千夜一夜物語_プロローグ
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story by 間宮桔梗
205:千夜一夜物語 試練の夜語
開始前
財宝とは!?
イベント期間中3つの試練に別れて、試練を導くキャラ達が登場します
各道の名称と期間は以下の通りとなります
各道の名称と期間は以下の通りとなります
名称 | 期間 |
---|---|
10/26 15:00~10/30 12:59 | |
10/30 13:00~11/2 12:59 | |
11/2 13:00~11/6 12:59 |
プロローグ
眩い光に包まれ、***はゆっくり目を開ける……。
「うおっ。な、なんだお前?あの盗賊の仲間……ってワケじゃあなさそうだな」
……どうやら、ここは遺跡の中のようだ。
周囲を見渡していると、一人の少年が***を視界に入れる。
「ってことは、お前も遺跡の財宝目当てか?そりゃ参ったな。ここの財宝は、遺跡の場所を教えてくれたオッサンと二人で山分けする予定なんだ。つまり、お前とオレは敵同士ってことになる……な」
短剣の柄に手をかける少年。その構えは、明らかに素人のものではなかった……。
「……なーんて、啖呵を切っておいて情けねぇんだけどさ。この遺跡、ヤバそうな仕掛けがたくさんあるんだ。侵入者を試す試練みたいなもんらしくて、ちょうど協力者が欲しいって思ってたところでよ」
柄から手を離すと、少年は屈託のない笑顔で***に手を差し出す。
「つーわけで、一緒に遺跡を攻略しないか?無事に財宝をゲットして脱出できたら、ダルナフのオッサンに相談して三人で山分けするよう頼んでみるからさ!」
言葉はどこか荒々しいが、***は彼の瞳から純粋な何かを感じた。もしかしたら、彼はこの世界の運命を握っているのかもしれない……。そう思い、***は、ひとまず少年と行動を共にすることにした。
「おっしゃあ!ありがとな!っと、自己紹介が遅れたな。オレはアリババ。そうだな、王国の貧民街出身の……若き革命家とでも言っておこうかな。んで、お前は……***って言うのか。んじゃよろしく頼むぜ、***!」
互いに握手を交わした、瞬間……背後から男の高笑いが響き渡る。
「クハハハ!見つけたぜぇ兄ちゃん。悪いが、ここの財宝はこのラムジー様が頂く!邪魔するってんなら、その首と胴体を永遠にグッバイさせちまうぞ!」
そう言うと、男は構えた曲剣の刃に舌を這わせた。
「げっ、厄介なのに追いつかれちまった。アイツ、財宝目当ての盗賊らしくてさ。さっきから執拗に襲ってくるんだよ。いやほんと、オレってモテるよなぁ」
言葉とは裏腹に、アリババは疲れた顔で大きなため息を吐く。
「ああいう手合いは何回相手にしてもネチネチ絡んでくるだろうし、なにより今は遺跡攻略に集中したいからな。テキトーにあしらいながら進もうぜ!」
アリババと***が一歩踏み出した時。突然、目の前に光の塊が出現する。やがて、その光はかつて***と共に冒険をした者達に姿を変えると、遺跡の奥へと走り出していった。
「おおっ、今のも遺跡の仕掛けか?けどアイツら、悪い気配はしなかったし……もしかしたら、アイツらについていけば財宝のある場所まで辿り着けるかもしれないな!うし、オレ達も続くぞ!」
先駆者を追い、走り出すアリババ。***も置いていかれないよう、すぐに彼の背中を追いかけるのだった。
「……にしても。この道、どこまで続いてるんだろうな?いくら走っても、先が全然見えねぇけど」
もしかしたら、すでに試練は始まっているのかもしれない。アリババと***がそんなことを考えていた頃……。
「――侵入者を複数確認。現在、体力の試練に挑戦中の模様……と、誰のためでもなく経過報告をしてみル」
……遺跡の深部にて、何者かが動き出していた。
>>遺跡を探索する<<
一攫千金は目の前だ!もちろん報酬は山分けだからな!
