亡鏡国ジャーニー_本編
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257:亡鏡国ジャーニー ハッタと旅人
プロローグ
「おっ!新しいターゲット発見!ボールにドリームをチャージ!相手に向かって……ディーちゃん・シュウゥゥウウ!!」
閑散とした大通りを進んでいると、遠くの方から一人の少女が現れ……突然、手に持ったホッケースティックを勢い良く振るい、こちらに向かってボールを打ち込んできた。
「へぇ!このティードル・ディーちゃんのシュウッ!を避けるなんて、結構やるじゃん!けど、まだまだ打ち足りないからさぁ……そっちがぶっ壊れるまで、ゲームを続けようじゃんっ!」
ふと、妙な気配を感じ、---は目を凝らす。すると、うっすらとした黒い煙のようなものが、少女の体を覆っているのが見えた。
「……!栞の旅人様、スノウドロップ様!どうやら、彼女は魔力干渉によって、精神を支配されているようです。おそらく、オニユリさんが仰っていたジャバウォックの力によるものかと……」
「あら、そうなの?なら、元に戻してあげなきゃ可哀そうね……。とりあえずぶん殴って気絶させちゃえばいい?」
スノウドロップの問いに、ヘイヤは否定の意を示す。
「ジャバウォックの精神支配は非常に強力なようです。ただ、記憶領域を探ったところ、どうやら私には対抗機能が備わっているみたいでして……。そのためには、対象に直接触れる必要があるのです」
「ふぅん……。なら、まずは距離を詰めて、あの子の動きを止めることに集中すればいいのね?」
作戦が決まり、---達はディーと名乗った少女の攻撃を避けるため、三方向に散開した。とはいえ、ボールの速度と威力は地を抉るほどに凄まじく、なかなか近づくことができない。
「手強い相手のようだな」
……背後からマッドハッター声が聴こえる。どうやら、しっかりとついてきていたらしい。
「お前はあくまで栞の力を行使する術士だからな。生身での戦いはあまり得意ではないのだろう……。まぁ、泣き言を言っても始まらん。せいぜいがんばりたまえよ、栞の旅人殿……………………なッ!?」
小言を言いながら、マッドハッターは無意識に---の肩に手を置いた。すると、その時……触れ合った箇所から、目が眩むような強烈な輝きが迸る。
「な、なんだこれは……!?」
そして、マッドハッターが慌てて手を引っ込めると、輝きはすぐに消え失せた。
「……おい、お前!今、私に何かしたのか……!?」
当然ながら、---が何かしたわけではない。“今のはなんだったのか?”と逆に問い返すと、マッドハッターはしかめっ面で首を横に振った。
「わ、私にもわからん。お前に触れた瞬間、まるでお前に引き寄せられるような、極めて不快な感覚を覚えたが……。しかし、妙だな。他の人間や物には触れられぬというのに、なぜお前に触れた時だけ、今のような現象が発生するのだ……?」
……珍しく動揺しているらしい。---は“もう一回触れてみる?”と、事実確認の意と少々の悪戯心を込めて聞いてみる。
「二度と触るかッ!お、お前……そんなに私が狼狽えるのを見るのが面白いか?」
と、軽口を叩き合っていると、再びホッケーのボールがかいちょの方へ飛んできた。なんとか回避に成功するものの、あと少し遅かったら直撃していたかもしれない……。
「ほぉら見ろ!お前に私をからかっている暇などないはずだ。さぁ、状況を理解したのであれば、ティードル・ディーに一矢報いてみせろ」
>>旅を続ける!<<
ランキングに関係なく、一定数の【ミラーメダル】を集めると役立つアイテムが貰える。知らないわけではないだろう?
……はぁぁ。実に面倒極まりないと思わんかね?
アイテムショップで手に入る「アレスの鍛錬書」を使えば、すぐにLv80になれる。実に私好みの成長法だ。
「土地力」はお前の力の源の一つでもある。強敵に挑むのなら、溜めるべきだろうな。
力が共鳴し合う光景というのは、いつ見ても芸術的だ……。
見世物ではないのだぞ?まったく……。
強い敵を倒せば多くの【ミラーメダル】が手に入る。
敵の情報は、他のプレイヤー達がイベント掲示板で教えてくれる。
こまめにチェックするといい……とだけ言っておこう。
クエスト……?
ほう、なかなか甘美な響きだな。
敵の情報は、他のプレイヤー達がイベント掲示板で教えてくれる。
こまめにチェックするといい……とだけ言っておこう。
クエスト……?
ほう、なかなか甘美な響きだな。
旅を続ける!
