夏空のブライド_プロローグ_プレ
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story by 間宮桔梗
>>7月24日 15:00~7月27日 12:59<<
プロローグ
ここは一体どこだろう?周囲を見渡していると……。
「あの。もしかして、この町の人ですか?」
ヘッドホンと水鉄砲。そして、なんとも言えないデザインのTシャツを着た少年に声を掛けられた。
「旅人の****さん、ですか。あ、いきなりすみません。僕、御厨タスクって言います。都会からこの町に越してきたばかりの高校生なのですが……。今、なぜか変な人に追いかけられていて……」
息を切らしながら、タスクは後ろを振り返る。すると――
「はぁ、はぁ……やっと追いついた……じゃなかった。よ、ようやく追いつめたぞ!さあ、おとなしく我がピコハンの餌食になるがいい!」
一人の少女が、妙な輝きを放つピコハンを両手に、こちらに向かってきていた。
「むっ、一人増えているな。貴様、そこの少年の仲間か。まぁいい……敵が何人に増えようが、私はくじけないもん……ではない。わ、妾は怯まんぞ!」
……どうやら、****もターゲットにされてしまったらしい。
「……申し訳ありません。あなたを巻き込んでしまったようです。なにかお詫びをしたいのですが、まずはこの状況を脱しなければ。とりあえず、一緒に逃げましょう。話はそのあとに……!」
ワケがわからないまま、****はタスクと名乗る少年と共に変な人から逃げることなった。
「安心してください。****さんのことは僕が守ります。父さんに言われているんです。『宇宙一の男になるなら、なんか旅してる系の人はなんか助けておくといんじゃね?』と」
……父親、テキトーだな。
****がそんなことを考えながら走っていると、タスクは懐からなにかを取り出す。
「そうだ。この光る石を預っていてくれませんか?数日前に流れ星が落ちてきた場所で、先ほど拾ったものなんですけど……珍しい石なので、家に持ち帰って調べてみたいのですが、この状況ではあなたが持っていた方が安全だと思うので」
そう言うと、タスクは光る石を****に渡した。
「では、行きましょう。警察に助けを求めたいところですが、この町の交番はいつももぬけの殻です。これ以上誰かを巻き込みたくはありませんし、とりあえずひと気のない海まで逃げて……あとのことは、それから考えましょう」
こうして****は、タスクと共に夏空の田舎町を走り抜けることになった……!
>>あの海へ走る<<
では、行きますか。
真夏なので、水分はこまめに摂りましょう。
とりあえず500kmほど進んでみるとしましょう。
これを持っていてください。なにかの役に立つかも……。
キラキラ石を1個手に入れました。
波乱の夏になりそうです。気を付けて行きましょう。
あの海へ走る
エピローグ
「……も、もうダメ……暑くてむりぃ……じゃ、なかった……あ、暑くてかなわん」
****とタスク。そしてテアの三人に、体力の限界が訪れる。
「はぁ、はぁ……あの、さ……どうして君は僕を襲ってくるんだ?僕、君になにかしたっけ?」
「シラを切るか、この盗人め!そのメテオピースは私の……わ、妾の大切なものだ!返してもらうぞ!」
「……メテオピース?もしかして、この光る石のこと?」
タスクは流れ星が落ちた場所で拾ったという石を取り出し、テアに差し出した。
「君の大切なものだとは知らなかった。勝手に取ってしまって、すまない」
「え?あ、うん。あ、ありがと……じゃない。フ、フン、意外と話のわかる地球人ではないか」
頬を紅潮させながら、少女はタスクからメテオピースを受け取る。
「でも、それならそうと最初に言ってくれればよかったのに。なんの説明もなしに急に襲ってきたから、僕も思わず逃げてしまったよ」
「う……ご、ごめんね……じゃない。す、すまぬ。地球に不時着して日が浅く、気が立っていたのだ。その、許してほしい」
……地球に不時着。今、テアは確かにそう言っていた。
「そ、その、なんだ。他にも同じような石を見なかったか?実は、妾は地球で言うところの宇宙人に該当する人種でな。すぐには信じられないとは思うが……」
その言葉に、タスクは……
「父さんが言ってた。『あー多分宇宙人いるわこれ』って。だから、信じるよ」
「……む?わ、妾の情報では、地球人はもっと宇宙人を珍しがるはず。お主、本当に地球人なのか?ハッ、もしかして……地球人に化けた宇宙人、とか?」
宇宙人に宇宙人と疑われながら、タスクは宇宙人の少女テアに敵意がないことを伝える。
「おーおー。奇妙な二人組を追いかけてみれば、なにやら興味深い話をしているねぇ!」
すると、夏の陽射しのように明るい声で、一人の少女が声を掛けてきた。
「あなたは、この町の駄菓子屋のお姉さん……なぜ、こんなところに?」
タスクの問いに、少女はニヤリと微笑む。
「駄菓子屋のお姉さんは仮の姿。真の姿は、宇宙人とかに理解がある俊才発明家さ!まぁこんなところで立ち話もなんだし、とりあえず皆ウチに来なよ。ドクターQ特製アイスキャンディーごちそうしたげるからさっ」
強引に手を引かれ、タスクとテアはドクターQと名乗る少女に引っ張られていく。
「……彼女は悪い人ではないと思います。けど、僕らだけでは不安なので、****さんにも同伴してほしいのですが……」
****が首を縦に振ると、タスクは深々と頭を下げ、感謝の言葉を口にした。
こうして、タスクとテア……そして騒動に巻き込まれてしまった****は、ひとまずドクターQの招待を受けることになった。この先に、宇宙を巻き込む壮大な運命が待っているとも知らずに……。
宇宙人の
事情とは!?
