幻島ネバーランド_プロローグ

 
最終更新日時:
story by 佐島但馬


169:幻島ネバーランド ~夜空を飛び越えて~

>>10月20日 15:00 - 11月7日 12:59<<

開始前

かつての宿敵が現れ
少女に頼みごとをする時
新たな冒険が始まる!

プロローグ


(プレイヤー名)は光に包まれ、ゆっくりと目を開く――
美しい星空。
そして、鉄橋や雰囲気のある時計塔。

――ここは一体?

そう思った瞬間、(プレイヤー名)は大事なことに気が付いた。

足場がないのだ。
どこまでも落ちていく――と目をつぶった瞬間。
ふわりと身体が宙に浮く。

――おや?

そっと目を開くと、目の前に少女と、鉤のついた手を持つ屈強な男が(プレイヤー名)を見つめている。

「おい、ウェンディ。いきなり落ちてきたやつに貴重な妖精の粉なんか使わなくても」
「駄目よ。落ちて死んじゃうじゃない!」

ウェンディと呼ばれた少女が傍らの男にぴしゃりと言った後、かいちょを見つめて微笑んだ。

「初めまして、私はウェンディ。隣にいるのはフック船長……。とっても信用できない人よ」
「そういう紹介の仕方があるか!」
「だってそうじゃない!そもそも敵同士だったんだから!」

それからウェンディフック船長と行動を共にしている理由を話した。
どうやらネバーランドという島がおかしなことになっているらしく、それを元に戻せるのは人間の女だけだという予言を受けて、フック船長は仕方なくウェンディを訪ねに来たのだという。

ピーター・パンが久しぶりに尋ねに来てくれたのかと思ったのよ。それなのに、まさかフック船長が窓の戸を叩くんだもの!」
「……着替えは覗いていない。これでも俺はそういうことはしない主義だ」

「聞いてないわよ、そんなこと!とにかく、ピーター・パンもおかしなことになっているみたいなの。フック船長の言うことなんて信用し難いけど……、この人も船を壊されて大変みたいだし」

ウェンディの言葉にフックが肩をすくめ、(プレイヤー名)を見据えて言った。

「いいか?お前が何者かはわからないが、俺たちはこれからネバーランドに行かなくちゃいけないんだ!ついてくるのは勝手だが足手まといになることだけはするなよ!妖精の粉はわずかしかないし、ネバーランドはこの空の向こうだ!」

その時、空の星が輝き、閃光と共に何者かが現れた。
(プレイヤー名)は現れた者たちに見覚えがあった。

彼らは空の彼方に向かって進んでいく。

「なんだ、あいつらは?敵か味方かはわからないが、俺たちも進むぞ!」

フックの言葉に頷き、(プレイヤー名)たちは空の彼方を目指すのだった。

>>無音の夜空を進む<<


さあ、空の向こうを目指しましょう!

とりあえず500km飛んでみましょうか!

急ぎましょう!
ネバーランドがどうなっているのか気になるわ!

上空を目指す

不穏の夜空


「ねえ、フック船長……、なんか変じゃない?」
「何がだ?」
「同じような景色の所を飛んでいない?」

フック船長は怪訝そうに周囲を見渡すと、確かにウェンディの言う通りだった。
長い時間飛んだはずなのに時計塔や橋も見え、先ほどと景色が変わらない。

しかも、出発した時にあったウェンディの家まで見えていた。

「何かおかしいな……。ループしているってことか?」

フック船長が腕を組んで考えていると、建物の屋上で声がした。

「やはり、私の推理は正しかったわね!セルヴィ先生、あそこにいたわ!」
「そこの男、ウェンディを返しなさい!彼女は私の大事な生徒なんです!」

探偵姿の少女と鎖を持った女性がフック船長たちを見つめていた。

「まずいわ……、家庭教師のセルヴィ先生と、友達のエリッシュよ。多分、フック船長が私を誘拐したと思われてる!」
「待て待て。誘拐じゃないだろ!おい、ウェンディ、説明しろ!」