まずは500kmぐらい進んでみるか。日頃からは足腰は鍛えてるし、まぁなんとかなるだろ!
まずは500kmぐらい進んでみるか。日頃からは足腰は鍛えてるし、まぁなんとかなるだろ!
遺跡を探索する
知力の試練
無限に続くかに思われた一本道をなんとか走り抜け、***とアリババは広間に出た。
「――侵入者確認。主の命に従い、財宝を手にするに相応しい者かどうかを見定める……と、ハフィズは台本通りのセリフを言ってみル」
その中央で、二人は一人の少女を見つける。
「ん?この子……自動人形(オートマタ)ってやつか?」
自動人形。聞き慣れない単語を口にしたアリババに、***は詳細を尋ねる。
「古文書で読んだことがあるんだ。千年前に栄えたアルーザ文明では、超常的な技術が当たり前のように使われてたって。んで、自動人形っていう意志を持って動く人形が大量に作られてたんだとか。壁に刻まれてる文字も古代アルーザ語だし……。もしかしたら、この子がその自動人形なのかもな」
「――肯定。対象を相応の知力の持ち主と判断し、知力の試練を開始……と、懇切丁寧に解説してみル」
「知力の試練?よくわかんねぇけど……それをクリアすれば奥に進ませてくれるのか?」
機械的に首を縦に振ると、ハフィズと名乗った自動人形は奥の扉を指差す。
「――肯定。今から出題する謎を解けば、あの扉が開放されル。ただし、不正解だった場合、或いはワタシに危害を加えた場合は……」
「クハハハ!なんだ、まだ他に仲間がいたのかァ。だが、ラムジー様はガキ相手にも手加減しねぇぞ!うらァ!!」
なぜか天井から降ってきたラムジー。彼はそのまま勢いにまかせ、ハフィズの頭部を縦に斬りつける。が、しかし……
「……あァ?な、なんだこのガキ。めちゃくちゃ石頭……っ、う、うおあああああああア――あ――――ァ―――――――」
「――こうなル」
「お、おう。了解……。それで、問題っていうのは?」
「――制限時間1分。出題開始。『言葉にすると消えてしまう言葉。その言霊を、身をもって示してみせよ』」
出題された問題に、***とアリババは思考を巡らせる…………数十秒が経過し、かいちょはアリババに意見を聞こうとした。が、アリババは人差し指を口元に添えると、ニヤリと微笑んだ。
そして、そのまま一言も発することなく、制限時間の一分が過ぎてしまい……
「――正解。扉を開放。先へ進むことを許可……と、称賛の言葉を送ってみル」
***とアリババは、無事に知力の試練を突破することができた。どういうことだったのか、***はアリババに尋ねる。
「簡単なことさ。言葉にすると消えてしまう言葉ってのは“沈黙”って名詞だ。沈黙って名詞は、口にした瞬間に言霊……すなわち言葉の意味を失う。その言霊を身をもって示せってことは……要するに、一分間ずっと黙ってろってことだ」
どうやら、アリババという少年は知力にも秀でているようだ。***が感心していると、優しい輝きと共に新たな英雄たちが姿を現し、扉の向こうへと走って行った。
「お、また不思議なヤツらが来たな。んじゃ、オレ達もさっそく次の部屋に……って、なんでついてくるんだよお前?知力の試練とやらは終わったはずだろ?」
「――否定。今の問題はほんの一部。この先にも知力を試す試練が存在……と、この程度の問題を解いたぐらいで満足している貴方に真実を告げてみル」
「んなっ……。そ、それを先に言ってくれよ」
「――そして、ここまで辿り着いた者を最後まで見定めるのもワタシの任務……と、暇つぶしという行為に理由をつけてみル」
