まぎがく大乱部! 大勧誘編・大判定編_プロローグ
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story by 間宮桔梗
219:まぎがく大乱部! 大勧誘編
プロローグ
「ん?見ない顔だな。もしかして転校生かな?オーーケィオーケィ、道に迷ったってことなら俺が案内を……いや、その前に軽く自己紹介をしておこうか。俺はアシモフ。ここ、魔法技術学園(まぎがく)の生徒さ」
どうやら、ここは魔法を取り扱う特殊な学校らしい。
「実は、今から新しい部活動『占星魔法部』を発足するため、これから申請試験を受けに行くところなんだ……って、もしかして君、この学園のことも詳しく知らない感じかい?」
――魔法技術学園。通称まぎがく。
アシモフの話によると、ここは魔力の才を持つ生徒達が集まる学園で、世間からは秘匿されている魔法という分野の発展のため……あるいは力の制御のため、一般教養と共に魔法を学んでいる場所なのだという。
「で、生徒達は全員、修行の一環として部活動に所属しているんだ。自分の得意分野に魔法を用いると、魔力っていうのはグングン上昇していくからね」
この学園は『魔力の高さが力そのもの』という風潮が強い。
そんな特異な環境であるがゆえ、部活動というのは力の象徴であり、強豪部活は強い権力を持つ。そのため、各部活動は腕を競い合い、ライバル意識を持って日々練習に励んでいるらしい。
「生憎、俺は元々魔力が低いうえに、これといった得意分野もなくてね……けど、俺はついに発見したんだ!少ない魔力で大きな力を得る方法を!これを使いこなせれば、俺は……」
「そこの生徒達。放課後は部活動及び委員会活動をする時間よ。廊下でたむろしている暇があるなら……あら?」
声を掛けてきたのは、眼鏡をかけた一人の女子生徒。彼女はアシモフが手に持っているエンブレムをまじまじと見つめ……
「あなた、それ……ステラ様の栄誉紋章じゃないっ!どうしてあなたがそれを持っているの!?まさか盗んだんじゃ……」
「オ、オーーケィオーケィ、落ち着こうか風紀委員さん。まずは落ち着くところから始めよう。さて、確かにこの紋章は魔法剣術部のエース“だった”ステラさんのものだ。けど、これには理由が」
「……あなた、アシモフ君ね。風紀委員のブラックリストに載っているわ。様々な部活に入っては辞めて、現在は無所属。最近じゃ授業をサボってカードで遊んでいるとか」
「待った待った。あー、授業をサボっているのは認めよう。けど、それは占星魔法の技術を確立するためであり、遊んでいたわけじゃない。いわば魔法の発展のためで」
「挙句の果てにステラ様の栄誉紋章を盗むなんて……あなたは校則以前に、世間のルールを先に知るべきね。アシモフ君、今すぐ指導室に来るように!言い訳はそこでたっぷり聞いてあげる!」
「いや、これはちゃんと許可を得て借りたもの……あーダメだこれ、話聞いてくれないパターンだ。参ったな……部活の申請試験は時間厳守。すっぽかしたら申請のチャンスは二度とやって来ないし」
三秒ほど悩んだあと、アシモフは真顔のまま口を開いた。
「あ、風紀委員さん。後ろにステラ様が」
「ほえっ!?ス、ステラ様!?どどど、どこ!?って、どこにもいな…………あ!ま、待ちなさいアシモフ君!というか、そこの生徒も止まりなさーいッ!」
仲間だと思われたのか、風紀委員のターゲットにされてしまった***は、走ってはいけない学校の廊下をアシモフと共に全力疾走することになってしまう……。
「すまない、巻き込んでしまったらしい。とはいえ、風紀委員に捕まると君の立場も危うい。ひとまずここは一緒に逃げるとしようか!えーっと…………へぇ、***っていうのか。オーケィ、それじゃあ***!君にこいつを託しておく!君が持っていた方が安全そうだからね!」
アシモフは、ステラという人物の所持物らしき紋章を***に手渡す。
「よし。それじゃあ風紀委員を撒きつつ、部活申請試験が行われる会場まで向かうとしようか!」
こうして、***は様々な誤解を受けたまま、なし崩しにアシモフと共に行動することになった。
「……?あれってアシモフ?なんで風紀委員に追いかけられてるんだろ……」
その光景に疑問を覚えたステラ様……もといステラという女子生徒もまた、アシモフ達の背中を追いかけ始めるのだった。
>>試験場へ向かう<<
![](https://cdn.static.gamerch.com/js/lazyload/lazyload.png)
準備はオーーケィかい?