慌てるフック船長の足にセルヴィの投げた鎖が絡みつく。

「なんで、家庭教師が鎖を投げるんだよ!海賊並みに乱暴じゃないか!」

「あれは先生の趣味よ……。いい?フック船長、絶対に先生に乱暴はしないでよ!」
「おい!鎖をひっかけてきたのはアイツだぞ!くそっ!」

フック船長が足に絡みついた鎖を振り払おうとしていると、再び空が輝いた。
先ほどとは違う英雄たちが現れ、フック船長の足に絡んだ鎖を斬ると、空の向こうへ飛んでいく。

「なんだ、あいつらは……?さっきの連中とは違う奴らだな。俺のことを助けてくれたのか?」
「わからないけど、急ぎましょう!」

ウェンディセルヴィたちに手を振ると、空の飛行を続けるのだった。

不穏の夜空を進む

未知の夜空


(プレイヤー名)たちは空を飛びながら、ずっと考えていた。
どうすればこのループする空を抜け出せるのかを。

その時、下の方で声が聞こえた。
見ると、リモコンのような機械を手にした男が何かを叫んでいた。

「駄目だ……。時空が、元に戻らない!」

男がリモコンを握ると、空中に亀裂のようなものが走るが、すぐに元の夜空に戻る。
男はそれを見て肩を落とす。

フック船長の言葉に男は、慌てた声で叫んだ。

「私はエランド。実験機器でタイムトラベルをしようとしたら、空間が歪んだんだ……。違う世界同士がくっつき、おかしなことになり始めた……」
「もしかして、ネバーランドに妙な連中がやってきたのはお前の仕業か?」

フック船長が怒鳴ると、エランドは怯えたような声を上げて言った。

「おそらく関連していると思う……」
「どうにかしろ! それから、今、空がループしているのもお前のせいか?」
「いや、それは私ではないが……」

その時、空が輝き、新たな英雄たちがウェンディたちの目の前を飛んでいく。

まるでついてこいと言っているかのようだった。

「まあいい……。ウェンディ、また別の奴らが現れたみたいだ!ひとまず、あいつらの後をつけるぞ!」

ウェンディは頷き、英雄たちが飛び去った方向に向かって飛び始めた。

未知の夜空を進む

輝星の夜空


(プレイヤー名)たちが英雄を追って空を飛んでいると突然、夜空に奇妙な女が現れた。
美しい容姿だが、まるで人形のような体をしている。
女は空中でゆらゆら揺れながら叫んだ。

「残念だけど、おしまい、おしまい♪ ネバーランドへは行かせない!」
「チッ……お前。ネバーランドからついてきた奴か……」

フック船長が睨みつけて言うと、女は冷たく微笑んだ。

「美味しいスイーツ召し上がれ♪ 全てを忘れて召し上がれ♪ パミィのスイーツ召し上がれ♪」

空中からスイーツが現れ、(プレイヤー名)たちの周りをくるくると回り、飛んでくる。
フック船長は剣でそれらを切り刻むと不敵に微笑んだ。

「悪いな……。俺は、俺以外の悪党って奴を許さないタチなんだ」

その時、閃光が輝いて新たな英雄が飛び出してきた。

「おい、ウェンディ!新しい連中だ。多分、あいつらの行く方向に進めば間違いない!俺はこいつを倒してから行く、お前は先へ進め!」

ウェンディは頷くと英雄たちが飛んで行った空へと向かうのだった。

輝星の夜空を進む

エピローグ


(プレイヤー名)たちが進むとこれまで会った英雄たちが空の上の方で待っていた。
英雄たちは上空に手をかざしている。
それぞれの掌からは光の粒が流れ出て、空中に漂いながら一点に収束する。その集った光の先にあるのは大きな穴だった――。

「わかったわ。あの人たちは、ネバーランドまでの穴を開けようとしてくれたのよ!」
「フン。よくわからん奴らだが、助かったぜ」

フック船長が悪態をつきながら言った。

「でも、異世界の連中がネバーランドで何をしようっていうの?」
「知るかよ……。こっちが聞きたいくらいだ」
「ねえ……、ピーター・パンはどうなってるの?」

ウェンディの言葉にフック船長はゆっくりと首を振る。

「さあな……。だが、ピーターの奴がいたとしても、どうにもならんだろう。こいつはネバーランド全体の問題だ」

フック船長の言葉にウェンディはため息をつき、かいちょに言った。

「それじゃ、行くわよ、(プレイヤー名)。ネバーランドに一体何が起こっているのか、この目で確かめなきゃ」

ウェンディは唇をキュッと引き結ぶと、勢いよく英雄たちが創りだした穴に飛び込むのだった。

幻島ネバーランド ~夜空を飛び越えて~完

夜空の穴の先に
待ち受けていたのは?

story by 佐島但馬

170:幻島ネバーランド ~月光の向こう側~

>>11/8 15:00 - 11/9 22:59<<

開始前

辿り着いた
時空の裂け目
ウェンディが見たものは?

