境鳴オルタナティブ_prologue
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252:境鳴オルタナティブ 進撃の歌
混乱に陥った街にて……!
プロローグ
周囲を見渡すと、そこはやや近未来的な構造の建物がズラリと並ぶ街の中だった。
「おわっ!?ま、まさか……ハハッ、すげぇ!“境界憑神(アウトフュージョン)”、初めて上手くいったぜ!なぁ、アンタ名前は?出身は?好きな食いもんは?つか、恋人とかいんのか?」
周りを見渡していると、---は目つきの鋭い一人の青年に声を掛けられる。
「と、急にすまねぇ!オレ、ロクシスって言うんだけどよ。えぇと、オルタネイターっていう、俗に言う超能力者っつーかなんつーか……」
ロクシスの話によると、ここはとある島にある、超能力者達が住む国の首都なのだという。
「この街の住民は今、グランジっていう武闘派組織の破壊活動に怯えてんだ。街を守るモンとしちゃ、ヤツらを放っておくわけにゃあいかねぇ。んでよ、たった今、この先にある政府管轄のビルが、連中の襲撃を受けちまってんだ」
彼は“サステイン”と呼ばれる政府の精鋭防衛隊の一員として、グランジの凶行を止めるために現場へ向かっている最中らしい。
「つーわけでよ。ちょいと協力してくれねぇか?ああ、協力っつっても、アンタはオレについてきてくれるだけでいいんだ。今のオレは、アンタの力の一部が使える状態にあるからよ」
力の一部が使える……?
それはどういうことなのかと、---は首をかしげながらロクシスに尋ねる。
「オレの能力、“境界憑神(アウトフュージョン)”っていうんだけどさ。異なる次元にいる者をアストラル体として呼び寄せて、オレ自身に憑依させるって力なワケよ。だから、今のアンタはオレにしか見えてねぇ状態にある」
……先ほど『初めて上手くいった』と言っていたのは、どうやら彼が秘めている能力のことらしい。
「オレにはあんまり超能力の才能ってのがなくてな。あんまりにも成功しないもんだから、戦う前の願掛けみたいに使ってたんだが……今回はこうして、アンタを呼び出すことに成功したってワケさ!」
ロクシスの説明によると、一定距離を保っていれば、---の力の一部は自動で彼に受け渡されるようだ。ひとまず状況を飲み込んだ---は、街の探索がてら、彼についていくことにしたのだった。
「おおっ、ありがとよ!って、あんまり喋ってる時間もねぇからな。とりあえず、アンタの名前は……オッケー、---な。そんじゃ急いで現場に……うおっ!?」
すると突然、空から大きな氷柱が降り注いだ。
「チッ、仕留められなかったか……。さすがに“サステイン”相手じゃ、イージーにはいかないわね」
「……!ア、アンタは確か、手配犯になってるグランジの幹部の一人、“氷剣のネレイ”!へっ、丁度いい。探す手間が省けたぜ!」
「……アルバ様。はい、サステインの一人が……ええ、わかりました。では、そちらに合流します」
ネレイは誰かとの通信を終えると、ロクシスを華麗にスルーし、炎上するビルの方へと走り去っていった。
「あ!ま、待ちやがれテメェ!くそっ、逃がすかってんだ……!わりぃ、とりあえずついてきてくれ!---!」
こうして---は、ロクシスと共にネレイを追うことになったのだった。
「もう、ロクシスったら……。行動する時は二人一組ってルールなのに、いっつも勝手に飛び出すんだから!」
>>現場へ向かう!<<
エピローグ
「ストップ、ロクシス!単独行動はダメっていつも言ってるでしょ!」
「うおっ!?エ、エリーゼお前、なんでここに……」
単独で敵の警戒網へ突入しようとしたロクシスの前に立ち塞がったのは、ずっとロクシスを追いかけていたエリーゼだった。
「なんでもなにも、私だって“サステイン”の一員なんだから。それに、行動する時は二人一組だって、いつもレーシア長官が言ってるじゃない」
「そ、そりゃわかってるけどよ。ほら、なんつーの?幼馴染のお前を巻き込みたくないっていう紳士的な心意気を買ってほしいワケよ!」
冷や汗を流すロクシスに、エリーゼは冷たい視線を送る。
「ふーん。とか言って、本当は私に小言を言われたくないだけでしょ?ロクシスってば、いっつも命令無視して一人で特攻するんだから」
「そ、それはそれ、これはこれだ!ああ、---。こいつはエリーゼっつって、オレの仲間だ。普段は歌手としても活動してて、結構な人気者でなぁ」