秘銃工作バトル
「ひっ……ほぁぎぃやぁあぁあッ!!の、のぎゃああああああ!!」
ディーの絶叫が周囲に木霊する。数十秒後……ディーは顔をげっそりさせながら、バタンと倒れた。
「やったぁ!無事(?)に成功しましたよ、栞の旅人さんっ!」
ジャバウォックの精神干渉とは、生物が宿している生命力……すなわち魔力を汚染することで成り立つもの。つまり、精神干渉を受けた者の魔力が枯渇状態になれば、干渉は自然と解除される……と、ヘイヤは語る。
加えてヘイヤには、手で触れた者の魔力を吸い取る機能が備わっているのだという。この機能を使い、ヘイヤはディーの汚染された魔力を吸い尽くしたらしい。
「あっ。でも、この機能は使用回数が限られていますので、ご注意をば!とてもですが、町の人全員を元に戻すことは叶わないかと……」
生物ではなく魔導人形であるヘイヤは、汚染された魔力を吸い取っても何の影響もないようだ。一方、魔力のほとんどを吸われたディーの方は……
「しょ、正気に戻してくれて、センキュー……。あの、さ……弟の無事を、確認……したいの……西の雑貨屋の地下に、秘密のアジトがあっ、て……合言葉で中に入れる、から…………きゅううぅ」
無理やり笑顔を作ると、ディーは意識を失ってしまった。
なんにせよ、このままここにいるのは危険だと判断した---達は、力持ちのヘイヤにディーを背負わせ、一旦ディーの言っていた雑貨屋の地下へと向かうことにした。
そして、階段を降り、さらに隠し階段を降りていくと、---達は大きな扉の前に辿り着く。
「…………機関車の音は?」
軽くノックをすると、扉の奥から子どもの声が聴こえた。---はディーに教えてもらった「王様のいびき」という合言葉を口にする。その直後、扉が開くと同時に、作業着を着た一人の少年が姿を現した。
「……ディー姉に言われて来たの?なら、入っていいよ。今のところ、ここは安全だ」
どうやら、彼は精神干渉を受けていないようだ。
「ああ、その荷物……じゃなくて、ディー姉はベッドにテキトーに投げといて。こうなったのもある意味で自業自得だし。僕と違ってほんっと馬鹿なんだよね、この姉」
と言いながら、ダムは横になった姉にしっかりと毛布をかけてあげていた。
「この様子だと、ディー姉は例の竜の精神干渉を受けてたのか。外に偵察に行ってくるって張り切って出ていったから、そんな予感はしてたんだ。でも、方法はわからないけど……君達が元に戻してくれたんだね。だいぶ荒療治だったみたいだけど」
「……ねえ、アナタ。まずは名乗ったらどう?アタシ達、まだ状況がよくわかっていないのよねぇ」
淡々と口を動かす少年に、しびれを切らしたスノウドロップが名を尋ねる。
「僕の名前はティードル・ダム。巷で噂の天才少年とは僕のことさ。まぁ、好きなように呼んでよ」
「ふぅん……。じゃあ、天才クン」
「天才クンじゃなくて天才少年ダム。そこ重要だから」
「好きに呼んでいいんじゃなかったの?まぁいいわ。それで、アナタはさっきから何をいじってるの?」
「今作ってるのは、精神干渉を受けた人達を元に戻すためのカスタマイズピストルだよ。名付けてダムダムピストルって言うんだけど……あ、丁度いいや」
ダムは指をパチンと鳴らすと、---達に目配せをする。
「悪いんだけど、製作を手伝ってくれないかな。後はパーツの組み立て作業だけなんだ。詳しい話は作業をしながらってことで、どうだい?」
「お手伝いねぇ。確かに、いちいち住民に襲われてたら、町を歩くことすらままならないものね……。栞の旅人さん、アナタはどう思う?」
---もスノウドロップと同意見だった。しかも、彼は安全な場所を提供してくれたうえに、精神干渉を受けた者達を元に戻すための武器を作っているという。ヘイヤの機能に制限がある以上、ここは手伝うべきだろう。
「助かるよ。ディー姉はパーツを粉微塵にしちゃうから頼めなくてね。じゃ、そこのテーブル使って。説明した通りにパーツを組んでいけばいいから……あ、どうせだったら競争でもしてみる?ただ組み立てるのもつまらないし、僕の天才少年っぷりを、そこのケモミミお姉さんに証明したいしね」
こうして---達は、天才少年ダムの工作を、競争がてら手伝うことになったのだった。
「…………。ちゃんと見ているぞ。何なら、栞を使って人手を増やしてみたらどうだ?間違いなく効率が上がると思うがね」
後ろを見ると、マッドハッターはいつもの気だるげな……それでいて、どこか優しさを感じる瞳で、眠っているディーを見つめていた。
工作競争開始!