  魔法使いを倒そう  

プロローグ


(プレイヤー名)たちが穴に飛び込んだ瞬間、世界は暗転する。 そこは上下左右も定からぬ空間だった。

「おい、俺から離れるなよ?ウェンディ!」

フック船長がぐっと手を掴む。

「ちょっ!……アンタはピーター・パンの宿敵だったはずで。私は……」
「おい、小娘。何を言っているんだ? お前が妙な場所にでも飛ばされたら迷惑だから言ってるんだよ」

勘違いをした自分が恥ずかしくなり、ウェンディは頬が熱くなるのを感じた。
ちょうどその時、背後から声が聞こえる。

「来たわね……。フック船長。そして人の子、ウェンディ

時計のような杖を持った女がウェンディたちの方を見据えて言った。

「ネバーランドをおかしくしやがったヤツの仲間か」

フック船長の言葉に女は余裕の微笑を浮かべて名乗り始めた。

「私はセリカス。時の魔女……。これより先に進むなら、あなたたちの時の流れを乱してあげましょう」
「オイオイ、海賊相手に乱すも何もないもんだ。"荒らす"、"乱す"は俺の真骨頂。よそから来たお前に悪党気取りされるわけにはいかないんだよ」

フック船長の言葉にセリカスは肩をすくめて杖をかかげる。

「生意気なフック船長は赤ちゃんに……。そして、ウェンディ、あなたはお婆ちゃんにしてあげましょう。大事な人が見た時にショックを受けるように。あなたが大好きなピーター・パンにその姿を見てもらいましょうよ」

「ちょっと、だ、だ、大好きってそんなこと誰が!誰も言ってないでしょ?そりゃ、えーと、ピーター・パンは優しいし、いい人だけど……」

真っ赤になって動揺するウェンディフック船長が言った。

「おい、落ち着けバカ娘……。大事なのはそこじゃない。あの女の魔法を食らえば、老化するってことだ。」

「……わかってるわよ。とにかく、あの妙な杖を壊せばなんとかなるんじゃない?」
「奇遇だな……。俺もそう思ったところだ。ひとまず、俺がやつと戦う。お前はその隙に杖を奪え!」

フック船長はそう叫ぶと、呪文を詠唱しているセリカスに向かって剣を掲げ、突き進むのだった。

>>杖を奪う<<


ネバーランドに行くためには戦いは避けられないみたい!

さあ!覚悟を決めましょう!
杖を奪う!!

エピローグ


(プレイヤー名)たちの力でウェンディセリカスの杖を奪い、魔法を破ることに成功した。
ウェンディはホッと一息をつき、フック船長を見つめて言った。

フック船長……。これでネバーランドは元に戻るの?」
「いや……。あいつはネバーランドをおかしくしちまった連中の一人だ。俺がネバーランドで見たヤツとは違う……」

「そう……。でも、これで一つ分かったことがあるわ。私たちが問題視されてるってことは……、逆に言えば、その首謀者を倒せる何かがあるってことでしょ?」

ウェンディの言葉にフック船長は肩をすくめた。

「おい、小娘。お前、どこまで前向きなんだよ。まるでピーターの奴みたいな甘い戯言を……」

「前向きな気持ちが状況を打開するってことはね、ピーター・パンに教わったことだもん」
「……まあ、変わり果てたネバーランドを見ても、同じことが言えるといいがな」

フック船長は呆れ声で呟くのだった。

幻島ネバーランド ~月光の向こう側~完

少女の瞳に映るのは
混沌のネバーランド!

story by 佐島但馬

171:幻島ネバーランド ~変わり果てた夢~

>>11/10 15:00 - 12/1 22:59<<

story by 佐島但馬

開始前

かつての面影なき
ネバーランド!

少女は奇跡を起こせるか?

