数秒後……ゾスの中からヒト型の生命体が二体現れ、ロクシス達の前に立ち塞がった。

『『さて。我々は同胞同士で争うといった愚かなことはしなかった。が、未知なる脅威への備えとして、戦う方法は身に着けていた。』』

『『本体の一部でしかない“私”にも、その力は流れている。この力をもって、お前達の相手をしよう。霊長類の頂きに立つ、ヒトの姿をもってしてな……』』

 脅威に挑む! 

対歌絶唱バトル

『『無理もない。お前達が相手にしている“我々”は、いわばゾス因子の大元。因子を覚醒させたばかりのお前達など、私にとっては赤子に等しい』』

格上の存在を相手に、ロクシス達は苦戦を強いられていた。

『『安心しろ、殺しはしない。お前達はオルタネイターの中でも、特に優秀な存在。お前達を捕え、人柱とすることで統一計画を実行に移すとしよう。そのためには……入れ、エリーゼ』』

二人のレーシアの背後から現れたのは、人形のように虚ろな目をした少女、エリーゼだった。

「エ、エリーゼッ!?おい、大丈夫か!?返事しろ!」
『『無駄だよ、ロクシス。彼女の精神は私が直々に“調整”させてもらった。お前の声は届かない』』
「……!テメェ……なんで、エリーゼを……」
『『元々、我々ゾスの一族は因子から放射される波長を用いることで、あらゆる事象を引き起こす他、意思の疎通などを行う種族だ。人間で言うならば、歌という手段を用いることで様々な生産活動を行う……という例えが最も的を射ているだろう』』

悠然と語りながら、レーシアエリーゼの肩に手を置く。

『『エリーゼはゾス因子を最も濃く受け継いでいる存在。“私達”に最も近いヒトといえよう。そして、ゾス因子を強く宿したヒトである彼女の波長……すなわち彼女の歌こそが、人間の集合意識に干渉するために必要な、最後の鍵なのだ』』

レーシアが合図をすると、エリーゼは深く息を吸い込む。

『『歌え、エリーゼ。手始めに、まずはこの者達を再起不能にしろ』』

……エリーゼの美しく、恐ろしい歌声が周囲に響き渡る。瞬間、アルバハーピアはすぐに意識を失い、魂が抜けたかのように倒れてしまった。

「がッ……ち、ちくしょう……意識、が……」

この世界の人間ではない---の力の一部を宿しているロクシスは、すぐにその影響を受けることはなかった。が、すぐに全身を脱力感が襲い、地面に膝をついてしまう。

「……………………ッ?な、なんだ、この歌……どこかで、聞いたことが……あるよう、な……」

しかし……ロクシスの意識が途切れようとした、その時だった。

「……レーシア。思い通りには……さ、させない、から……!」

ロクシスの前には、見覚えのある一人の少女が立っていた。

「メ、メルポネ!?お前、どうしてここに……!」
「……ロクシス。私の歌で、エリーゼの歌を抑え込んでみる……。その間に、レーシアを……倒し……て」

肩を震わせながら、メルポネは一瞬だけ視線をロクシスに向ける。

「……嬉しかった。私の歌、好きって言ってくれて。生まれてきて良かったって、初めて思えた……。だから、私……ロクシスの力になるって……決めた、の……!」

メルポネの歌はエリーゼの歌の力を防ぐと同時に、ロクシスの体内に宿るゾス因子を活性化させ、彼の身体能力を何倍にも増幅させた。

「……ッ、力が、みなぎる……!あんがとよ、メルポネ!あとは---と、オレにまかせてくれ!」
『『ほう。異なる世界の者を呼び寄せたお前が、最後の障害になることは想定していたが……よもや、失敗作の歌姫がその踏み台になるとはな。まぁ、人間の個など些末な要素にすぎん。容易くねじ伏せてくれよう……とはいえ、今のお前を相手にするのなら、この姿ではやや力不足か』』

二人のレーシアは液体状の物体へと変化し、一つに混じり合う。そして、一人のヒトの形をした存在へと、身体を再構成した。

『ヒトという種は、私でさえ想定し得ない無限の可能性を秘めている。ゆえに私は、自身の一部をヒトの形へと変化させることを選んだ。この姿ならば、私が持ち得る本来の力がさらに増幅されるだろう。さあ……長官命令だ、ロクシス。我が母星を取り戻すため、地に伏せよ』
「……んじゃ、命令違反の罰を受ける覚悟で言わせてもらおうか。さっき、“人間の個など些末な要素にすぎない”とか言ってたな。それは違うぜ、レーシア。もし、人間の歴史全てがアンタの思い通りだったというのなら、そもそもオレ達はアンタに反旗を翻そうとは思わなかったはずだ」

鋭い目つきでレーシアを見据えながら、ロクシスは銃を構えた。

「人間には運命に抗おうとする意志が……魂ってやつがあるんだ。例えアンタが超越的な存在だろうと、こいつだけは絶対に奪えねェ!そいつを今ここで証明してやる……覚悟しな、レーシア!」
 力を証明する! 