「暇つぶしなのかよっ!ったく……。まぁ、別にいいけどさ。つっても、背後からいきなり攻撃したりするのはナシだかんな?」
「――肯定。亡き主の名誉にかけて、決して貴方に攻撃を行わないことを宣言……と、正直に言ってみル」
……勝手についてきた自動人形ハフィズを仲間に加え、***とアリババはさらに遺跡の奥へと進むのだった。
知力の試練に挑む
心力の試練
知力の試練を突破したアリババと***。しかし……。
「……!?な、なんだ。急に真っ暗に……。おい、***!ハフィズ!どこだ!?」
『栄光への覇道に足を踏み入れし者よ』
突然、真っ暗な空間に放り出されたアリババは、荘厳な雰囲気を帯びた重々しい声を聴く。
「痛っ……な、なんだこの声。耳、からじゃない……頭に、直接響いてきやがる……?」
『地獄への道は、善意と言う名の煉瓦によって敷き詰められているという。その道を前にして、汝は何者にならんとする?偽りなく答えよ』
……声が響くたびに、内側からじわじわと蝕んでくるような、鈍い頭痛に襲われる。
「……っ、なに言ってんのか、よくわからないけどよ。オレはただ、カネが欲しいだけだ。この遺跡の財宝を手に入れて、売りさばいて、大金を手に入れる。そのために命を賭けてここまで来たんだ」
やがて、痛みは全身へと広がっていく。その痛みは、確実に彼を死へといざなっていた。
「知ってっか?カネで買えないものってのはこの世に一つもないんだぜ。水もパンも、服も宝石も地位も名誉も……人間の命だって全部カネで手に入る。そう、この世界はカネが全てなんだよ……。そんな世界が、オレは大嫌いだ……!」
アリババは痛みをこらえながら、自らの心の内を声の主にさらけ出す。
「カネ持ちは自分達に都合の良いルールを作って、平民からカネを搾取する。そして、搾取されるカネすら持たないヤツらは貧民として路地裏に追いやられ、人間扱いされずに野垂れ死んでいく。オレの仲間だって……皆、いいヤツらだったのに」
痛みと恐怖を糧に、アリババは力強く叫ぶ。
「だからオレは決めた!カネを手に入れて貴族になって、王国のルールを変えて……強者が弱者を貪る、この腐った世界を変えてやるってな!」
すると……ゆっくりではあるが、全身を支配していた痛みが和らいできた。
「地獄への道なんて、貧民街で生まれた時からずっと歩いてる。だからって、オレはこのまま地獄に進むつもりはないし、煉瓦を敷き詰める側にもならない。オレは……」
――オレは、煉瓦を壊す者だ。
そう口にした瞬間。輝きと共に現れた英雄達が、アリババを暗闇の外へと導く。そして、英雄達は遺跡の奥へと姿を消した……。
「……!***、大丈夫だったか!?」
元の部屋に戻ったアリババは、すぐに***の元へ向かう。
「その様子だと、お前も同じ“声”を聴いたみたいだな。でも、二人揃って無事ってことは、声の主に認められたってこと……なのか?」
「――肯定。ただし、心を試す“心力の試練”はこの先もまだ続く」
いつのまにか後ろにいたハフィズが、アリババの問いに答える。
「――心力の試練を突破すれば、宝物庫はすぐそこ……と、ハフィズは偽りなく答えてみル」
「宝物庫……ってことは、そこに財宝が眠ってるんだな!?おっしゃ、なら早く進もうぜ!オレとかいちょの心が、財宝を手に入れるに相応しいってことを証明してやらぁ!」
こうして、***とアリババは最後の試練に挑むのだった。
心力の試練に挑む
エピローグ
心力の試練を突破し、ついに宝物庫に辿り着いた***とアリババ。