プロローグ


(プレイヤー名)たちが穴をくぐり、ネバーランドにつくと、フック船長はちらりとウェンディを見て言った。

「このネバーランドがおかしくなった原因を探る前にやることがある」
「やること?」

ウェンディが首をかしげるとフック船長が肩をすくめながら言った。

「そうだ。ウェンディ、ひとまず……、今のままじゃお前は足手まといだ……。遅かれ早かれ無駄死にする。俺はピーターの奴みたいに面倒見よくないしな。だから、この俺様が直々に稽古をつけてやる」

「稽古?」
「海賊流の剣だがな……。そのドレスから、動きやすい服に着替えろ。あの洞窟に着替えの入った箱がある……」

フック船長が指を指した方向には、大きな洞窟があり、樽や木箱が置かれていた。
どうやら海賊たちの一時的な荷物置き場のようだった。

ウェンディは早速着替えて、フック船長に剣の使い方を習っていると声が聞こえた。
短剣を持った女海賊と、弓を持った少女が争う声が聞こえる。

「お前たちが来てからここはおかしくなったんだ……。何を企んでいるか話せ!」

女海賊が短剣を構えて睨むと、弓の少女が肩をすくめる。

「この世界から出ていきたいのだが、方法を知らん。それに私はここを荒らすつもりはない」
「見たぞ、お前たちがこのネバーランドの妖精を捕獲しようとしているのを!」

その言葉を聞いたフック船長は岩陰から二人の前に躍り出た。
&color(#0e6adb){
「おい。待て待て……。お前、海賊だな? ウチの船員か? 詳しく話を聞かせろ……」}

だが、短剣を持った女海賊は突如現れたフック船長を睨みつけて叫んだ。

「アンタはフック船長!……ボクたちを置いて逃げたくせに!ノコノコと!」

「ま、待て……。お前は確か……。えーと、甲板掃除をしていた。まずいな、名前が出てこない」
ピアースだよ!」

二人が話していると、弓を持つ者が逃げようとする。

「今は仲間内で争っている場合じゃないだろう。アイツが手掛かりなら捕まえるぞ!」

フックの言葉にピアースが怪訝な顔で睨み、手に持った短剣をフック船長の方に向ける。

「アンタは信用できない……。なぜ、ボクたちを置いて逃げた?その子はウェンディだよね?……なぜ、部下のボクたちではなく違う世界に住んでいるウェンディと行動を共にしてるんだ?」

「あのな……。置いて逃げたわけじゃない!ティンカー・ベルの予言通りにウェンディを連れてきただけだ!」

二人が言い争っていると、逃げようとしていたエルフが不意に振り向いて(プレイヤー名)たちに弓を向ける。

「ここならちょうど、弓の射程距離だ。争ってくれて好都合だ。二人まとめて倒す……!」
「クソッ……。おい、ウェンディ!手分けして、こいつらを黙らせるぞ!」

突然、フック船長に命令されたウェンディは目をぱちくりとさせて叫んだ。

「ちょっ、いきなり実践?」
「実践が一番勉強になるんだ!」

フック船長の言葉に仕方なくウェンディは頷き、慣れない手つきで短剣を抜くのだった。

>>海賊剣術を試す<<


強い敵を倒せば多くの【ネバーランドメダル】が貰えるの!
敵の情報は、他のプレイヤー達が「イベント掲示板」に書き込みしてくれるらしいから参考にさせてもらいましょ!

イベント掲示板をみる


クエストを積み重ねれば……
ネバーランドに奇跡が起きるかも。

幻島を救う!

歌唱魂揺バトル


(プレイヤー名)の力を借りて、ウェンディはなんとかピアースたちの猛攻を防ぎ切り誤解を解いた。

「ふーん、フック船長はボクたちを見捨てて逃げたわけじゃないんだね……」
「逃げたなら、わざわざ戻ってこないだろうが!」

「それにしても、ウェンディ。キミってば、船長からわざわざ剣術を指南されるなんてね……。ボクでさえ、されたことないのに!」

ピアースがいまいましそうにウェンディを見つめると、フック船長が肩をすくめて言った。

「お前にも今度つけてやる、つけてやる……。それよりも、パジルとか言ったな……。お前はここに何しに来たんだ?」

フックパジルを見つめて言うと、パジルはため息をついて言った。

「私は望んでいない……。むしろ、ここに連れてこられたんだ。我が国では魔力が枯渇してきた……。だからこそ、王は元々、世界同士を繋いでいる壁を壊し、魔法的資源が豊富にある世界を狙っていたのだ」