事情とは!?
story by 間宮桔梗
197:夏空のブライド 密告☆ブロック!!
プロローグ
テアの話によると、彼女は隕石(彼女の母星では宇宙船らしい)に搭乗して宇宙空間を飛んでいたが、地球に不時着し、その時に搭乗していた隕石が破片となって散らばってしまった……とのことらしい。
「妾は、この町に散らばってしまった隕石のカケラ……星片“メテオピース”を全て集めて、宇宙船を修理したいのだが……地球自体が初めてで、この辺りの地形もさっぱりわからず、途方に暮れていてな」
****とタスクとドクターQは、冷房の効いた駄菓子屋でアイスキャンディーを食べながら、テアの話に耳を傾ける。
「なら、あたしにまかせて。メテオピースを一つ貸してくれれば、俊才発明家ドクターQが隕石レーダーを作ってあげる。代わりにメテオピースはじっくり調べさせてもらうけど、構わないかい?」
ドクターQは単純に、知的好奇心で隕石のことを調べたいらしい。
「本当?すごく助か……コホン。そ、それぐらいは構わん。ただし、メテオピースには強力な“強化能力”が施されている。扱いには十分気を付け……」
「しっ、静かに。駄菓子屋の外……誰かが盗み聞きしているみたいだ」
水鉄砲を片手に駄菓子屋の戸を開くタスク。すると、そこには――
「あらあら、バレてしまったようね。けど、もう遅いわ。ミターネ星人第二王女テア……あなたの所在は、このニペー様がCIA(チクリ・インテリジェンス・エージェンシー)に直々に密告してやるわ!アーッハッハッハ!」
高笑いを上げながら、ニペーと名乗った少女は外に停めてあったロボットに搭乗する。
「ニペー……?まさか、密告屋(チクリ魔)として有名な、ジャーラミ星人の……!?」
テアの言葉に、ニペーは手を口元にそえながら高笑いを上げる。
「スペースカウガールと呼びなさい!うふふ……地球にはバカンスに来ていただけだったのだけれど、まさかこんなところで大金ゲットのチャンスが訪れるなんて、本当にツイているわ!」
「や、やめて……じゃない。よ、よせ!妾はもう、自由のない母星には戻りたくない……この通りだ!なんでもするから、どうか密告だけは……」
「アーッハッハッハ!王女様が頭を下げるなんて、よっぽどのことみたいね。けど、私の条件を飲むなら密告はしないであげるわよ」
頭を下げるテアを見下しながら、ニペーは続ける。
「密告しない代わりに、私の人質になりなさい。そして、私はあなたの母星に大金を請求する……。いわゆる狂言誘拐ってヤツね」
「なっ……!?ふ、ふざけないで!王女の身分である私に、そんなことができるわけ……」
「ハッ!なんでもするって言ったクセに約束を破るのね。ふふ……今の会話も、しっかりとCIAに密告させてもらうわよ。『ミターネ星人の王女は尻軽で、平気で約束を破るひどい女だ』ってね!」
辛辣な言葉で糾弾するニペー。テアは返す言葉が見つからず、涙目になりながら肩を震わせる。
「やめなよ」
淡々とした声でそう言いながら、タスクはテアを庇うようにニペーの前に立つ。
「父さんが言ってた。『女を泣かせる男は最低だが、女を泣かせる女ってのもそれと同じか、それ以上かそれ以下ぐらい最低だと思うんだよなぁ父ちゃんは。あ、そんなことより白髪抜いてくんね?』って」
それに……と、タスクは続ける。
「ロボットアニメは古いものから最近のものまで、毎日欠かさず観ているんだ。だから、僕はあらゆるロボットの弱点を知っている。何も問題はない」
「ろ、ろぼっと、あにめ……?それは……すごいもの、なのか?」
「とてもすごいものだよ。そして、素晴らしいものだ。あとでテアにも見せてあげる」
テアの問いに答えながら、タスクは精悍な顔つきでニペーに水鉄砲の銃口を向けた。
精悍な顔つきで、水鉄砲の銃口をニペーに向けるタスク。
「フン、誰だか知らないけれど、邪魔をするのなら容赦しないわ。我が母星が誇る最新技術によって作られた鎧装ロボット『ビースト・チャッピー』の力を思い知りなさい!アーッハッハッハ!」
>>密告を阻止する<<
位置登録?興味深い響きだ……ボタンを押せばいいのかな?