塀上危芸バトル
「ダムダムピストル……。開発した武器に自分の名前をつけるとは、よほど自分が好きなのだろうな。私には理解できん」
丸一日が経過し、---が休憩のために席を立つと、マッドハッターが眠そうな顔で声を掛けてきた。
「ん?名前と言えば……そういえば、お前の名前を聞いていなかったな。あぁいや、言わなくていい。そのまま私が名乗る流れになると、実に面倒極まりない。“栞の旅人”と“マッドハッター”という、記号的関係性のままいこうじゃないか」
……そちらの名前はマッドハッターではないのか?と、---は疑問を口にする。
「まさか、本名だと思っていたのか?チッ……なら、そのままの認識にさせておくべきだったか……」
なぜ偽名を?と、---はさらに尋ねてみる。
「言っただろう?私は他者に自分自身について語られるのが嫌いなのだよ。名を口にされるだけで寒気がするほどにな。ゆえに、真の名は名乗らないことにしている」
マッドハッターは体を伸ばし、欠伸をしながら続ける。
「とはいえ、仮に名を明かすことがあるとするならば……それはきっと、自分を許せた時なのかもしれん。ありえないことだとは思うがね」
そこまで言うと、マッドハッターはピタリと動きを止め、唐突に顔をしかめた。
「……しまった。私としたことが、暇を持て余しすぎてベラベラと喋ってしまった。えぇい、全て戯言だ。忘れてくれ」
「こっちは終わったよ。君達の方は……ふぅん、もうほとんど終わってるみたいだね。まぁ、勝負は引き分けってことでいいや。あとは君達が作ってくれた機関と、こいつを組み合わせて……よし、完成だ」
武器が完成したことを告げるダム。直後、マッドハッターは“いいか忘れろよ”と小声で言ったあと、いつものように姿を消した。
「早速だけど、町に出て試し撃ちをしようと思うんだ。メインストリートを抜けた先にある塀の上に、旅芸人のお姉さんがいるはずだ。まずは彼女を正気に戻せるか、実験をしよう」
武器の製作中、ダムは自分が町の住民であることや、ディーや騎士達に助けられて精神干渉を免れたこと……そして、町の人達を一人でも多く元に戻そうとしていることを語ってくれた。
---達はダムに協力することが、この世界を救う近道だと判断し、さっそく彼と共に町へ出ることにする。
「ウェルカ~ム!さぁさぁ、塀の上に注目ですよ~♪」
向かった先にあった塀の上には、ダムの言っていた旅芸人の姿があった。
「いらっしゃい皆さん♪ではでは、観客参加型のゲームショーを始めましょう!今から投げるエッグをぜ~んぶ避けられたら、あなた達の勝ち!避けられなかったら死んじゃうかもしれないので、ご注意をば~!」
穏やかな言動ではあるものの、内容はおどろおどろしい……。そして、最初に会った時のディーと同じオーラを発していることから、ジャバウォックの精神干渉を受けていることは間違いなさそうだ。
「弾丸は貴重だ。無駄撃ちはしたくない……危険な役目を押し付けてしまって申し訳ないんだけど、君達三人で彼女の動きを止めてもらっていいかな。その隙に、僕が必ず弾を当ててみせる……!」
「……フフ。いい目をしているわね、天才少年クン。アタシは栞の旅人さんがよければ、それで構わないわよ?」
かいちょはヘイヤに目配せをしたあと、彼女と共に首を縦に振った。
「はいは~い、私語は謹んでくださいね~♪では、ハンプティ・ダンプティのショータイム……スタートですよ~♪」
ショータイム!
双刃襲撃バトル
作戦が成功し、ダムの弾丸はハンプティに命中した。邪悪な気配は……もう感じられない。
「……よかった。どうやら成功したみたいだね」
ダムは安堵の息を吐き、額の汗を拭う。
「見直したわ、天才少年クン!というか、アナタのピストルだと、相手がしなびたリンゴみたいになって倒れちゃうこともないのね。うちのヘイヤちゃんよりも、幾分か紳士的なやり方っていうか……」
「あっ!その言い方だと、私のやり方がガサツに聞こえるじゃないですかっ。感情はありませんが、怒っちゃいますよ?」
キャッキャと騒ぐスノウドロップとヘイヤを尻目に、ダムはハンプティに状況を説明する。
「……言われてみれば、黒い竜が町に飛んできてから意識がぼんやりとしちゃって、そこから記憶が曖昧になってるわねぇ。で、あなた達は町の人達を元に戻そうとしているのね。なら、もちろん協力するわ♪ダム君はいつも私の芸を観にきてくれる、大切なお客様だしね」
そして、ハンプティが状況を理解した……その瞬間のことだった。
「ガッ……ァァ……ァァアア!!」
突如、一体の“獣のような者”が、どこからともなく、気配もなく現れる。手には鋭利なナイフが握られており……その切っ先はダムの首を狙っていた。
襲撃にいち早く気付いた---は、反射的にダムを突き飛ばしていた。その結果、ナイフの切っ先は---の首に触れ――――
「油断したな、栞の旅人よ。これで一回死亡だ」