「魔法的資源?」

フック船長の問いにパジルが頷く。

「例えば、〝妖精の粉"がそれだよ……。いい材料になる。だが、そんな略奪などしなくても本来は暮らしていけるはずなんだけどね」
「じゃあ、ティンクも……」

ウェンディティンカー・ベルのことを思い出して、急に不安になった。
すると、フック船長は言った。

「待て……。ティンカー・ベルがどうなっているのかもまだわからん。下手に今、魔女に戦いを挑んでもこの戦力じゃ間違いなく負けるぞ」

ウェンディは腕を組んで、かつての旧友を思い出した。
ネバーランドに住み、ロストボーイたちと共にフック船長と戦った勇敢な少女を。

タイガーリリーに会いに行きましょう。彼女を仲間に引き入れれば心強いわ」

仇敵の名前に渋るフック船長だったが、結局会いに行くことにした。

(プレイヤー名)たちが向かったのは勇敢なるピカリーニ族たちが住む村。
カラフルなテントに懐かしい記憶が蘇るウェンディだったが、突然、背後から聞こえる轟音に驚いた。

「……ウララァ♪ ロックじゃない奴らが来たみたいだね!」

ウェンディがその声に背後を見ると、懐かしい旧友が昔とは違う様相で立っていた。

タイガーリリー!覚えてない?私、ウェンディよ!」

ウェンディが懐かしい声を上げて抱き付こうとするが、タイガーリリーウェンディを蹴り飛ばした。

「知らないなァ!語るなら言葉じゃなく、楽器で語るんだね!」
「どうしちゃったのよ!タイガ―リリー!」

しかし、フック船長は首を横に振った。

「魔法のせいだ。こいつもおかしくなっちまったんだろう……。多分、お前と逢った時の記憶はなくしている」
「じゃあ、どうすれば……」

その時、(プレイヤー名)たちの周囲に人が集まり、手拍子を鳴らし始めた。

ウェンディ。お前……、歌、得意か?歌って奴でこいつに衝撃を与えれば、魔法はとけるかもしれない」

驚いているウェンディタイガーリリーは挑むような顔でマイクを渡すのだった。

魂を込めて歌う

悪天静止バトル


ウェンディたちはタイガーリリーを元に戻すことに成功した。

「ウララァ……すまなかった、ウェンディ……。太陽の神に誓って、謝る」
「いいのよ……。それよりも力を貸してちょうだい。ネバーランドを元に戻したいの」

ウェンディたちが話していると、周囲の樹々が突然、動き出して取り囲んだ。

「なんでいきなり樹が動き出したの?」
「向こうの空を見てみろ……」

タイガーリリーの話す方向を見ると、黒い雲がもうもうと空に集まり、紫色の雨を降らせていた。
雨を浴びた樹々は、ゆっくりと幹を揺さぶり、巨人のように動き出して暴れ回っている。

しかし、一人だけ濡れずに悠然と空中に浮かんでいる女がいた。

「あいつを止めなきゃ、ネバーランド中の樹々が兵隊にされるぞ」

「さあ、狂雨のち暴動!ネバーランドの皆さんは不屈の心で休日をお過ごしください~!」

女は手の形をした棒を持ち、暴れ狂う樹々を見て笑っている。
ウェンディは近づくと、女に向かって叫んだ。

「変な雨を降らせてるのはあなたの仕業ね!」
「ちょっとー、今、番組中よ?お天気魔女ジェノの痛快ウェザーリポートの……。番組の邪魔は重罪よ?」

「……そんな雨を降らせている方がよほど重罪よ!」

ウェンディの言葉にジェノは不敵に微笑むと言った。

「仕方ないわね……。あなたのために特別なお天気予報してあげるわ。おそらく、風が強くなり、間もなく矢が降るでしょう」

その言葉と共に黒い雲から無数の矢が降ってきた。
フック船長が矢を剣ではじきながらウェンディに向かって叫んだ。

「あいつのクソッタレの予報は現実になるみたいだな……。なんとかしてあいつの口をふさぐんだ、ウェンディ!」

ウェンディは頷くと、策を考えるのだった。

予報を止める

妖精救出バトル


(プレイヤー名)たちとの連携でウェンディジェノを倒した。

「さあ、次はティンカー・ベルを探しましょう」

ウェンディフック船長の案内で妖精たちが住む森に向かった。

「最後に見かけたのがここだった……。まだいればいいんだが。おや?あれは、ティンカー・ベルか?」

何者かから逃げるように空中を飛び回る妖精の姿があった。

「助けてー、ウェンディ!下を見て!」

地上では奇妙な銃を構えて、逃げ回るティンカー・ベルを狙っている者がいる。
どうやらエルフ族のようだ。

「さあ、このリコナが捕まえてあげるよ……」

リコナの銃口から飛び出した弾は空中で大きく広がって網のようになり、ティンカー・ベルを包み込む。
小さな悲鳴があがり、ティンカー・ベルを封じた網は地上に落ちる。
満足そうにリコナがそれをキャッチした。