エピローグ

『まだ、だ……!ここで私が倒れたら……同胞達の嘆きは、苦痛は、犠牲は……一体、どうなる!?』

ロクシスの銃で胸を貫かれたレーシアは、狼狽えながら苦悶の表情を浮かべる。

『大いなる混沌は、いずれ全ての星を……全ての世界を滅ぼす。だが、同胞同士で殺し奪い合うような、愚かで、矮小な人間では、あれを退けることなどできるわけがない!誰よりも人間と共に生きてきた私が断言してやる!お前達が生き永らえるためにも、私は必要な存在なのだ……!』

救いを求めるように、レーシアロクシスに片手を伸ばす。

『あれを討つには、全ての人間の意思を一つにし、共に戦うしか方法はない……そのために……そのためだけに私は、幾星霜の時を……………………なあ、お前にならわかるだろう、ロクシス?』

しかし、ロクシスはその手を取らず、首を横に振った。

「……レーシア。オレの役目は、みんなを戦わせることじゃない。みんなの命を未来に繋げることだ。アンタが、そう教えてくれたんだ」
『…………ッ!』

永遠にも感じられるような、数秒の沈黙が流れた。

『……………………では、最後の命令だ。ロクシス

レーシアは、ロクシスのよく知っている姿に戻ると、精悍な表情で言った。

「“私達”の分まで……未来を掴め」

その問いに、ロクシスは力強く首を縦に振る。そして、レーシアは弱々しくも満足げな微笑を浮かべ……砂状の粒子となって、背後の巨大生物と共に消滅した。

「……ん。あ、あれ?確か私、レーシア長官に呼ばれて……って、なんでロクシスがいるの?ていうか、ここ……どこ?」

……その後、エリーゼは正気に戻り、アルバ達も無事に目を覚ました。そして、オルタネイター達は自分の身に起きた違和感に気付き始めた。

「ゾス因子の大元がなくなったからか、オレもアルバエリーゼも……多分、オルタネイター全員が能力を使えなくなったんだと思う。だから、アンタとも……もうお別れだ」

ロクシスから能力が失われた。それはつまり、---をこの世界に繋ぎ止める力も失われたということ……。

「みんな、急に能力を失っちまったからな。この国は……いや、もしかしたら世界中がパニックに陥るかもしれない」

ロクシスは---に最後の言葉を投げかけるために、一度仲間達の元から離れる。

「だからオレ、アルバエリーゼメルポネ達と協力して、騒動を収めるのに尽力することにしたよ。とにかく、やらなきゃいけないことは山積みってワケだ」

---はこの世界との繋がりが薄れていくのを感じながらも、ロクシスの言葉に耳を傾ける。

「……あのさ。いや、アンタに話すことじゃないとは思うんだけどよ。レーシアは多分、人間を……もちろんオレのことも、利用価値のある道具ぐらいにしか考えてなかったと思うんだ」

けどさ……と、ロクシスは言葉を続ける。

「最期の笑顔を見た時に思ったんだ。オレに優しくしてくれたレーシアも、彼女の素顔の一つだったのかも……ってさ。まぁ、なんで優しくしてくれたのかは、結局わからずじまいだけどよ」
「……あの、ね。レーシア、前に言ってた」

すると、こっそりロクシスについてきていたメルポネが、その質問に答えた。

「……ロクシスは、死んじゃった昔の親友によく似てるんだって言ってた。その話をする時、レーシア……いつも嬉しそうな顔、してた……よ」

昔の親友。それはきっと、この星の者ではなく……

「そっ、か。レーシアのやったことを許すワケじゃねーけど……あの人がオレに託した想いは、ちゃんと未来まで持って行かねぇとな」

踏ん切りがついたのか、ロクシスはいつもの明るい顔に戻った。

「……ありがとよ、---!アンタのおかげで、この世界の人達は救われた。だから、アンタが救ってくれた人達を、今度はオレが守り続けるよ。んで、いつかまた出会えることがあったら……そん時は、一杯おごらせてくれな!」

ロクシス達がいれば、この世界はもう大丈夫だろう。
そう確信した---は、ロクシスとこの世界に別れを告げ、新たな世界へと旅立つのだった……。

 境鳴オルタナティブ 撃滅の歌 完 

story by 間宮桔梗

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