「……?ロクシス、誰と話してるの?ついに頭やっちゃった?」
「っておい、ついにってどういうことだよ!つーかだな、お前の歌の力は攻撃には向いてねーんだから、今回の作戦には不向きだろ。ほれ、回れ右して帰れって。幼馴染を心配してるってのは本当なんだからよ」
そんなロクシスの一言にカチンときたのか、エリーゼは頬を膨らませる。
「つーんだ。そんな怖い目で優しいこと言っても、全然響かないもん」
「おいコラ、目つきのコトは言うな!マジで気にしてんだぞ!?」
「私だって、マジでロクシスのコト気にしてるもん。諜報部の情報だと、この先にはグランジのボスがいるって話だし。ロクシス一人でなんとかなると思ってるの?」
エリーゼの言葉に、ロクシスはニヤリと微笑を浮かべる。
「へへーん、今回は一人じゃねぇんだな、これが。---っていう頼りになる相棒がだな」
「うん。架空の人と会話しちゃうぐらい頭やっちゃったってのはよくわかった。じゃあ、心配だからついていくね」
「いや、だからそうじゃなくて……ってコラ、先に行くなっての!危ねぇからオレの後ろにいろって!!」
エリーゼを仲間に加えたロクシスと---は、グランジのボスがいるという現場へ向かうのだった。
境鳴オルタナティブ 進撃の歌完
凶行を阻止できるのか!?
凶行を阻止できるのか!?
253:境鳴オルタナティブ - 激突の歌 -
プロローグ
襲撃された建物の屋上へ辿り着いたロクシス達。
「……!テ、テメェ……」
そこには、ロクシスより先に駆け付けたが、返り討ちに遭ってしまったサステインのメンバー達が傷を負い、倒れていた。
「ようやく本丸の登場か。待ちくたびれたぞ……ロクシス・フェルト」
その中心には、グランジのリーダーと思わしき者が一人……。
「へぇ。テロ組織のボスに名前を覚えられるなんざ、オレも有名人になったもんだな」
「抜群の戦闘センスを持ち、サステインの中でも犯罪者の……特にグランジのメンバーの検挙率は高い。が、協調性がなく、チーム行動が苦手なため、個人プレイ主体の粗暴なやり方が目立つ。このプロファイリングは合っているか?」
「自己紹介の手間が省けてなによりだぜ、アルバ・グランジさんよ。かく言うオレも、アンタには一つ聞きてぇことがあってな」
「ほう?有無を言わず、力任せに攻撃をしてくるものかと思ったが……ただの単細胞ではないようだな」
「ほっとけ!とにかく、俺が聞きてぇのはだな……」
眉をひそめながら、ロクシスは倒れた仲間達を見渡す。
「今回もそうだが……お前達グランジは破壊活動を行いながらも、今まで人の命を奪ったことは一度もねぇ。活動自体は許せるもんじゃねぇが、オレは……アンタが単なるテロリストじゃねぇと思ってる。なぁ、アンタらの行為には何の目的があるんだ?」
「…………。本当に何も知らないのか。おめでたいバカだな」
「あァ!?テメェ、いまなんつった!?」
「フン……では、こう言うつもりか?ボクは信念を持ち、理由があってテロ行為に及んでいる、と」
アルバは首を横に振り、呆れた様子で微笑を浮かべる。
「くだらないな。仮にそうだったとしても、お前は街を守る者であり、ボクは街の治安を乱す者……お互いに相入れることはない。違うか?」
「……オレは単に、相手の事情も知らずに、ただとっ捕まえることを良しとしねぇだけだ。特に、お前が率いてるグランジの連中は口が固くて、何も語ろうとしねえ。なら、ボスであるアンタに直接聞いた方が早ぇと思ってな」
「そうか。やはり単細胞バカだな、お前は」
「っておい!単細胞かバカのどっちかにしとけ!」
そこなの?と、隣のエリーゼにツッコミを入れられるロクシス。
「さて、これ以上の話は不要だろう。会話を長引かせて援軍が来る時間を稼ぐのが目的でもなさそうだからな。というより、そこまで頭が回るようなヤツではないことはよくわかった」
……瞬間、大気が震え、鋭くざわついた。
それは、アルバが戦闘態勢に入ったことを意味していた。
「お前のせいで、多くの仲間が捕らえられた。戦う理由はそれで十分だ……。ここで再起不能にしてやろう、ロクシス・フェルト……!」
「ハッ!人のことを単細胞とか言うワリに、アンタもやる気満々じゃねぇか。まぁ、そういうの……嫌いじゃねぇけどよ!」
武器を抜いた両名は、戦いの火花を散らすのだった……。
>>確保する<<
おっ、アンタも位置登録すんのか?奇遇だな、オレも日課になってんだ!