「妖精の粉を手に入れたら、ペットにして飼ってあげよう……」

リコナは目を細めて気絶しているティンカー・ベルを見つめて言った。

「ちょっと!ティンカー・ベルに何してるのよ!」

ウェンディは決然とした調子でリコナに言い放つ。

「……なーるほど。これがあの方が言っていた邪魔者か。ついでにアンタたちも捕獲してペットにしようかな」

リコナは冷やかに微笑むとウェンディに向けて銃を構えた。

「待っててね。ティンカー・ベル!絶対に助けてあげる!」

ウェンディは捕まっているティンカ・ーベルに呼びかけるように呟くと、剣を構えるのだった。

仲間を助け出す

海戦人魚バトル


(プレイヤー名)たちはティンカー・ベルを救い出した。

「ありがとう、ウェンディ。おかげで助かったわ」

目覚めたティンカー・ベルは、息も絶え絶えに呟いた。

「時間がないの。ウェンディ……。この国をおかしくした魔女を倒すには、海を渡らなければならないわ」
「……飛んでいくことはできないの?」

「魔女が住む城の上空には、邪悪な風が舞っているから無理ね。それに、もうフェアリーパウダーもわずかしかないの……。最後の戦いまで持っていた方がいいわ」

ウェンディは頷き、フックたちと共に丸太船を創り、乗り込んだ。

「ねえ、フック船長。海賊船はどうしたの?」
「……奪われたんだよ、憎き人魚たちにな……」

まさか人魚まで――。

ウェンディは言葉を失った。

「人魚たちは平和を愛する友好的な連中だったはずだ。
だが――、魔法ですっかり攻撃的な性格になってしまったようだった」


ウェンディたちが話していると、海面が渦巻き、巨大な船が現れる。

「チッ、早速現れやがったぞ、ウェンディ……」

フック船長は苦々しい顔をして呟く。
船長らしき人魚がフック船長を見据えて微笑む。

「……人魚がどうだ、とか話し声が聞こえたけど。誰かと思えば、フックじゃないか! へっへー、逃げ帰ったのかと思ったよ!」
ヴェルス……。とっとと船を返せ!」

フックの言葉にヴェルスの傍らの男の人魚が、怪訝な表情で呟いた。

ヴェルス様に向かって……、返せとは生意気な。ヴェルス様……、処刑してきますので、後程褒めていただいてもよろしいでしょうか?」
「いいよ。ゼーグル。この海域に戻ってきたおバカさんは、私がお仕置きしよう」

「おおおおお。ヴェルス様……。ヴェルス様の雄姿が見られるなんて……このゼーグル、感激です……」
「ねえ、ゼーグル。うっとおしいから黙って。エキーヌス!さあ、奴らの船を転覆させるよ?」