死んだ。そう思った時、マッドハッターの声が聴こえ……---は、信じられない光景を目の当たりにした。
「とはいえ、私も“最初は”この怪物に殺されかけた身だ。首が千切れそうになったものの、意識が失せる前になんとかコイツを使うことに成功し、難を逃れたがな」
今、この空間で動いているのは---とマッドハッターの二人だけ。仲間達も、ナイフを持った襲撃者も、ピクリとも動かない。まるで……時間が止まったかのように。
「……実演してみせた以上、隠す必要もないか。私はな、以前に旅をしたワンダーランドという物語世界で、白ウサギを名乗る者から、この不思議な時計を貰ったのだ。こいつを使うことで時間を止めたり、巻き戻したりすることができる。今は、私とお前以外の時間を停止させているという状況だ」
マッドハッターの手には、彼がずっとポケットに入れていた懐中時計が握られていた。どうやら、あれが白ウサギの時計……らしい。
「無論、万能というわけじゃない。干渉できる時間や、時間停止の維持には限界がある。加えて、おそらく白ウサギですら想定していなかったデメリットが……おっと。言っている傍から、時間停止の維持に限界が来たようだ。ひとまず、そこから離れておけ。首と体を斬り離されたくなければな」
言われた通り、---は襲撃者から離れ、一定の距離を保つ。
「あぁ、それともう一つ。私は自己犠牲を良しとはしないタチだ。咄嗟に仲間を庇うというお前の行動は実に無様であり……それ以上に、勇敢であった。今回の助けは、その勇気を評してのことだと思え」
つまり、これ以上の助けは期待するなということだ……と言い残し、マッドハッターは姿を消した。
それと同時に、止まった時間がすぐに動き出した。
「……!?ガ……ァ、ァアアア」
---達は改めて、ナイフを持った襲撃者を見据える。何者かはわからないが、どうやら町の住民というわけではないようだ。それ以前に、人であるかどうかも怪しいところだが……。
「ァ……ア、ァアアアアア!!」
……殺意をむき出しにしながら、襲撃者は---にナイフを向けた。
襲撃者を迎え撃つ!
幻竜咆哮バトル
「今のヤツも、あの竜と関係が……?いや、考えるのは後だ。また襲撃を受けないとも限らない。日も落ちてきたし、一度僕のアジトに戻ろう」
ダムの提案に乗り、---達は雑貨屋の地下にあるアジトへ戻り、ひとまず休息を取ることにした。思った以上に疲れが溜まっていたらしく、---はすぐに眠りにつき……そして、不思議な夢を見た。
――森の中。---と同じ栞を手に、大きな黒竜と戦う一人の男。その男は、どう見ても……
「……勘弁してほしいものですねぇ、お客様。よもや、人の精神世界の中に土足で入ってくるとは。なるほど、同じ魂の波長を持っていると、こういった弊害が起こるワケか。実に厄介極まりない……」
次の瞬間。夢の中の景色が薄暗く、小さな庭園へと変わる。その中心に立っていたのは、先ほどの夢で竜と戦っていた男……マッドハッターだった。
「もはや秘することも不可能か。まぁ……お察しの通りだ。私はお前と同じ、栞の旅人さ。いや、こんな亡霊のような状態になった以上、栞の旅人だった者……という表現が的確なのかもしれん」
マッドハッターは眠たそうな瞳で、---に人差し指を向けた。
「物語世界を渡り、その世界を救う使命を持つ英雄は、何もお前一人ではない。以前、別の物語世界で出会ったローランという剣士もまた、同じ使命を背負っていた。であるならば、栞の旅人という存在が複数いても、不思議なことではあるまい?」
しかし……と、マッドハッターは淡々とした様子で続ける。
「……私は失敗した。この世界を救えなかったのだ。そして、失敗するたびに、私はこの時計で何度も時を巻き戻してきた」
語りながら、懐中時計を片手で握りしめる。その手は……ぷるぷると、小さく震えていた。
「何度も死にかけ、何度も仲間の死を見送り、この世界の者達が一人残らず死んでいくのを、何度も、何度も見てきた……が、いくらやり直しても、心が擦り減るまで足掻いても…………結果は変わらなかった」
時計を握る力を緩め、マッドハッターはゆっくりと目を閉じる。
「……次第に私はジャバウォックに挑むことをやめ、終末の時が訪れた時に、ただ時を戻すだけの人間になり果てていた。さらに、何巡目からだったかは、もう記憶にないが……気が付くと、全ての者達が私のことを認識しなくなっていたのだ」
加えて、この世界に来る前から関わりがあったヘイヤとスノウドロップの記憶からも、マッドハッターという存在が完全に消えてしまった……らしい。
「考えてみれば、当然のことなのかもしれん。時に干渉するという行為は、時間という名の世の摂理から大きく外れる行為だ。以前に旅をした物語世界に、ビデオテープという記録媒体があったのだが、何度も再生や巻き戻しを繰り返すうちにテープが擦れていき、やがては何も写さなくなる、というものでな」