オーーケィオーケィ!ならクールに行こうぜ!
まずは500kmぐらい走ろうか。
スタイリッシュに決めるとしよう!
こいつを預っててくれ。
君になら託しても問題なさそうだ。
栄誉紋章を1個手に入れました。
![](https://cdn.static.gamerch.com/js/lazyload/lazyload.png)
レッツゴー!
学園青春爆走ライフ、スタートだ!
オーーケィオーケィ!ならクールに行こうぜ!
まずは500kmぐらい走ろうか。
スタイリッシュに決めるとしよう!
こいつを預っててくれ。
君になら託しても問題なさそうだ。
栄誉紋章を1個手に入れました。
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レッツゴー!
学園青春爆走ライフ、スタートだ!
試験場へ向かう
エピローグ
激走するアシモフとマリリンにようやく追いついたステラは、マリリンに状況を説明する。
「こ、これは失礼致しました!私の早とちりで、とんだご迷惑を……」
「オーーケィオーケィ、別に気にしてないさ。誤解が解けてなによりだよ」
しかし、マリリンはどこか煮え切らない様子で、ステラの方へと振り向く。
「ですが、ステラ様。どうして彼に栄誉紋章を貸すようなことを?こう言っては何ですが、彼は風紀委員の要注意人物リストにも載っている問題児でして。その……仮にも魔剣道部の最優秀生だったあなたが、このような生徒と交流を深めるのは……」
「……へ?あたしが誰と交流を深めようと、あたしの自由だと思うんだけど……違う?」
「で、でも!あなたほどのお方が……」
「うーん。それはあなたが思い浮かべているあたしであって、多分あたし自身じゃないんだと思う。だから、変に理想を押しつけられるのは少し迷惑……かな?」
ステラは真顔でそう言ったあと、表情を綻ばせる。
「なーんてね。風紀委員として……ううん。それ以上に、同じ部活だった仲間としてあたしのことを心配してくれてるんだよね。ありがと、マリリン。でも、アシモフは思ったより悪くないヤツだから、心配しないで大丈夫」
憧れの対象であるステラにそう言われ、自らの浅はかさを自覚するマリリン。
「……ごめんなさい。確かに、私は自分勝手な理想をステラ様に押し付けていました。公平な立場である風紀委員として、これほど恥ずべきことはありません。私は風紀委員……いいえ、もはや人間として失格です!」
「い、いやいや!そこまで思いつめなくてもいいと思うなぁ、なんて……」
マリリンのあまりに強すぎる反省心に、ステラは思わず動揺してしまう。
「アシモフ君。今回はあなたのおかげで人間として一歩成長することができました。お礼といっては何ですが、風紀委員の要注意人物リストからあなたを削除しておきます。これで校内での活動も比較的やりやすくなるはずです」
自分なりに筋を通したマリリンはぺこりと頭を下げ、その場をあとにした。
「オーーケィオーケィ!これにて一件落着だ!というわけで、俺はこれで……で、いで、いでででっ!?み、耳を引っ張らないでくれよステラ!俺が何をしたって言うんだ!?」
「ふ~ん?新技開発のために魔力が必要って言うから、魔力を補強できる栄誉紋章を貸してあげたのに……部活の申請試験?あたし何も聞いてないんだけど~?一蓮托生って話はウソだったんだ~?」
拗ねた様子で、ステラはアシモフの耳を何度も引っ張る。
「ウ、ウソじゃないって!ただ、ほら……君の目の前で失敗でもしたらダサイだろ?ここは占星魔法部の部長になる男として、一人でスタイリッシュにクールに決めようかと」
「うん、そういうのいいから」
「……君って、意外と歯に衣着せずに物を言うタイプだよな。やれやれ、あの風紀委員の子の気持ちも少しわかるよ。俺や彼女がイメージしていた君と、今こうして接している君とじゃあまりにも……いでっ」
「んー?それは本当のあたしがガサツで女らしくないって言いたいのかなーアシモフくーん?」
こめかみに青筋を浮かべながら、満面の笑みでアシモフの耳をさらに引っ張るステラ。
「とにかく、今のあたしはもう魔剣道部じゃなくて、ただの帰宅部!そして、これからあなたが設立する新たな部活、占星魔法部の最初の部員になるんだから!その設立を見届ける義務があたしにはあるッ!」
「……わ、わかったよ。占星魔法という新たな力を開発したとはいえ、魔力が少ない俺はその力を上手く行使できない。その点、君は俺の占星魔法をちゃんと使いこなせる。確かに、俺には君が必要だ」
コホン、と一つ咳払いをしてから、アシモフは改めてステラと向き合う。