「……あのさぁ、ハフィズ。財宝って……もしかして、このちっこい指輪一つだけか?」
「――肯定。その指輪こそ、古代アルーザ文明に伝わる伝説の秘宝“魔人の指輪”。そして、貴方にはそれを手にする資格があル」
マジかい……と、アリババは落胆しながら指輪を手に取り、何気なく指にはめてみる。すると……指輪から大量の煙が発生し、もくもくと部屋を満たしていった。
『ォ――ォォ――――ォオぉおおおお!ははっ、ありがたい!ようやく外に出られたよ!』
煙が晴れると、そこには足枷をした一人の男の姿……。
『おっ、君が俺を外に出してくれたのかい?いやはや、感謝感激至れり尽くせり。ということは、君が俺のご主人ってことか。そんじゃまぁ、短い付き合いになりそうだけど、一つよろしくってことで』
「ま、待て待て。話が全然見えないぞ。オレが、お前のご主人……って、どういうことだ?」
『言葉通りの意味だよ、ご主人。その指輪をはめた瞬間、魔人であるこの俺はご主人の所有物になったのさ。そして……俺には、所有者の願いを叶える力がある。ま、叶えられる願いは三つまでだけどねぇ』
怪しげな笑みを浮かべながら、指輪から飛び出して来た魔人は、***とアリババを改めて視界に入れる。
『軽く自己紹介しとこうか。俺は指輪の魔人、アラジンだ。おっと、君は名乗らなくて結構。どのみち俺は君のことをご主人と呼ぶからねぇ。その方が後腐れが無くていい。んで、願い事についてなんだが』
饒舌に喋るアラジンだったが……彼の言葉を、一人の男の笑い声が遮った。
「クハハハ!試練突破お疲れさん!おかげで仕掛けが止まって、すんなりとここまで辿り着けたぜ!さぁ、財宝はどこだァ!?」
「ラ、ラムジー!?生きてたのかよ、お前……」
驚愕し、呆然とするアリババ。そんな彼を見て、ラムジーは邪悪な笑みを浮かべる。
「へっ、当然だァ!あの程度のトラップで俺様、が…………あん?な、なんだ、地震か?」
……突然、激しく揺れ始める遺跡内。
「――崩壊システムの作動を確認。試練未達成者が宝物庫に侵入したため、間もなくこの遺跡は崩壊します。と、危険を勧告してみル」
「ほ、崩壊だァ!?じ、冗談じゃねぇ!こんなところでくたばってたまるかってんだァ!」
そう言うと、ラムジーはいち早く宝物庫を飛び出していった。
『はいご主人、こっちにちゅうも~く。こういう時こそ魔人の出番でしょうよ。さっきも言ったけど、俺はご主人の願いを三つ、なんでも叶えてやれる。ほら、今こそ一回目を使うべきなんじゃないの?』
半信半疑ながらも、アリババは少し考える仕草をしたあと……
「えぇい、こうなったら奇跡を信じてやる!アラジン、オレ達をこの遺跡から出してくれ!」
『ほいきた、承知承知ぃ!ではではぁ……おいでらっしゃい、空飛ぶ絨毯!』
両手をパンパン、と叩くアラジン。すると……どこからともなく空を飛ぶ絨毯が現れ、アリババ達の前に降りてきた。
『こいつに乗れば遺跡の外までひとっ飛びだぜ、ご主人。さぁ、早く乗んな乗んな!』
すぐに絨毯の上に乗る***とアリババ。しかし……
「って、なにやってんだハフィズ!お前も早く乗れ!」
「――拒否。遺跡の外へ出ることは許されていない。現在の文明に悪影響を及ぼす可能性を考慮し、ワタシはこの遺跡と共に…………あっ」
アリババはハフィズの手を強引に掴むと、膝の上にハフィズを乗せる。そして、***達を乗せた絨毯は宝物庫を飛び出すと、凄まじい速度で出口へと向かうのだった……。
206:千夜一夜物語 決意の夜語
遺跡を脱出したアリババ!
しかし……!?