ヴェルスの言葉に、エキーヌスと呼ばれた人魚は静かに頷いた。

「かしこまりましたわ、船長。まずは船を破壊……、その後は溺れた連中を海中に引きずり込みますの」

波しぶきと共に、突然、海賊船が丸太船に突っ込んできた。
フック船長はウェンディに叫んだ。

「いいか、ウェンディ……。なんとかして奴らを倒し、海賊船を取り戻すぞ……」

フック船長の言葉にウェンディは覚悟を決めたようにうなずくのだった。

海賊船を取り戻す

山賊力示バトル


(プレイヤー名)の力でフック船長は人魚たちを正気に戻し、海賊船を取り戻した。

船に乗り込んだウェンディはほっとした顔でフック船長に言った。

フック船長、良かったじゃない。自分の船を返してもらって」

ウェンディの言葉にフック船長は不機嫌な顔で吐き捨てるように言った。

「フン……当たり前だ!全くあの人魚どもめ!」

帆は風をはらみ、(プレイヤー名)たちは目的地へ向かって海路を進んでいく。
そしてフック船長たちが島へ辿り着いた時だった。

「くくっ、誰かと思えば、見た顔だな……」

不意に背後から声をかけられた。
後ろを振り向くと、毛皮を着た屈強そうな男が立っていた。

その男にはウェンディも見覚えがあった。
フック海賊団で副船長をやっていたスミーだった。
フック船長は怪訝そうな顔で、スミーを睨んで言った。

スミー……。なんだ、その格好は? ここで何をしている?」
「おいおい、呼び捨てはないだろう……。もはや、お前に顎で使われる立場じゃない」
「貴様も海賊だろう?」

その時、背後の茂みの影から声があがる。
それはかつてのフック船長の部下たちだった。

「お頭に向かって貴様はないだろう?」
「そうだそうだ、俺たちを見捨てた弱虫船長が!」

かつての部下たちも、スミーと同じように毛皮を着て叫びながらフック船長たちを取り囲む。

「海賊じゃない。俺は山賊だ。スミー山賊団、頭領のな!……貴様の元にいたら永遠のナンバー2。だが、世界は変わったのだ!さて、フック……。お前を倒して俺の実力を見せてやる。この錨でお前を潰して、海に沈めてやる」

「気弱だったお前がそんな目をするようになったとはな……。魔法ってのもたいしたもんだ。所詮はお前は俺に勝てないってことを教えてやろう!」

ウェンディが見守る中、フック船長はきらりと剣を抜き、かつての部下に立ち向かうのだった。

力量差を見せる

旧友豹変バトル


フック船長は(プレイヤー名)の力を借りて、スミーたちを正気に戻した。

魔法が解けたスミーは元の気弱な副船長に戻っていた。
フック船長はスミーたちに船を守らせ、ウェンディと共にドクロの形をした不吉な山へと進む。

ウェンディ……、注意して。この先に強い魔力を感じるわ」

ティンカー・ベルの言葉にウェンディは頷いた。

「わかってる……。でも進むしか方法はないの」
「その通りだ……。邪悪な魔法使いを倒さない限り、混乱は終わらない」

フック船長とウェンディは覚悟を決めて山道を進んだ。
不意に背後から、チッチッチッという音が聞こえてきた。

「おい、ウェンディ。……時計の音が、聞こえないか?」

フック船長の顔色が悪い。
ウェンディは背後を見ると、船長帽をかぶったワニが立っている。

「見ツケタゾ……、オレノ獲物……」
「クソッタレなワニめ。人間みたいな服着やがって……」

フック船長が驚いていると上空から声がした。

「なんだ、チクタクワニ。……君が先に見つけちゃったのか?」

ウェンディは驚いた。
懐かしいその声は確かに――聞き覚えがあったのだ。
かつて自分をネバーランドに導いてくれた、あの少年――。
探し求めていたピーター・パンの声だったのだ。

ピーター・パン!探したのよ!」

ウェンディの叫び声に少年は嬉しそうに顔を輝かせて言った。

「ようやく会えたね、ウェンディ

冷やかな声で少年は呟くと、不愉快そうに眉を上げて言葉を続けた。

「くだらない夢と希望なんてものに決別するために、君を倒さなきゃ。さあ、チクタクワニ。彼らに悪夢を贈ろう!」
「ちょっと……、ピーター・パン!」

ピーター・パンの言葉にチクタクワニも大きく体を伸ばして、鋭い牙を光らせる。

――ショックを受けている場合じゃないわ。元に戻さなきゃ。

ウェンディは剣をぎゅっと握りしめると、かつて自分に希望のすばらしさを教えてくれた恩人に近づいて叫んだ。

「あなたに教えてもらった優しさと勇気の力で、あなたを元に戻してみせる!」

記憶を蘇らせる

幻島救世バトル


(プレイヤー名)たちの力を借りて、ピーター・パンは清き心に戻った。

「わざわざ、僕を助けに来てくれたのか。ありがとう、ウェンディ
フック船長が協力してくれたおかげよ」

「……フック、まさか君がネバーランドを救うために動いてくれたとは!」

宿敵の言葉にフック船長は顔を背けて言った。

「ネバーランドの悪役はこの俺様だけだ。見知らぬ奴にどうこうされるのは気に食わない、それだけだ。勘違いするな……、お前の仲間ではない」

「素直じゃないわね……」

ウェンディが呆れ声で言った瞬間だった。
突然、島が揺れ出し、洞窟の中から紫色の光が漏れ出した。
そして光は収束し、人の形になるとウェンディたちの前に姿を現した。

「なるほど。かつての善と悪が手を組む。実に面白い……。宿敵同士だった者が手を組めば何かができるかもしれない。お前たちは今、希望を持っているな……。劣勢を覆せるかもしれないと」