帽子を深くかぶり直し、彼は渇いた微笑を浮かべる。
「まさに私は、擦り切れたビデオテープというわけだ。そして、私という存在は希薄になり、いつしか肉体も失い……ご覧の通り、魂だけの状態になり果てた。なかなかに滑稽だろう?」
---とマッドハッターは、同じ魂の波長を持っている……と、他でもない、この男が言っていた。
推測の域を出ないが、それは……同じ“栞の旅人としての力”を持っているがゆえのことなのかもしれない。
おそらく、---にだけマッドハッターの姿が見えるのも、その影響なのだろう。
「……あと一、二回ほど時計の力を使えば、私の魂は完全に消え果てる。そうなれば時を戻すことはできなくなり、この世界は真の滅びを迎える……ゆえに、無駄だと思いながらも、お前にはほ~んの少しだけ期待していたというワケだ」
彼の正体と真意を知ったのはいいが、---にはどうしても気になることがあった。
……何度挑んでも敗北したという竜、ジャバウォックとは何なのか?そもそも、なぜ彼はこの世界を救えなかったのか?かいちょはその理由を尋ねる。
「それは……ああ、丁度いい。どうやら今は、夢を通してお前が私の精神世界の中に入ってきている、という状況らしいからな。面倒極まりないが、肉体という枷がない私の力ならば……」
マッドハッターが指をパチンと鳴らすと……突然、---の前に数体の竜が出現した。
「お前の記憶に宿る、数々の竜達。即席の幻体であるがゆえ、オリジナルほどの力を有してはいないが……災厄にして最悪の竜たるジャバウォックに挑む前のウォーミングアップとしては、丁度いい相手といえる。まずはこの竜達との戦いを通し、その脅威の一端を知るがいい」
竜に挑む!
騎士来襲バトル
マッドハッターが指をパチンと鳴らす。すると突然、---が倒した竜達の体から赤黒い霧が発生し、一瞬にして世界を包み込んだ。瞬間、---はまともに呼吸ができなくなり、内側から体を蝕まれるような激痛と共に地に伏した。
「安心しろ、その苦痛は幻だ。しかし、これを何倍以上にもした現象が、現実にも発生する。そう……ジャバウォックは死を迎えた時、亡骸から致死性の瘴気を世界中に、一瞬にして撒き散らすのだ」
彼が指をもう一度鳴らすと、呼吸が楽になり、霧も痛みも消え、倒れた竜達も姿を消した。
---は呼吸を整えながら立ち上がり、改めてマッドハッターを見据える。
「ジャバウォックがどこから来た竜なのかは知らん。が、これだけは確かだ。ヤツを倒せば、瘴気により全ての命が死に絶える。かと言って放置しておけば、精神干渉によって全ての人々の心がヤツに掌握される。結果、人々は狂気に突き動かされるまま殺し合いを始め、全てを破壊し尽くすまで暴走し続ける」
だが、精神干渉を解く方法があるのなら、希望はあるのではないか?と、---は問いかける。
「確かに、ヘイヤの力やダムの武器があれば精神干渉を解くことは可能だ。が、どちらも回数に限りがあるうえに、ジャバウォックは視界に入った者であれば、すぐにその者の心を支配することができる。精神干渉の侵攻速度は、我々が想像するよりもずっと速いのだよ」
珍しくこちらの問いに答えたあと、マッドハッターは帽子をより深く被り直す。
「理解したか?ジャバウォックを倒しても倒さずとも、この世界は滅びる運命にある。今は森に住む精霊の封印で、ヤツを自由にせず済んでいるが、その封印も明日には解ける。破滅の瞬間は、もうすぐそこまで迫っているんだ。それでも……この世界に留まるか?」
……敵を倒しても倒さなくても、世界は滅びる。
彼の言う通り、破滅はもう目の前にまで迫っているのかもしれない。だが、この世界をこのままにしておくわけにもいかない。---は力強い眼差しをマッドハッターに送ることで、その質問に答えた。
「……使命とは、まるで呪いだな。まぁいいさ。ならば、北東の森へ赴くといい。先述した森の精霊が、ジャバウォックに抗う力をお前に授けてくれるはずだ。微々たる力ではあるが、ヤツと対峙するうえで必要なものとなる」
そう告げると、マッドハッターは姿を消す。同時に---は目を覚まし、現実に戻ってきた。気を失っていたディーを含め、他の者達はすでに起床しているようだ。
---は皆を集め、元凶である竜を何とかするために、まずは森の精霊に会いに行くべきだという旨を伝える。
「……北東にはジャバウォックの精神干渉を受けてしまった白騎士達がいる。戦いは避けられないと思う。けど、僕は命の恩人である栞の君に従うよ。それに、確信があるんだ。君なら、あの竜を絶対になんとかしてくれるって」
ダム達から同意を得た---はアジトを後にし、北東の森へ向かうことになった。
「お待ちなさいな、そこの見るからにみすぼらし~ぃ集団!この私、エクゥスの前を通ったということは、命に未練がないということ……つまり、この場で命を散らす覚悟があるということ!ですわね!?」