田舎町でロボットと戦うことになるなんて思わなかったな……。
密告は阻止する。テアのために……。
皆で力を合わせれば、きっと勝てるはずだ。
集団行動も個人行動も、どっちも得意だ。
掴むしかない。このビッグチャンス。
僕達の夏は、まだ始まったばかりだ……!
テアのことを放っておけないんだ……。
密告を阻止する!!
エピローグ
「ぎゃああああっ!わ、私のビースト・チャッピーが……我が母星が誇る最高技術でつくられたロボットが……み、水鉄砲なんかで破壊されたあっ!?」
敗北を認め、ガクッとうなだれるニペー。
「ガーン!まだローン残ってるのに……ていうかこれ壊れちゃったら星に戻れないし……実家に連絡取ろうにも、宇宙電話代が払えるだけのお金もないしぃ……」
あ~んっ、と子どものように泣き始めるニペー。先ほどの威勢の良さは完全に消えてしまったようだ。
「んー?事情はよくわかんないけど……このぐらいならあたしが修理できるよ?結構な日にち掛かっちゃうと思うけど」
ドクターQの言葉に、ニペーは一瞬で元気になり、キラキラと目を輝かせる。
「お、お願い!なんでもするから、私のビースト・チャッピーを修理して!いや、修理してください!」
「ほうほう、なんでもしてくれるんだー。じゃあ二つ条件。一つ目は、ウチの駄菓子屋でバイトすること。そのお金を修理代として頂くね。二つ目は……テアちゃんの密告を完全に諦めるコト。いいわね?」
「うっ、そ、それは……」
テアと同じように“なんでもする”と口にしてしまったニペー。当然、プライドの高い彼女が後に引けるわけもなく……
「わ、悪かったわね、王女様。さっきは言い過ぎた。大金が手に入ると思って、つい調子乗っちゃって……反省しているわ」
深々と頭を下げるニペー。その謝罪からは、確かな誠意が感じられた。
「ううん、気にしないで……じゃない。は、反省したのなら別によい。それと、タスクといったな。なんだ、その。助けて、くれて……ありがと」
「何も問題はない。それより、どうして君は密告されるような立場にあるんだ?宇宙船の隕石を修復するのは、母星に帰るためじゃないってこと?」
タスクの問いに、テアは一瞬だけ大きく目を見開くと、俯きながら言った。
「……結婚がイヤで、母星から逃げてきた。だから、父上が捜索願いを出したんだと思う」
宇宙船を修理したいのは、もっと遠くの星へ逃げるため……とのことらしい。
「わかった。そういうことなら、僕もその星片……メテオピースとやらを探すのを手伝うよ。夏休みの宿題は春休みに終わっているし、冬休みの分も前倒しで終わらせてある。何も問題はない」
「い、いいの!?じゃなくて……よ、よいのか?褒美の一つも出せるかわからぬぞ……?」
「父さんが言ってた。『宇宙一の男ってのは、乗りかかった宇宙船には最後まで乗るもんだ。まぁそれはいいとして、とりあえず肩揉んでくんね?』って。それにメテオピースっていうのに興味があるし……なにより、僕は君を見た時…………」
なにかを言いかけたタスクだったが……
「……いや、なんでもない。そうだ、****さん。泊まる場所がないのなら、よろしければ僕の家に来ませんか?僕に付き合ってくれたお礼をしたいし、旅のお話も聞いてみたいなって…………テアも、泊まる場所がないのなら来る?」
「へっ!?あ、うん……じゃあ、せっかくだし……ハッ!?じゃなくて……わ、妾のために宿を提供できることを、光栄に思うがよい!」
行くあてのない****とテアはタスクの言葉に甘え、しばらくは彼と行動を共にすることになった。
…………こうして一人の少年と、宇宙人の少女は出会った。夏はまだ、始まったばかり。
夏空のブライド 密告☆ブロック!!完
story by 間宮桔梗
198:夏空のブライド 星片☆コレクト!!
プロローグはこちら
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