現れた邪悪な女を見据えてウェンディは叫んだ。

「あなたが、魔法使いの親玉ね……」

「そう。私はフェルティール。異界の魔女だ。いやあ、素晴らしいものだな、ネバーランド。……勇気や希望が、魔力を生み出すとは。お前たちが最後に希望を持ったおかげで、再び魔力が溢れ始めた」

フェルティールは目を閉じながら、大きく息を吸って言葉を続けた。

「……私の持つ力はお前たちとは真逆なのだ。膨れ上がった希望を潰せば潰すほど、魔力は溜まるのだ。……その魔力は我が国に必要なもの。他人の絶望こそが、我らの幸福なのだ。すまないが、蹂躙させてもらう」

「すまない?……すまないことないさ。フェルティール!……俺たちを簡単に潰せるって思う奴の面子が潰されるんだからな!」

フック船長の言葉にフェルティールは小さく眉を上げる。

「希望を持てといったが、いささか、調子に乗りすぎだな……。さて、終わらせるか、ネバーランド!」

フェルティールが持つ杖が漆黒の闇に包まれていく。
ウェンディは目をつぶり、剣に祈りを込める。

――希望は負けない……。ネバーランドは絶対に守ってみせる!

ウェンディの祈りに呼応するように、剣は強く輝くのだった。
希望の力を示す

エピローグ


(プレイヤー名)の力を借りて、ウェンディたちはフェルティールの絶望の力を跳ね返すことに成功した。

「私の力が……。希望に負けるだと……。ありえん」

フェルティールは残響と共に姿を消した。
その瞬間、ネバーランドが虹色の光に包まれていく。
荒れていたはずの海は、美しさを取り戻し、鳥たちは平和を祝う声で歌い始めた。

「よかった……。元に戻ったんだわ」

ウェンディは嬉しそうに微笑むと、(プレイヤー名)の傍にやってきた。

(プレイヤー名)、あなたのおかげでネバーランドを元に戻すことができたわ……。敵だったはずのフック船長との旅は不安だったけど」

ウェンディの傍らでフック船長が、苦々しい顔で呟いた。

「おい、小娘。お前のようなひ弱な奴に、この俺様が頼みに行ったんだぞ?……こっちの方が不安だぞ、全く」
「でも、最後は私、強かったでしょ?」

得意げなウェンディフック船長は肩をすくめて言った。

「俺から言わせりゃ、まだまだだけどな」

「うるさいわね……。とにかく、(プレイヤー名)、これで私も安心して元の世界に帰れるわ……。もし、また、ネバーランドが危機に陥ったら、私と共にまた来てくれる?」

すっかり逞しくなった少女の元気な声に、(プレイヤー名)も大きく頷いたのだった。

幻島ネバーランド ~変わり果てた夢~完

story by 佐島但馬

アイテム一覧


【ネバーランドメダル】
真実究明ブーツ
名探偵のブーツ。履けば真実の力を発揮して一定時間数倍の距離を飛行できる
時空転移リモコン
強大な電磁波を出して時空転移するリモコン。スイッチを押すと一気に飛行距離を得ることが出来る
探の望遠鏡
宝探の望遠鏡の欠片を17個集めると宝探の望遠鏡と交換できます
海賊が宝探しをするための望遠鏡。元々はフック海賊団の副船長、スミーの持ち物だったが、彼のお喋りなペットに与えられたもの。かかげれば喜んで飛んでくるに違いない。
宝探の望遠鏡の欠片
海賊が宝探しをするために使う望遠鏡の欠片。欠片なので望遠鏡として使うことはできないが、持ち主の熱い野望を感じ取るときらりと輝く。

フラッター・ランス(攻撃力:400以上)
見かけは重そうだが持ち主の精神に感応して、軽くなる魔法がかけられた槍。鋭い槍さばきは敵の攻撃を圧倒する。
フェアリーパウダー(攻撃力:350以上)
妖精の粉。身体に撒けば一定時間、空を飛ぶことも可能。敵にふりかければ、突然の浮遊に動揺するだろう。
シルフ・ボウ(攻撃力:350以上)
森の妖精の力が封じられた弓。矢に風の力を与えることで、強力な貫通力を生み出す。
【期間】
11月10日 15:00~12月1日 22:59

戦闘概要


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