そして、森に入ろうとした時。槍を持った一人の女騎士が目の前に立ち塞がる。
「……グチャっと潰れて、ぺっちゃんこになってください。グチャって音、好きなんです」
「獲物はぜ~んぶあたしが頂くわ!武功を上げて、キャスリングしちゃうんだからっ!」
続けて、背後からは巨大なハンマーを持った騎士と、剣と盾を持った騎士が現れた。
「……精神干渉を受けてるのに、三人で殺し合うようなことはしてないみたいだね。ディー姉は無差別に人を襲ってたのに。まぁ、それは操られてなくても変わらないと思うけど」
「う、うるさいなっ!もっと姉を敬えアンタは!ていうか、ほら。あの三人は昔からすっごく仲良かったじゃんか。多分、操られてる今も、心の中で抗ってるんだよ……。なんとかして助けないと」
ディーの言葉を受け、ダムは顎に手をそえ、思考する仕草をとる。
「……栞の君の話だと、精霊の封印が解けるまで時間がないんだったね。なら、君とケモミミお姉さんペアは、隙を見て森の中に向かってよ。ここは僕達だけでなんとかしてみせるからさ」
ダムの提案に、ディーとハンプティは首を縦に振った。
「ケモミミお姉さんペアのウサギの方、承知致しました!行きましょう、栞の旅人さん!」
「フフ、猫耳のお姉さんの方も了解したわ。くれぐれも無理はしないように、ね?」
こうして、ケモミミお姉さんペアと---は騎士を退けつつ、森の奥へ向かうことになったのだった……。
突破する!!
精剣授与バトル
「わぁあっ、スナークちゃん好みのおいしそ~な魂!はうぅ……どうせこの世界はもうすぐ終わっちゃうみたいだし、最後ぐらい楽しんだっていいよね?いいよね??」
すると、死神のような風貌をした翼人が空から現れ、---達の進む道を塞いだ。見たところ、ジャバウォックの精神干渉を受けているわけではなさそうだ……。
「んもぉ、時間がないのに……。栞の旅人さん、この変なのはアタシが相手するわ。オートマタの子と一緒に先に進みなさいな」
「えっ!?で、でも……」
「大丈夫。ダーリンと会うまで、絶対に死んだりなんかしないわ♪またあとで会いましょ。ねっ、約束♪」
心配するヘイヤに笑顔で返すと、スノウドロップはスナークと名乗った相手に飛び掛かっていった。---とヘイヤは彼女の身を案じながらも、その思いを無駄にしないために、先へ進むことを選ぶ。
「お待ちしていました。栞を携えし旅人……あの人と同じ“魂の波長”を持つ者よ」
……そして、甲高い木々に囲まれた静かな平地に辿り着いた---とヘイヤの前に、一人の女性が現れた。
「私は古き精霊、ヴォーパル。人とは異なる摂理を生きる存在。ゆえに、人では認知できない事象を感じ取ることがあります。魂が放つ波長を可視化し、この目で見たり……。ある時は、時間という摂理の外で起こっていたことを、夢として見ることも……」
ヴォーパルは凛とした瞳で、---のことを見つめる。
「あなたの魂の波長は……夢の中に現れる、栞を持った“彼”のものと、鏡に写したかのようにそっくりなのです。そして、あなたと同じ波長を持つ彼は、この世界を守るため、かの竜に挑み……失敗した。そのたびに彼は、何度も時を巻き戻しました」
---はすぐに理解した。彼女が語る“彼”の正体を。
「絶望し、立ち上がり、また絶望し……永遠にも等しい繰り返しの中で、彼の心は挫け、いつしか戦う意志も肉体も失って……それでも……それでも彼は、時を巻き戻すことだけはやめなかった。この世界を諦めたことは、ただの一度もなかったのです」
小さく俯き、目を細めるヴォーパル。
「……あまりにも残酷な使命を、彼は背負ってしまった。ですが、夢の中の彼は弱音一つ吐くことなく、この世界の住人達にいつも希望を与えていました。滅亡を待つしかない者達にとって、それがどれほどの救いであったか……」
悲しげな微笑を浮かべたあと、ヴォーパルはゆっくりと顔を上げ、---の双眸に視線を戻す。
「今、彼がどこにいるのか、どうなってしまったのかは、私にはわかりません。ですが、彼と同じ波長を持つあなたならば、出会うこともあるかもしれない。その時は……どうか、彼にこう伝えてください」
胸元に手をそえ、この世の全てに感謝するような笑顔で、彼女は言った。
「私達の英雄であり続けてくれて、ありがとう。もう、休んでもいい……と」
その言葉を、---が伝える必要はなかった。なぜなら――
「…………ッ。英雄でなど……あるものか」
“彼”は、こうして---の隣にいるからだ。
「……長話をしてしまいましたね。竜を封印している術が解けるまで、もう時間がありません。あなたは竜に立ち向かう力を得るため、私の下を訪れたのでしょう?ならば……この剣を授けるに足る人物であるかどうかを見極めるのが、私の役目」
魔力を凝縮し、ヴォーパルは一本の美しい剣を具現化させると、その切っ先を---に向けた。
「どうか、お手柔らかに」
力を示す!