「ステラ。改めて、君を占星魔法部に勧誘しよう。まぁ、設立するのはこれからだけどね」
「りょーかい、勧誘されました。それじゃ、さっそく試験会場に行こうっ!おーっ!」
「……っと、***君。ドタバタしてしまって申し訳ないんだけど、よかったら君も来てくれないか?あとで詳しく伝えるけど……一つ、頼みたいことがあるんだ」
アシモフが開発したという占星魔法……その力に興味が湧いた***は、もうしばらくアシモフと行動を共にするのだった。
220:まぎがく大乱部! 大判定編
プロローグ
「……って、あれ?会場に着いたのはいいけど、試験官がいないじゃないか」
ステラと***も周囲を見渡すが……彼の言う通り、周りに人の気配はない。
「アシモフ……あなたもしかして、場所を間違えたとか?ほら、この間だって男子更衣室と女子更衣室を間違えてたし。ねぇ、あれって意図的にやったの?どうなの?正直に答えて」
「ストップストップ。話の趣旨が変わってるぜ、ステラ。ちなみにその件は完全に事故だ。徹夜で占星魔法の研究をしていたから寝ぼけていたんだよ。いやマジだって。信じてくれよステラ!その顔やめろよ!」
これは風紀委員のリストに載っても仕方がないな……***は小さくため息を吐く。
「しかし、参ったな。部活動の申請試験は生徒会が行っているはずだ。学校運営にも関わる生徒会が遅刻するなんてことは……」
「ででんっ。そう、遅刻などするはずがないのです。私はずっとあなたの後ろにいました」
「どぼふぉわあっ!?い、いつのまに背後に……?」
急に背後から現れた少女に仰天するアシモフ。すると、少女の姿を見たステラも驚愕の表情を浮かべた。
「あ、あなたは……!確か、やたらと正確なジャッジをすることに定評のある……」
「そう、やたらと定評のあるジャッジさんです。皆は私のことをジャッジさんと呼びます。なので、あなた達も私のことをジャッジさんと呼んでください」
顔色一つ変えず、定型文のような口調で言葉を発するジャッジさん。
「オ、オーーケィオーケィ。とりあえず、部活動申請試験の試験官は君ってことでいいのかい?」
「ででんっ。そう、私です。判定を求める声が聴こえると霧のように現れることで有名な、このジャッジさんが試験官です」
そう言うと、ジャッジさんはアシモフ達から距離を置き、一枚のプリントを懐から取り出した。
「二年生のアシモフさんでしたね。実技試験に入る前に一つ確認をさせて頂きます。なぜ、あなたは新たな部活を設立しようと考えているのですか?」
「ははっ、そんなの決まっているじゃあないか。理由は三つあって……ぁいってぇ!?脛いってぇええッ!?」
すかさず高速移動し、アシモフの脛をハンマーの取っ手で叩くジャッジさん。
「私は三年生。なので、あなたは私に敬語を使うべきでした。100ポイントの減点。マイナス99点を下回ったので申請試験は無効です。では、さようなら」
「ス、ストップストップ!じゃなかった……ま、待ってくださいジャッジさん!もう一度チャンスをください!この部活の申請には、俺の学園生活がかかっているんです!てか脛いってぇ……」
必死の訴えが伝わったのか、ジャッジさんはピタリと足を止める。
「……よろしい。その態度に免じてもう一度だけチャンスを与えます。ただし、私と口調が被るので敬語はもう使わないように」
じゃあ俺なんで叩かれたんだよ……と思うアシモフだったが、ややこしくなりそうなので声には出さなかった。
「部活設立の動機は三つ。一つは、新たな魔法を開拓することが俺の成績に繋がるし、なにより魔法を専門とするこの学校への貢献にもなるから。二つ目は、他の部活の連中よりも上に行きたい。この学校の生徒なら誰もが抱く目標だろ?んで、三つ目は…………今はまだ言えない、かな」
そう言うと、アシモフは一瞬だけステラに視線を配る。どうやら、彼女の存在が部活設立の大きな理由になっているようだが……。
「……よろしい、十分な答えです。では、その占星魔法とやらの力で私と模擬戦を行いましょう。その力がこの学校にとって有意義なものか、否か。むやみやたらに正当な裁きを下すことに定評のある、このジャッジが見定めてあげましょう」
ジャッジさんが無表情のまま武器を構える。同時に、アシモフも一枚のタロットカードに魔力を纏わせ、戦闘態勢に入るのだった……。
>>試験開始<<
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位置登録で星の向きがわかれば、占星魔法の効力も上がるんだ!