住民の避難は終わった。派手に暴れようぜ!
ついにグランジの親玉と対決か……!
任務に挑む時は、陣形が一番大事だからな。
敵は数が多い。なら、こっちも数で勝負だ!
チャンス、掴んでこうぜ!!
誰もオレのことは止められねーぜッ!
っしゃあ!一気に決めちまおうぜ!
エピローグ
「……おい、アルバ」
アルバを収容車に乗せたロクシスは、周りに誰もいないことを確認してから口を開く。
「どういうことだ。なんで、わざと捕まった?」
「何を言っているのかわからないな」
「とぼけんな!本気を出してねぇってことぐらい、戦ってりゃわかるっつの。ほら、今なら誰も聞いてねぇ。お前の活動にちゃんと理由があるなら……頼む、話してくれ」
その言葉に、やれやれといった様子でため息を吐くアルバ。
「……レーシア・セイレーネス」
ロクシスにしか聞こえないほどの小声で、アルバは続ける。
「サステインの長官にして、この国の総統であるあの女に接触したことは?」」
「そりゃ会ったことあるに決まってんだろ。つーか、レーシアさんは腐ってたオレに道を示してくれた恩人だ。仕事だけじゃなく個人的にも世話になって」
「ヤツを信用するな。あの女はオルタネイターを人体実験に利用している」
「……あ、あァ?テメェ、寝言は寝てから言えよっ。レーシアさんがそんなことするわきゃねーだろうが」
「そうか。やはり……おめでたいヤツだな、お前は」
意味深なアルバの返答に、さらに話を聞こうとするロクシス。が、「すぐに収容施設へ連行します」というサステインの隊員からの言葉を受け、これ以上の追求はできなくなってしまった。
「ふう、お疲れロクシス!ついにグランジのボスを捕まえたね……って、どうしたの?変な顔しちゃって」
「あ、ああ。いや、なんでも……ねえよ」
走り出した収容車を後ろから眺めながら、ロクシスは心ここにあらずといった様子で表情を曇らせる。
「そう?なんか、珍しく悩み事があるって感じだけど……」
「…………。わりぃ、エリーゼ。この場はまかせていいか?ちょいと調べてぇことができた」
「え?あ、ちょっと、ロクシス!?もぉ……今度、ご飯とタピオカジュースおごってもらうからね!」
……現場を後にしたロクシスは、迷いを振り切るように全力で走り始めた。
「信じてるからな、レーシアさん……っと、わりぃ---!もうちょいだけ付き合ってもらっていいか?アンタはオレ以外には見えねぇ存在だからよ。今のオレにとって、信用できるのはアンタしかいねぇんだ。そりゃ、エリーゼは信じてるけどよ……巻き込みたくねぇんだ」
人けのない場所で足を止めたロクシスは周囲を見渡したあと、---に問いをぶつける。
「---。オレは、アルバがウソをついてるようには見えなかったんだ。アンタは……アンタは、どう思う?」
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