災厄竜撃バトル
「持ち主の魔力が尽きぬ限りは周囲の者も含め、かの竜の精神干渉を受けることもないでしょう」
---は試練を突破し、ヴォーパルの使っていた剣を授かった。
「……もう、封印が解かれる頃です。あなたの戦いがどのような結末をもたらすのかは、私にもわかりません。どうか、ご武運を」
ヴォーパルの言葉を受け、かいちょとヘイヤはさらに森の奥へ進む。竜の居場所を改めて探す必要はない。
封印が弱まった影響により、禍々しい邪気が周囲に漂い始めている……ならば、邪気が強い方向へ進めばいいだけだ。
「……見届けるさ。私にはもう、それしかできないのだからな」
先ほどのヴォーパルの言葉に思う部分があったのか……マッドハッターの表情には、僅かながら哀愁のようなものが感じられた。しかし、かいちょがその表情の意図を探る間もなく――
『グガアアアアアアアアアアァ!!!』
---は災厄の竜、ジャバウォックの下へと辿り着く。そして、その咆哮が、封印が解ける合図となった。
「栞の旅人よ。先述した通り、ヤツを倒せば世界は滅び、倒さずとも世界は滅ぶ。どう足掻いても結末は…………ん?」
---はマッドハッターに一枚の栞を見せたあと、ヴォーパルから授かった剣をヘイヤに手渡す。そして、しばらく時間を稼いでほしい……と、彼女に伝える。
「何か考えがあるのですね……。承知致しました、おまかせください!」
ヘイヤは剣を片手に、ジャバウォックへと立ち向かう。---は剣の加護の範囲内にいることを確認したあと、魔力を込めた栞を空高く掲げる。
すると……---の持った栞は、今まで見たことのない、激しい輝きに包まれた。
「なっ!?それは、強制封印術……!まさか、私の話を聞いただけで、使い方を会得したとでも言うのか……!?」
理由はそれだけではない。---が夢を通し、マッドハッターの精神世界に入った時、---はマッドハッターがジャバウォックに挑む姿を何度も見た。
その中には、マッドハッターが強制封印術を使用する場面もあった。
見様見真似であることは間違いないが……どうやら、---にも発動は可能のようだ。
「……お前のポテンシャルの高さには恐れ入る。だが、無駄だ。その方法なら、私も何度も試したさ。」
「以前、お前に語った通り、強制封印術の成否の判定は、使用者の“魂の力”の総量によって決する。いかにお前が優れた魂を持つ者でも、かのジャバウォックを封するには力不足だ」
---の栞から放たれた輝きが、ヘイヤと戦闘中のジャバウォックを覆う。が、その瞬間……---の全身に、張り裂けるような激痛が走った。どうやら、肉体と魂が悲鳴を上げ始めたようだ。
「……見たことか。このままでは魂が焼き切れて、お前は死ぬ。理解したのであれば、この世界のことは諦め、早く次の世界へ行け。お前だって、こんなところで死にたくはないだろう?」
心臓が破裂せんばかりに鼓動し、痛みが意識を支配し、視界が赤く染まってゆく。それでもかいちょは、膝をつきそうになるのを必死にこらえた。
「お、おい、これ以上はよせ!このままではお前が無駄死にするだけだ!私は……私は、な…………」
……そういえば。
以前、マッドハッターは“真実しか語らない”と言った。ならば、彼が少しだけ---に期待していたのは、本当のことなのだろう。
そして、同時に……彼は---にこの世界のことを諦めさせようとしていた。
世界を救いたいという嘆きも、諦めさせたいという悲鳴も、どちらも等しく真実だったのだろう。ゆえに……
「私は……同じ栞の旅人であるお前には……お前にだけは、生きていてほしいのだ!だから、もうやめろ!」
拳を握りしめながら発せられた彼の言葉を、---は純粋な気持ちで受け入れることができた。そして、受け入れたうえで、---は戦うことを選んだ。
「……ッ、なぜだ……なぜ、そこまでする!?こんな壊れかけの世界など、放っておけばいいではないか!」
「ここは私の旅路の果てであり、お前の旅はこれからも続いていくのだ!それで……それで、いいではないか……!」
何のために戦い、何のために旅を続けるのか?思えば、いつも自分にそう問いかけていたような気がする。
……この戦いの果てに、見つけられるだろうか?