美化委員と用務員さんのおかげで、校舎内もいつも綺麗なんだ。
あの人が公正な審判を下すことに定評のあるジャッジさんか。初めて見たな……。
シナジー効果を期待させてもらおうか!
オーーケィオーケィ!青春は仲間と共に!ってね!
占星魔法の力を応用すれば幸運を引き寄せることも簡単さ!
オーーケィオーケィ!共に青春を駆け抜けるとしようか!
ここはまだスタート地点だ!さっさとクリアしようぜ!
エピローグ
地球の周囲にある天体は、少なからずこの地上に何らかの影響を与えている。
とある一説によれば、それらの位置が少しでも違っていた場合、地球の環境やそこに住む生命体は、今とは全く違う形になっていた可能性もあるのだという。
「正直なところ、驚きを隠せません。このような新たな発想こそ、我が魔法技術学園が求めているものといっても過言ではないでしょう」
「……!それじゃあ」
「占星魔法部の申請は却下します。では、さようなら」
「っておーい!ま、待ってくれよジャッジさん!今すごい肯定的なことを言ってたじゃないか!なんで却下なん……ぁいってぇ!脛いってぇの!脛やめてマジで!」
ジャッジさんはアシモフの脛をハンマーの取っ手で叩くと、むすっとした顔で口を開く。
「理由は単純。危険すぎるからです。星の力を人間の力で操作するなど、あまりにもリスクが高い。仮に暴走などを起こしてしまえば、未知の脅威がもたらされることもあり得ます」
「……占星魔法は人の手に余るってことか?そんな力を見つけてしまうなんて、俺ってもしかして天才なのだろうか。そうとしか思えなくなってきた」
言ってる場合じゃないでしょ……と、ステラに頭をごつかれるアシモフ。
「このような未知の力を認可するわけにはいきません。ゆえに、申請は却下。加えて、占星魔法をこれ以上研究することは禁止に……」
「はーい、ジャッジちゃんそこまで。ここで彼の力を認めないのは、うちの学校にとって大きな損害になるかなーって先生思うなぁ」
「……!ウィノ先生、見ていらしたのですか」
教室に現れたのは、魔法技術学園で地学の教師をしているウィノという女性……。
「ジャッジちゃんの言う通り、彼の構築した魔法は危険を伴うわ。けど、ここで危険を摘んだところで、いつか他の生徒が掘り起こしちゃうこともあり得るワケでしょ?」
「……それは、確かにそうかもしれませんが」
「でしょでしょ?だったら、彼にはこのまま占星魔法を研究させて、使い方や安全策を確立させた方がいいんじゃないかーって先生思うなぁ。それに、顧問だったら私がやるし?ちゃんと見張っておくし?」
ジャッジさんはあごに手を添え、しばらくすると首を縦に振った。
「……わかりました。先生がそこまで言うのでしたら、占星魔法部の設立を認可します。ただし、何か問題があった場合は即解体ということもあり得ますので、お忘れなく」
そう言い残し、ジャッジさんは颯爽と姿を消す。どうやら、申請は無事に通ったらしい。
「ふぅ……助かったよ、ウィノ先生。あなたがいなかったら危うく揉み消されるところだった」
「なんのなんの。“弟くん”をこの学校に招き入れたのは他でもない私だもの。少しぐらいは協力しないとねー。それにしても、占星魔法かぁ……。着想としては素晴らしいわ。ぜひ、私にも協力させてね」
そう言い残すと、ウィノは手をひらひらと振りながらその場をあとにした。
「……ね、ねぇアシモフ。あなた、先生の推薦でこの学校に来たの?初耳なんだけど」
「ん、言ってなかったっけ。まぁ、この学校は魔力量こそが物を言う環境だ。魔力が常人並の俺がまっとうに入学なんてできるわけがない。ほんと、ウィノ先生が俺に目をつけてくれたのは僥倖だったよ」
「僥倖って……そもそも、教師から直接スカウトなんて話、聞いたことないんだけど!?あなた、いったい何者なの?」
「いや、別にたいしたものじゃ……まぁ、とりあえずは部活が設立できたことを祝おう!部員は三人必要だから、ひとまず俺とステラと***の三人ってことで!」
勝手にメンバーに加えられてしまった***。
しかし、彼らが未知の力をどのように使うのか……それを見届けるため、***は占星魔法部のメンバーとして、引き続きアシモフ達と行動を共にすることにしたのだった。
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