プロローグ
空飛ぶ絨毯で遺跡から脱出し、アリババ達はうだるような暑さを感じながら、広大な砂漠へと出てきた。
「ど、どうなってるんだ?繋いでおいたラクダもいねぇし、遺跡の場所を教えてくれたオッサンもいねぇ。もしかして……歩いて砂漠を越えるしかないってこと、か?」
羊の胃袋で作られた水筒を取り出すアリババ。水の残量は……心許ないものだった。
『安心しなよ、ご主人。こういう時こそ願いを叶える魔人の出番でしょうよ。“家に帰りたいんすよぉアラジン先輩”ってお願いしてくれりゃ、魔法の絨毯でおうちまでひとっ飛びさ』
「うーん、また移動のために願い事を使うってのもなぁ。あ、そうだ!なんなら、ここにでっかい町を作ってくれよ!食料も水もたくさんあって、たくさんの人が賑わうような町をさ」
『そりゃ無理だね。先代の魔人はできたみたいだけど、俺は元人間だから色々とポンコツでね。“魔法の絨毯を呼び出すこと”しかできないんだよ』
ずっこけるアリババ。
「お、お前。持ち主の願いをなんでも叶えるって言ってなかったか!?」
『元人間なんだから気紛れにウソだってつくさ。でも、結果として遺跡から脱出したいってご主人の願いは叶ったろ?あ、ちなみに魔法の絨毯を呼び出せるのはあと二回までね』
「……ハフィズ。お前んとこの財宝、なんかしょぼいぞ」
苦虫を噛み潰したような顔で、アリババは自動人形の少女に声を掛ける。
「――抗議開始。大切に守ってきた財宝を貶されたことに憤りを隠せない……と、怒りを露わにしてみル。そもそも、なぜワタシを外に連れ出したのか?と、至極当然の疑問も口にしてみル」
「あん?なぜって……まぁ、なんとなくだよ。別にいいだろ」
『“オレちょっといいやつっしょアピール”はその辺にしておいてさ、これからどうするんだい?ご主人と***君とやらは水がないとやばいっしょ?このまま死なれちゃ俺の夢見も……ッ!?ご主人、後ろだ!』
背後を見ると同時に、寸でのところで攻撃を回避するアリババ。そこには、剣を持った一人の少女が立っていた。
「あなたが……“最近イキっているダッサイ少年アリババ君”ですね。主の命令により、あなたにはこの場で死んでもらいます。なので、死んでください」
「は、はあ?お前、なに言って……うおおっ!?」
ぺこりと頭を下げると、少女は凄まじい速度でアリババに斬りかかってきた。
『ほう。出会ったばかりの美女にラブレター(殺害予告)をもらうとは。モテるねぇ、ご主人』
「んなこと言ってる場合か!くっ、ハフィズと***は下がっててくれ!ここはオレが一人で」
『おっと、それはオススメしない。見たところ、あの子の剣術は裏の人間が使う“殺しの剣術”だ。試練を突破したご主人の実力を疑うわけじゃないが、彼女を殺すなら持てる戦力は全てつぎ込んだ方がいい』
「殺すつもりなんてハナからねぇっつの。無力化して話を聞くだけだ。こちとら、殺されるほどのことをした記憶がないからな」
それに……と、アリババは短剣を抜きながら続ける。
「あの女が“殺しの剣術”なら、オレの剣は“守りの剣術”だ。単純な力で敵わなくたって、いくらでもやりようはある……ッ!」
少女の元へ走り出すアリババ。その背中を見て、アラジンはやれやれとため息を吐く。
『……***君。悪いんだけど、ご主人をフォローしてやってくれないか?無力化ってのは殺すことよりもずっと難しい。でも、君は特別な力を持っているようだし、必ず彼の力になれると思うんだ』
アリババとアラジンには、遺跡から脱出させてもらった恩もある。かいちょは小さく頷き、アリババを援護するのだった。
''>>援護する<<
位置登録?タダでできるのか?なぁ、本当にタダなのか?
うへぇ……砂漠で一戦やり合うのはさすがに気が引けるな……。
つーかあの女、どうしてオレの名前を……?
仲間との連携はカネじゃ買えないって言うぜ?
みんなで一緒に戦えば、いい感じの結果に繋がるかもな。
運も実力のうちって言葉はオレが考えたんだぜ?ま、ウソだけどな。
追われるよりも追う方が好きなもんでね。どんどん先を目指そうぜ!
こんなところでくたばってたまるかってんだ!夜になる前に決めちまおうぜ!
決闘開始!!