---は栞を掲げ、災厄の竜と対峙するのだった……。
封印する
エピローグ
「くっ……。もういい、やめろ!」
見かねたマッドハッターが、---の肩に触れた。その時……
「!?こ、この輝きは……あの時の……」
その光は、---にも見覚えがあった。確か、ディーの襲撃を受けていた際に、マッドハッターが---に触れた時にも、同じ現象が起こった。
「……!お前に引き寄せられるような、この感覚……そう、か。私とお前は、同じ“魂の波長”を持つ者。これは……魂だけの状態である私が、肉体のあるお前に引き寄せられ、お前の魂の一部になろうとしているがゆえに発生している現象、だったのか」
その推察は、おそらく合っている。現に---は、マッドハッターの手が自分の肩に触れた瞬間、体の内側から力が湧いてくる感覚を、全身で感じていた。
「…………。なあ、栞の旅人よ。お前はこれからも、物語世界を救うために、旅を続けるのか?」
突然の問い。しかし、答えは決まっている。---は力強く、首を縦に振る。
「……そう、か」
---の返答に納得したのか、マッドハッターは……少年のような笑顔を浮かべた。
「では……あとのことは、お前に託すとしよう。安心しろ、私の人格がお前に流れ込むようなことはないだろう。あくまで私は……お前の魂の糧となるだけだ」
より強く、---の肩を掴むマッドハッター。すると、輝きはより強烈なものとなる。同時に、マッドハッターの姿は、ぼんやりと薄くなっていった。
「……………………セオフィラス」
そして、眩い光に包まれながら、彼は言った。
「私の名だ。覚えていてくれ」
真の名を語った、その男は――
「さらばだ。私を救ってくれた……栞の英雄よ」
真っ白な光の波と化し、---の体へと流れ込んでいった。その瞬間、---の立っている場所から光の柱が天高く立ち上る。その柱は、一帯を覆いつくすほどに膨れ上がり――――
…………
…………
「……!よかった、気が付いたんだね」
暖かい陽射しが降り注ぐ森の中で目を覚ました---の視界には、ダム達の姿があった。どうやら、精神干渉を受けていた白騎士達も正気を取り戻したようだ。
……しかし、---と共に戦い続けた、スノウドロップの姿が見当たらない。ヘイヤは姿こそあったものの、彼女は大木を背に座っており、眠ってしまったかのように動かない。
「……オートマタの子の方は、機能を停止してしまったみたいだ。もう一人の猫耳お姉さんも、僕達がここに来た時には、もういなかった。ねえ、栞の君。一体、何があったの……?」
……いつか、また話すよ。
ダムにそう伝えたあと、---はジャバウォックを封印した栞を懐にしまい、その場から立ち上がる。
「…………。あのさ、栞の君。どうか、僕のおかしな話を聞いてほしい。僕はさ、小さい頃から機械をいじるのが好きだったんだ。けど、あの竜の精神干渉を解くための技術は、僕自身が編み出したんじゃなくて、他の誰かから教えてもらったような気がするんだよ」
ダムは胸に手を添え、目を閉じながら続ける。
「不思議なことに、それが誰なのかは思い出せないんだ。でも、僕はその人のことが大好きで……他の住民達も、その人のことを心から慕っていた。上手く言えないけど、そんな気がするんだ。もし、君がその人に会うことがあったら……ありがとうって伝えてほしい」
どうやら、“彼”のことをぼんやりと覚えているのは、ダムだけではないようだ。他の住民達もまた、おぼろげではあるが、この世界のために戦い続けた者のことを、確かに記憶していた。
「君がどういう存在なのかはわからないけど……もう、ここを去るんだよね?なら、オートマタの子は僕にまかせてよ。顔も名前も思い出せない“あの人”から教えてもらった技術で、必ず再起動させてみせる。だから……また、ここに来てほしい」
……彼らがいれば、この世界はもう大丈夫だろう。---は動かなくなったヘイヤの頭を撫でたあと、ダム達に別れを告げ、一足先に森を抜けたのだった。
『にゃあ』
その先で、---は一匹の小さな白猫に出会った。白猫はゆっくりとこちらに近づいてくると、軽快な動きで跳躍し、---の肩に乗ってきた。そして、白猫はかいちょの頬にキスをした。
『にゃあ』
満足したのか、白猫は地面に降りると、森の彼方へと姿を消した。
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