エピローグ
***の援護もあり、アリババは少女から剣を奪うことに成功する。が、懐からナイフを取り出した少女は、その切っ先を自身の喉元につきつけた。アリババは少女を押し倒し、その手を止める。
「離して。任務に失敗した時は、自害する、よう……主に、言わ、れ…………」
「理由を聞くまで死なせらんねぇな……って、おい!大丈夫か!?」
砂漠にずっと立っていたせいか、少女は脱水症状を起こしており、意識を失いかけていた。
「はあ、はぁ……申し訳、ございません……ダルナフ様。私……任務を、果たすこと、が……」
『な……。ダルナフだと!?』
ダルナフ。それは、アリババに遺跡の場所を教えてくれた者の名前。しかし、声を荒らげたのはなぜかアラジンの方だった。
『わ、忘れてた。そうだ、俺はヤツに……っと、ご主人。俺の記憶が正しければ、遺跡からそう遠くない場所にオアシスがあったはずだ。ここからならそう時間はかからない。まずはそこへ向かうとしよう』
アラジンの案内の元、アリババは倒れたモルジアナを抱え、***とハフィズと共にオアシスへ向かうことにした。辿り着く頃には夜になっていたため、一行はそこでキャンプをすることにする。
『“遺跡まで案内するから財宝を取って来い。金は山分け”か。ったく……。ダルナフの野郎、俺ん時と全く同じ誘い文句かい』
アラジンは人間だった頃にダルナフの口車に乗せられ、アリババと同じように遺跡に挑み、指輪を手に入れた。が、ダルナフの裏切りによって遺跡に閉じ込められてしまったのだという。
『指輪だけはなんとか守りきったんだがね。んで、魔人になった経緯は語ると長いからはしょるとして。とにかく、ご主人はダルナフにだまされてたってワケ。この女は“アリババが指輪を手に入れて遺跡から出てきた場合、殺して奪って来い”とでも命令されていたんだろうさ』
さて、それで本題なんだが……と、アラジンは真剣な表情でアリババを見据える。
『心力の試練で、俺はご主人の心の声を聞いた。ご主人は貴族になって国を変えたいんだろ?んな遠回りをせずとも、もっと簡単な方法がある。ダルナフの野郎をとっちめりゃいいのさ』
ダルナフは王国転覆を目論む犯罪組織の首領であると同時に、国に仕える宰相として政府を裏から操っている人物。そして、今の圧政や階級制度を作った人物でもあるらしい。
『ヤツを追うなら全面的に協力するよ。一発殴らないと気が済まないんでね。王国の事情にはそこそこ詳しいから、必ずご主人の役に立てる。さぁ、どうする?』
「……正直、まだ半信半疑だ。けど、ダルナフがオレを使い捨てようとしたのは事実。そして……自分の部下すら使い捨てようとしたのも事実だ」
内から湧き上がる怒りに身を任せ、アリババは立ち上がった。
「そんなクソ野郎が国を裏側から操っているのだとしたら、なおのこと許せねぇ。アラジン、その話……乗ったぜ!」
「――同行を希望。指輪を悪しき者の手に渡すわけにはいかない……と、ちゃっかりついてきていたハフィズは協力を申し出ル」
彼らの旅路に興味が湧いた***も、アリババの仲間に加わることにする。
「で、お前はいいのかよ。いいように使い捨てられて、悔しくないのか?」
目を覚ましたばかりの少女に、アリババは声を掛ける。
「……私はただの道具。けど、使えない道具になってしまいました。利用価値を失った道具は、ただ……捨てられるだけ」
「そうか。んじゃ、オレが勝手に拾っても誰も文句は言わないな」
『おいご主人、正気か?情報を引き出せれば、そいつに用はないだろう。最悪、後ろからグサっとやられるかもだぜ?』
「国を敵に回すかもしれないんだ。仲間は一人でも多い方がいい。それに、彼女が生きてるってわかったらダルナフの方から仕掛けてくる可能性もあるだろ」
そう言うと、アリババは少女に手を差し伸べた。
「アリババだ。お前は?」
少女は迷いながらも、アリババの目をじっと見つめたあと――
「…………モルジアナ、です」
「へぇ、いい名前じゃん。んじゃよろしくな、モルジアナ!」
ゆっくりと、彼の手を握るのだった。
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